猫の顎の腫瘍の原因は?扁平上皮癌の検査方法や治療方法・余命について解説!
猫の顎の腫瘍の原因は、扁平上皮癌が考えられます。この場合、レントゲン検査やCT・MRI検査などを行って診断し、必要であれば外科的切除などの治療を行っていきます。この記事では、猫の顎の腫瘍の原因や、扁平上皮癌の検査方法、治療方法などについて詳しくご紹介します。
目次
猫の顎の腫瘍の原因は?
猫の顎に腫れがあることを発見した場合、単なるケガや炎症だけでなく、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)と呼ばれる悪性腫瘍の可能性が考えられます。これは中高齢の猫に多くみられ、顎の下や口の中にしこりができていたら注意が必要です。しかし、猫はなかなか口の中を見せたがらないため、判断するのが難しいかもしれません。詳しい原因を知るためには、動物病院での診察がおすすめです。
猫の扁平上皮癌とは?
扁平上皮癌は、皮膚や粘膜をおおう扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。猫では特に口の中にできやすいとされており、口内腫瘍の大部分がこの扁平上皮癌だといわれています。
最初は口臭やよだれ、食べづらさといった小さな変化から始まることが多いのですが、進行していくと出血や腫れが目立つようになり、ともなって食事も困難になってしまいます。腫瘍は一度できると周囲の組織に広がる力が強く、命に関わるケースもあるため、いつもと違う様子や、症状が出ていると感じた場合は早めに病院を受診しましょう。
猫の扁平上皮癌の原因は?
猫の扁平上皮癌のはっきりとした原因は、まだ明確にはわかっていません。ただ、日光の影響が関係しているとされており、色素の少ない白猫や、外で過ごす時間が長い猫に多く見られる傾向があるといわれています。また、猫免疫不全ウイルス(FIV)やパピローマウイルスといったウイルスの関与も指摘されており、免疫の低下やウイルス感染がきっかけになることもあるようです。体質や環境、感染症など、いくつかの要因が重なって発症につながると考えられています。
猫の扁平上皮癌の検査方法は?
猫の扁平上皮癌は、見た目だけでは判断が難しいため、正確に診断するためには何種類もの検査が必要になります。口の中にしこりや出血が見られた場合は、まず視診や触診から始まり、必要な場合は組織の一部を取り出して詳しく調べていく生検や、画像検査なども行われます。
ここからは、猫の扁平上皮癌が疑われた場合の検査方法について詳しくご紹介します。
口腔を直接観察
まずは動物病院で、猫の口の中を直接目で確認する視診がおこなわれます。扁平上皮癌の場合、歯茎や舌、顎の周辺に異常な腫れやしこり、ただれたような箇所が見つかることがあります。口臭が強かったり、よだれに血が混じっていたりといった変化も、扁平上皮癌の可能性が考えられます。猫は痛みに敏感なので、口を触られるのを嫌がることが多いですが、早期発見のためにきちんとチェックしていきます。
組織生検
扁平上皮癌が疑われる場合、確定診断のために組織生検という検査が行われます。これは、腫れている部分や異常が見られる組織を少しだけ切り取り、顕微鏡で状態をチェックしていく方法です。細胞の形や構造を専門医が確認し、良性か悪性かを判断します。猫に少し負担のかかる検査ですが、治療方針を決めるため必要な検査です。
レントゲン検査
扁平上皮癌は、骨にも広がってしまうことがあります。顎のあたりにできた場合には、骨が溶けたり変形したりするケースもあるため、レントゲン検査を行って骨の状態を確認することがよくあります。画像をチェックして、腫瘍がどこまで浸潤しているのか、治療の見通しを立てることに使います。レントゲン検査は、痛みが強い場合や顎がうまく動かない時に必要な検査です。
CT・MRI検査
さらに詳しい情報が必要な場合は、CTやMRIといった高度な画像検査を行います。これらの検査では、腫瘍の正確な大きさや、周囲の組織にどのくらい広がっているかを立体的に把握できます。手術を検討する場合や、治療の計画を立てる際に使われます。動物病院によっては紹介先の専門施設で検査を受けることもありますが、猫の体にかかる負担を考慮しながら進めていきます。
猫の扁平上皮癌の治療方法は?
扁平上皮癌と診断された場合、症状や進行具合に応じてさまざまな治療法が検討されます。一般的には外科的な切除が基本となりますが、腫瘍の場所や広がりによっては放射線治療や抗がん剤を使った方法にすることもあります。どの治療にもメリットと負担があるため、猫の体力やその後の生活を考えながら飼い主さんと決めていきます。ここからは、猫の扁平上皮癌の治療方法について解説します。
外科的切除
扁平上皮癌の治療では、まず外科的に腫瘍を切り取る方法が基本となります。この腫瘍は周囲の組織に広がりやすいため、見た目以上に広い範囲を切除しなければならないことが多く、手術の傷も大きくなる傾向があります。場所によっては、顎の骨を一部切り取ることもあるため、術後に見た目の変化や生活への影響が出ることも。手術後は再発を防ぐために、放射線治療や抗がん剤を併用することもあります。
抗がん剤
猫の扁平上皮癌に対しては、最近では分子標的薬と呼ばれる新しいタイプの抗がん剤も使われはじめています。例えば、イマチニブやトセラニブといった薬は、がん細胞の増殖に関わる特定の分子を狙って作用するため、従来の抗がん剤よりも副作用が少ないと期待されています。ただし、全ての猫に効果があるわけではなく、体への負担もゼロではありません。また、この治療法はまだ猫における実績が少ないため、治療法としてあったとしても、選択肢になることはあまりありません。
放射線治療
扁平上皮癌は放射線に比較的反応しやすい腫瘍のひとつといわれています。そのため、手術と併用したり、手術が難しい場合には放射線治療だけで対応することもあります。治療は数回にわけて行うのが一般的で、がん細胞をじわじわと弱らせることを目指します。ただ、放射線治療を受けるには毎回の全身麻酔が必要で、猫の体への負担が心配されることもあります。年齢や体力、腫瘍の進行度などをふまえたうえで、治療方針を選んでいくことが大切です。
猫が扁平上皮癌になった時の余命はどれくらい?
猫が口の中に扁平上皮癌を発症した場合、治療をしなければ平均で1〜3ヶ月ほどの余命といわれています。進行が早く、腫瘍が骨にまで広がってしまうことも多いため、猫の体への負担も大きくなってしまいます。
ご飯を食べたくても痛みで口を動かせなかったり、じっと丸まって動かなくなる様子が見られることも。口の中の細菌感染によって悪臭が出てしまうケースもありますが、それもまた病気がもたらす症状です。
外科手術や放射線、抗がん剤などの治療を行うことで、症状の進行を抑え、少しでも長く、穏やかに過ごせる時間を伸ばせる可能性もあります。どのように過ごさせてあげたいか、どんな生活を送ることが猫にとって幸せかを考えながら、治療方法を決定していく必要があります。
猫の顎の腫瘍でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、猫の顎の腫瘍の原因や、扁平上皮癌の検査方法、治療方法などについて詳しくご紹介しました。扁平上皮癌は猫の口腔内腫瘍でもっとも多く、悪性であるとされています。そのため、違和感があったらすぐに動物病院を受診し、検査・治療を行うことが大切です。もし現在、猫の顎の腫瘍でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。大切な猫ちゃんの健康を守るために、一緒に取り組んでいきましょう。