犬の巨大食道症の原因は?検査方法・改善方法などをご紹介!
巨大食道症という病気をご存知ですか?巨大食道症は、アカラシアという病名でもあります。あまり聞き慣れない病名ではないでしょうか。この病気は、生まれつきであったり、他の病気と合併して発症することのある病気です。
今回は、巨大食道症の原因から検査方法、もしかかってしまった時の改善方法などをご紹介します。巨大食道症を知っておくことで、犬の些細な変化から気づくことができるかもしれません。
目次
犬の巨大食道症とは?
巨大食道症は、別名ではアカラシアとも言われる病気です。その名の通り、食道が巨大化することによってあらゆる症状が出現します。食道は本来、伸びたり縮んだりして口から得た食べ物を胃へ運ぶ蠕動運動をしています。食道が巨大化し組織が伸びきってしまっていると、この蠕動運動が正常に行うことができません。そのため、食べ物を胃へ運ぶことも難しくなるのです。特に犬の食道は、人間と違って重力の影響を受けづらい構造になっています。食道の途中で食べ物が停滞すると、重力によって垂れ下がり、より食道の組織を伸ばすような状態になってしまいます。
症状としては、以下のようなものがあります。
・勢い良く吐く
・体重減少
・呼吸困難
・発熱
・咳
巨大食道症では、食べた後にすぐに勢い良く吐くのが特徴的と言えます。また、嘔吐を繰り返すことで、十分な栄養を摂取できずに体重減少が見られるでしょう。さらに、嘔吐は誤嚥の原因ともなり、肺炎などの呼吸困難も引き起こす可能性があります。
犬の巨大食道症の原因は?
では、巨大食道症の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。その原因は、大きく分けて2つあると言われています。下記で2つの原因について詳しく解説していきます。
先天性の原因
一つは、生まれつきの疾患となる先天性である原因です。食道の神経や筋肉など構造的に何らかの異常が生まれつきある場合、うまく蠕動運動が行われずに巨大食道症を発症する可能性があると言われています。しかし、発症の詳細はいまだに解明されていません。また、血管の異常で食道が圧迫されることも先天的な原因として考えられています。
生後、離乳食などの固形物の摂取が始まってから嘔吐を繰り返すことで病気に気づく場合が多いようです。
一部の犬種では、遺伝的な傾向もあるのではないかとされています。
後天性の原因
二つ目は成長に異常はないものの、何らかの異常や疾患によって発症する後天的なものが原因の場合です。ホルモン異常、怪我や他疾患による筋肉、神経の異常が原因として挙げられます。また、神経から筋肉の伝達に障害を与える重症筋無力症や腫瘍なども原因になると言われています。後天的な場合は、あらゆる環境によって起こり得るためその原因はさまざまです。
犬の巨大食道症の検査方法は?
巨大食道症と診断するには、いくつかの検査方法があります。嘔吐や体重減少などの症状だけでは、一見して診断することは難しいです。いくつかの検査を行い、他疾患の可能性も否定した上で、巨大食道症と診断することが改善する方法を導くためにも重要となります。
では、どのような検査方法があるのか解説していきます。
血液検査
血液検査では、巨大食道症特有の検査データというものはありませんが、その他の疾患を否定するのに役立ちます。ホルモン異常や重症筋無力症などの疾患では、特定の血液検査データに異常がみられます。これらが原因の場合には、主疾患の対処をしなくてはならないため、他疾患の可能性を否定する検査も重要なのです。
レントゲン検査
もっとも多く活用される方法がレントゲン検査です。食道の肥大の有無や食べ物の停滞、残留などを見ることができます。食道の動きを確認するためにも活用され、その際はバリウム剤を用いて造影検査を行います。こうすることで、リアルタイムでの食道の蠕動運動を確認、評価することができます。
一瞬の撮影だけで終了するレントゲン撮影は、一番侵襲やストレスのない検査とも言えます。一方で、バリウム剤を用いる検査はバリウムを飲まなければいけないため、人でも多少の苦痛を感じるものでしょう。
内視鏡検査
小型カメラを用いて行う内視鏡検査では、実際の食道内部を確認できる重要な検査です。人の胃内視鏡カメラのように咽頭を通り、食道を観察します。レントゲンや超音波検査と異なり、内部から観察できることは、診断の大きな手掛かりになります。
超音波検査
超音波検査とは、経皮的にリアルタイムの画像にて組織内を確認できる検査です。検査上、機械を当てて観察するだけのため侵襲もなく、体に負担もかからない検査です。
血管の走行や流れ、筋肉の厚み、骨格なども観察することができます。ただし、経皮的のため観察できるのは断片的です。確定的な診断とするには難しいでしょう。
犬の巨大食道症は完治する病気なのか
巨大食道症は、完治する病気なのか知っておきたいですよね。
実は巨大食道症は、完治することが難しいと言われている病気です。先天性の場合、原因がはっきりしていないため対症療法でうまく付き合っていく必要があります。一方で、後天性な場合では、原因となる疾患の対処をすることで、巨大食道症の症状などが軽減されることもあります。
しかし、先天性・後天性どちらの場合でも完治が難しいこともあります。そのため、早期発見、早期治療により負担を軽減することが最重要となります。
犬の巨大食道症の改善方法は?
さて、巨大食道症を改善する方法はあるのでしょうか。生活から取り入れることができる方法なども含めて3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
流動食による食事療法
症状の緩和や経過を観察するには、食事療法が重要になります。他の改善方法を並行して行っている場合でも、食道に水や食べ物が停滞しないように食事の形態や摂取方法を工夫することが苦痛の緩和、より改善に導く有効な方法です。
まず、食道を流れやすいようにペースト状や粥などの流動食にすると良いでしょう。また、摂取中や摂取後は、しばらく立位のままもしくは食道が垂直になるように体制を保護するようにしましょう。こうすることで、重力により食べ物などが胃へ到達しやすくなります。
内科的治療
後天的な発症の場合、根本的な対処法として薬物療法を用いることが多くあります。まず主疾患を対処することで、巨大食道症の対処にもつながっていくからです。また、巨大食道症の合併症として肺炎や栄養失調などがある場合にも薬物療法などの内科的治療が効果的となるでしょう。
摘出手術などの外科的療法
根本的な対処法のもう一つに手術などによる外科的療法があります。食道の肥厚や伸びてしまった組織などを手術によって正常化させることが可能となります。ただし、外科的療法は犬の小さな体に大きな負担を伴います。個々の体力や年齢、病態の進行状況などを考慮して最善の選択になる場合に行うと良いでしょう。
犬の巨大食道症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
巨大食道症は、完治が難しくその分早期発見と治療が重要な病気です。その原因には、生まれつきによる先天性と何らかの異常や疾患によって発症する後天性の二つがあります。症状としては、勢い良く嘔吐するのが特徴的で、嘔吐を繰り返すために体重減少なども生じます。また、誤嚥による肺炎にも注意が必要です。改善する方法としては、日常生活の中から食事に気を付ける食事療法や薬物療法などで行う内科的療法、体に大きな侵襲と負担をかけるが根本的な治療となる外科的療法などがあります。いずれも犬の年齢や体力、病気の進行状況を把握して最善となる対処をする必要があります。愛犬の巨大食道症でお悩みの方は、ぜひ大阪梅田ペットクリニックまでご相談ください。