犬が失明した時の対処法は?原因・確認方法・診断方法をご紹介!
最近、愛犬の様子が変わったことや物にぶつかるようになったなどの思い当たる節はありませんか?その変化は、視力の変化によるものかもしれません。しかし、視力の低下などの五感の変化はなかなか気づきにくいものです。
今回は、犬が失明した時のサインやその原因、対処法などを解説していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
犬が失明する原因は?
眼は、角膜や水晶体、網膜、視神経などいくつかの構造に分かれており、それぞれが役割を果たすことで色や距離感を認識したりして視覚となっています。その構造の中の経路に異常をきたすことで視覚の変化が現れるのです。
では、失明の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。主な原因を3つご紹介します。
加齢
加齢により失明するというよりは、加齢に伴う疾患が原因で失明に陥ることがあります。加齢によって、起こり得る眼の疾患は以下の通りです。
・白内障
・緑内障
白内障は、光を屈曲させ網膜に届けるレンズの役割を担ってる水晶体に濁りが生じる病気で、人間では老年性に多いイメージですが、犬の場合は若年性でも多く発症することがあります。このメカニズムは人間同様で、外見からは黒目が青白く見えます。視力の低下をもたらし、最悪の場合は失明に至ります。また、二次性疾患として緑内障を発症させる原因ともなります。
緑内障は、眼圧が上がって視神経が影響を受けることで、痛みとともに視覚に影響を及ぼします。進行すると失明に至り、早期治療で眼圧を調整することが重要です。
進行性網膜萎縮症
眼の光を電気信号として脳に伝達する役割を果たしている網膜が萎縮して光が徐々に認識できなくなっていく病気です。初めは、光の量が少ない暗い所で見えづらさを感じ、最終的には光の伝達が行き届かなくなり、失明に至ります。徐々に進行していくため、飼い主は異変に気づきにくいかもしれません。しかし、動きが躊躇するようになったり、物にぶつかることが増えたりなど異変が現れたら注意しましょう。遺伝性疾患とされ、詳しい原因は判明していません。6歳前後で症状が現れることがあります。早い子では、1〜2歳から進行している例もあります。完治させる治療法はなく、進行を遅らせる治療法もないのが現状です。
突発性後天性網膜変性症
文字通り、突然発症する病気でありはっきりとした原因は分かっていません。そのため、治療法も確立していないのが現状です。
網膜は、光を脳へ伝達する重要な役割を担っている部分です。その網膜にある細胞が突然細胞死していくことで、視覚が奪われます。この場合、人間同様に犬も混乱を招くため、行動の変化にも気づきやすいでしょう。
全犬種で発症する可能性がありますが、特にミニチュアダックスフンドやミニチュアシュナウザーなどの犬種での発症例が多く報告されています。
犬が失明したかを確認する方法は?
失明しているかどうか確認する方法があるのか気になりますよね。犬は、言葉で訴えることができない分、行動などを観察して確認するしかありません。
ちなみに人は赤・緑・青3色の色覚を持っています。それに対して犬は、緑・青の2色の色覚で赤の感受性が低いと言われています。
では、確認する方法を3つご紹介します。
目の前で物を落としてみる
綿球や柔らかいボールなど落ちても音が出ないような物を目の前で落としてみましょう。犬は視覚よりも聴覚が優れているため、音が出る物で試しても視覚の確認としては不十分です。聴覚に頼らないような物で試すのが効果的でしょう。
視覚が正常であれば、落ちたものを目で追うような仕草が見られます。しかし、見えていなければ何の反応もないでしょう。視線に注目して観察してみてください。
目に指を近づけてみる
もっとも簡単な方法としては、目に指や手を近づけるというものです。急に目の近くに物が来るとびっくりしますよね。防衛反応として、目を瞑ることや距離を取ろうとする行動が見られれば正常な反応です。しかし、視力に異常がある場合には顔や目の近くを触るまで気づかないかもしれません。視線や瞬きに注目してみましょう。
動線に障害物を置いてみる
犬が通る道に障害物を置いて確かめる方法も有効的です。置く場合には、万が一ぶつかっても怪我をしないようなゴミ箱やクッションなどにするのが良いでしょう。それらの障害物に影響されずに歩けていれば視力に問題はないと言えます。しかし、ぶつかってから障害物に気づいたり、床を嗅いで嗅覚に頼っているような仕草が見られた場合には視力に異常があるかもしれません。
犬の失明の診断方法は?
