犬が嘔吐を繰り返す場合の対処法
「愛犬が嘔吐を繰り返している」という状況は、飼い主さんにとってとても心配ですよね。嘔吐は犬の健康に何らかの問題がある兆候を示している可能性があるため冷静に観察し、原因を特定することが重要です。
本記事では犬が繰り返し嘔吐する原因と対処法について説明します。犬が深刻な症状を示す場合や嘔吐が持続する場合には、自己判断をせず、すぐに獣医師に相談しましょう。
目次
犬が嘔吐を繰り返す場合の対処法
犬が繰り返し嘔吐する場合、早めに病院へ連れて行った方が良いのか、しばらく様子を見てもいいのか悩んでしまう方も多いと思います。はじめに犬の嘔吐の危険度を見極める方法について解説します。
少し様子を見ても大丈夫な嘔吐
以下の項目のように原因がハッキリと分かっている場合の嘔吐であれば、少し様子をみても良いでしょう。
・黄色や透明の液体を吐いた
・過食、早食い後に吐いた
・乗り物に乗っていて吐いた
ただし頻繁に吐いたり、嘔吐以外の症状が確認できる場合には獣医師に相談しましょう。
すぐに病院へ行くべき危険な嘔吐
以下の症状がある場合は「いつものことだ」と軽く考えず、すぐに病院へ連れて行く必要があります。
確認して欲しいのは以下のとおりです。
・嘔吐の頻度
・嘔吐の状況
・嘔吐した物の色や内容
そして、以下のような症状が見られる場合は特に注意が必要となりますので、早急に獣医師へ相談しましょう。
・1日に3回以上、頻度に嘔吐する
・連日にわたって嘔吐が続いている
・嘔吐と同時に発熱や下痢、血便などの症状が見られる
・おしっこをしていない
・元気がなく食欲もない
・赤から黒茶色の液体を嘔吐した
・嘔吐できず「えずく」状態が続いている
・嘔吐物から「うんち」のにおいがする
・嘔吐物に寄生虫が見られる
特に激しい下痢が同時に起きている場合や尿が出ない状態が続いている場合は、危険な状態の可能性が高いです。できるだけ早く獣医師の診察を受けるようにしましょう。
嘔吐を繰り返す場合【子犬】
子犬は消化器官がまだ発達していないため、成犬よりも嘔吐しやすい傾向があります。水を飲んだ後やフードを食べた後に嘔吐しても、その後元気があるようなら様子を見ても良いでしょう。
嘔吐だけでなく発熱や下痢、脱力など他の症状が見られる場合は病院に連れて行ってあげてください。子犬は抵抗力が弱いため、成犬ならば軽い症状で済む病気でも重篤化してしまう場合もあります。
嘔吐が続く場合は獣医師に相談し、適切な処置や治療を受けるようにしましょう。
犬が嘔吐を繰り返す場合に疑われる病気とは?
犬が嘔吐を繰り返す場合にはどんな病気が考えられるのでしょうか。ここからは疑われる病気を解説します。
※正確な診断を得るためには獣医師の診察が必要ですので、気になる症状があった場合には自己判断せずに病院を受診しましょう。
腹腔内の病気
腹腔内の病気が考えられます。具体的には膵炎や腹膜炎、腫瘍などが挙げられます。
犬がお尻を高く上げる体勢を取る場合は「急性膵炎」を疑っても良いでしょう。この症状は早期の治療が不可欠ですので、迅速に対応する必要があります。
消化器系の病気
消化器系の病気が考えられます。具体的には胃腸炎や胃潰瘍、腫瘍や胃捻転などが挙げられます。
胃拡張や胃捻転は「大型犬」に多く見られる症状で、吐きたそうにしているが吐けずに「えずく」状態が見られるのが特徴です。胃拡張や胃捻転は発見が遅れると命にかかわる深刻な病気ですので、早めに受診しましょう。
感染症
ウイルス性の感染症が考えられます。犬パルボウイルス感染症は1〜2日で致命的になる恐ろしい病気ですが、混合ワクチンの接種によって感染を予防することができます。
他のウイルス性感染症でも「混合ワクチン」を受けていれば防げる可能性が高いものも多いため、推奨されているワクチン接種はなるべく受けるようにしましょう。
代謝性の病気
代謝性の病気が考えられます。具体的には腎不全や肝不全、糖尿病などが挙げられます。
急性腎不全では頻繁な嘔吐が見られることが多いです。腎臓に問題があると多量の水を摂取したがるので、おしっこの量が増える傾向があります。しかし病気が進行するとおしっこを出すことができなくなるので、早めの対応が肝心です。
早期に発見することで食事療法やサプリメントなどで改善できる場合もあります。
ストレス
ストレスが関与している可能性も考えられます。飼い主とのスキンシップの減少によって、孤立感や不安を引き起こし、それらがストレスの原因となる場合があるのです。
さらに同居人(ペット)との関係の悪化や環境の変化など、心理的な要因によるストレスが犬に影響を与えることがあります。犬は環境の変化に敏感であり、ストレス反応を示すことがあります。
寄生虫への感染
「犬回虫」という寄生虫に感染している可能性も考えられます。嘔吐した物や便の中に「そうめん」や「白いミミズ」のような形状の動く生き物を見つけた場合、それは犬回虫と呼ばれる寄生虫です。
回虫は人獣共通感染症であるため、人間にも感染する危険性があります。回虫を発見した場合はすぐに病院を受診し、治療を開始することが望ましいです。回虫を見つけたら捨てずに採取しておき、獣医師に診てもらいましょう。
犬が繰り返し嘔吐した後の対処法
嘔吐した後はどのように対応したら良いのでしょうか。ここからは嘔吐後の対処法について解説します。犬の様子をよく観察しながら以下の対処法を実施してみましょう。
※症状が重い場合や他の症状がある場合は、すぐに獣医師に相談することをおすすめします。
①絶食
半日〜1日ほど食べ物を与えず絶食させます。これにより胃を休ませ、吐き気や消化不良の症状を軽減します。
②水の制限
吐き気がある場合、水を与えることでさらに吐き気を催すことがあります。吐き気が落ち着くまでは水を制限し、与える際には少量にしましょう。
③食事の再開
吐き気が収まって犬が元気になっていることを確認したら、胃に負担のかからない食事を少量ずつ与えます。
④少量摂取が基本
食事は1日の量を3〜4回に分けて与えます。少量ずつ摂取していき胃への負担を軽減します。
⑤食事の徐々な回復
状態が安定してきたら徐々に普段の食事に戻していきます。量を少しずつ増やし、胃腸への負担を徐々に増やしていきます。
症状が改善しない、または他の症状が現れている場合には早めに獣医師の診察を受けてください。
吐しゃ物の片づけ方
犬が吐き出した物を掃除する際にはいくつかの注意点があります。
まず、素手での掃除は避けてゴム手袋を使用してください。これにより衛生面や感染のリスクを軽減します。プラスチック製のヘラなどを使用し、固形の吐しゃ物を慎重に取り除きます。ペットシーツなどを使用しても良いでしょう。
水で湿らせた雑巾をしっかり絞り、残った液体の吐しゃ物を拭き取ります。拭き取り後は、中性洗剤または弱アルカリ性洗剤を雑巾につけ、再度吐いたところの拭き取りを行います。
掃除後は手をしっかり洗い、使用したゴム手袋も適切に処理するようにしてください。
【まとめ】
犬が何度も吐く場合、重篤な病気の兆候が隠れている可能性があります。病気や寄生虫感染の早期発見には「嘔吐」が重要なサインとなりますので、症状を確認した場合には速やかに動物病院を受診しましょう。
嘔吐以外の症状もみられる場合にも、獣医師に相談することがおすすめです。言葉でコミュニケーションができない愛犬の健康は、飼い主の注意とケアによって守られます。