見えているか見えていないか、はっきり分からない時や失明の原因を特定する時などは、どのような診断方法が用いられるのでしょうか。眼の診断は主に眼底検査や超音波検査などが用いられます。場合によっては、MRI検査や顕微鏡などを用いることもありますが、今回は前者の2つについてご紹介します。
眼底検査
眼底検査は、網膜や視神経を観察するための検査です。特殊なレンズとライトを使用して、眼の奥を観察することができます。これにより網膜剥離や網膜萎縮症などの診断に役立ちます。ただし、検査前には眼の奥を見るために瞳孔を開かせる散瞳薬を使用します。散瞳薬は、眼圧が高い場合には使用ができないため、同時に眼圧検査を行う場合があります。
超音波検査
一般的に腹部や胸部に用いられる超音波検査ですが、目に当てることで、眼の大きさや内部の構造を確認することができます。これにより、網膜剥離や白内障、水晶体脱臼、腫瘍などを診断することが可能となります。
犬が失明した時の対処法は?
失明することは犬にとっても恐怖心を与えるものです。怖がりやすくなったり、驚きやすくなったり、日常生活の中でもストレスを感じるようになります。同時に寝ている時間が増えたり、遊ぶことに興味を無くしたりなど元気がなくなっているようにも感じられるでしょう。
では、突然視力を失った場合や徐々に失明していく場合、いずれにしても犬が安全に過ごすためにはどのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。
音によるコミュニケーションを増やす
視覚が奪われることにより、聴覚や嗅覚、触覚などのその他の間隔に頼ることになります。特に犬は、聴覚と嗅覚が優れている動物です。声かけを増やしたり、音の鳴るおもちゃで遊んだりなど、音のコミュニケーションを増やすと効果的です。また、おやつなどの匂いで嗅覚を刺激してあげることもおすすめです。
家具の角にカバーをつける
見えなくなっている分、物にぶつかりやすくなります。テーブルや棚なども角があるものにはカバーを付け、万が一怪我をしないようにしてあげましょう。また、食事をする場所やトイレの場所など、気を使って変えてしまうと分からなくなってしまい逆効果となってしまう可能性があります。動線に支障がないようなら変えないようにしてあげましょう。もし、変える場合には、覚えやすいよう一緒に声をかけながら数回歩いてあげると良いでしょう。
明るい時間に散歩をする
見えなくなることで、昼夜逆転してしまったり認知症の発症を促してしまったりする可能性があります。今まで行っていたルーティンなどは急激に変えたりせずにすることで、時間の間隔が掴みやすくなるでしょう。また、明るい時間に散歩をすることでサーカディアンリズムも整い健康を損なわないことにつながります。
精神的なケアを行う
もし、犬に視力の異常が見られた時には怪我をしないようにサポートするだけではなく、精神的ケアも重要です。視力の低下が見られた初期の頃から不安や混乱などを感じることがあります。また、恐怖心も高まるため臆病になったと感じることがあるかもしれません。進行していくと、飼い主やほかのペットに依存しやすい傾向にあります。見えないことの不安から聴覚や嗅覚、触覚で感じられるよう常に近くに居たがるようになるでしょう。
犬も人間同様に不安や恐怖、ストレスを感じる動物です。視覚が奪われることにより精神的変化も出やすくなります。抑うつ状態や異常行動など、これらをケアすることも失明の治療に当たると言えます。
犬の失明でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
犬の失明は、加齢によって引き起こされるものもありますが、ほとんどの場合ははっきりとした原因が分からない病気です。遺伝的と言われている網膜萎縮症も根本的な原因は不明であり、徐々に進行していくため進行を遅らせる治療法も、突発性網膜変性症と同様に治療法も確立していません。
もし、愛犬の行動に違和感を感じたら視線に注目して見てください。嗅覚や聴覚に頼っていないか、物を目で追っているような仕草はあるかが観察ポイントとなります。
視力の低下や失明に陥ってしまった際には、生活環境だけでなく精神面のサポートもしてあげましょう。犬にとって安心・信頼できる存在は飼い主さんしか居ません。見えない恐怖、不安に寄り添うことが何よりも重要です。視力の低下や失明でお悩みの際は、ぜひ大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。