ストルバイト結晶ができる原因は?症状・予防方法もご紹介! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

ストルバイト結晶ができる原因は?症状・予防方法もご紹介!

「ストルバイト結晶」という言葉は、普段耳にすることがなく、一体何のことか分からないという人も多いのではないでしょうか。犬や猫の気になる異変は、ストルバイト結晶が原因かもしれません。では、ストルバイト結晶とはどのような症状をもたらすのでしょうか。また、ストルバイト結晶を発生させる原因とは何なのでしょうか。

今回は、ストルバイト結晶を発生させる原因から発生した際の症状、予防法、治療法などを解説していきます。些細な異変から発見できるようストルバイト結晶を理解していきましょう。

ストルバイト結晶とは?

ストルバイト結晶とは、下記の3つの物質から構成される結晶のことです。

・マグネシウム

・アンモニア

・リン酸塩

これらは、いずれも尿中に存在しており、尿のpH値によって結晶化されやすくなります。結晶化することで尿路結石などの原因となり得ます。犬や猫などの動物にはもちろん、人間での結石としても見られるものです。

ストルバイト結晶は犬、猫の両方に多く見られるとされています。また、軽度の場合はストルバイト尿結晶と言い、結晶が硬くなり石のようになったものをストルバイト尿結石と言います。初期の結晶化したストルバイト尿結晶の際は、食事療法などで改善する見込みがありますが、尿結石となってしまうと尿管に石が詰まり、手術を要することもあります。

これは人間の例ですが、尿路結石は痛みの強さを表した際に「三大疼痛」と呼ばれるほど激痛を伴う病気とさ、悶えるほど痛く、痛みを伴うもののトップ3に入ると言われているのです。

では、悪化すると恐ろしいストルバイト結晶が作られてしまう原因とは何なのでしょうか。詳しく下記で解説していきます。

ストルバイト結晶が作られる原因は?

ストルバイト結晶はどのようにして発生するのでしょうか。原因は一つとは限らなく、さまざまな要因が重なり合うことで発生します。では、発生要因の4つを下記で詳しく解説します。

尿のアルカリ化

尿のアルカリ化は、結晶化の原因の一つです。pH値という値をご存じですか?小学生の理科などで液体に付けるとリトマス試験紙で赤や青などに変化する実験などを行ったのを覚えている人もいるでしょう。あれは、pH値によって色が変化する仕組みを利用して実験を行っていたのです。数値が低いほど酸性、高いほどアルカリ性に傾いていると言えます。

動物の体はおおまかなpH値が決まっており、そこから逸脱すると体調不良を引き起こします。犬や猫ともに尿のpH値は、6.5前後が理想的とされています。しかし、そのpH値が7以上になる、つまりアルカリ性に傾くことで結晶化を招きやすくなるのです。

尿の貯留時間が長い

尿の貯留時間が長いことは、膀胱に尿をとどまらせる時間が長いということです。膀胱内に貯留されている時間が長ければ長いほど、尿中にあるミネラルの濃度は濃くなり、結晶化を助長させます。また、人間同様、トイレの我慢は膀胱炎などの病気の原因ともなります。

特に犬は知らない人がいたり、慣れない場所であったり、環境の変化などでトイレを我慢しやすいでしょう。たとえ、ストルバイト結晶を発生させなくても膀胱炎などのリスクもあります。我慢させる環境をなるべく避けてあげることで、予防策にもつながるかもしれませんね。

尿のミネラル濃度が高くなっている

尿中のミネラル濃度が高くなる理由としては、下記のことが考えられます。

・飲水量が少ない

・食事の偏り

・排泄の我慢

飲水量が少ないと、尿の濃度は濃くなります。そのため、自然とミネラル濃度も高くなります。食事の偏りでは、「〜に良いから」という理由で栄養の偏りが生じていないか注意しましょう。特定の成分のみの高濃度は、腎臓や肝臓に負担をかけるだけでなく、ストルバイト結晶を発生させる要因ともなり得ます。

ストルバイト結晶ができると起こる症状は?

ストルバイト結晶ができるとどのような症状があるのでしょうか。犬や猫の異変に気づくためにも、代表的な症状を覚えておくといいかもしれませんね。

排尿時に痛みを感じる

排尿時に痛みを感じる、いわゆる排尿時痛です。痛みによって、トイレでうずくまっていたり、痛そうに鳴いたりすることがあるかもしれません。

血尿

血尿は、顕微鏡的と肉眼的血尿に分類されますが、目で見て気づくことができるのは肉眼的血尿です。尿がピンク色や赤褐色、赤色などの変化があった場合には、血尿を疑います。血尿は膀胱炎の症状でも見られるものです。

尿が出ない

トイレに行くのに少量しか出ていないことやトイレの回数が増えるなどの症状が見られます。これは、残尿感や頻尿といった状態からなります。こちらも膀胱炎でも見られる症状です。

ストルバイト結晶の予防方法は?

ストルバイト結晶を引き起こさないよう予防をしたいものですよね。ここで、ストルバイト結晶の予防となる4つの方法をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

水分の摂取量を増やすためにウェットフードを与える

ペットフードをドライのものよりもウェットのものに変えると水分摂取量も増やすことができます。

水分摂取がしやすい環境を整える

水分摂取は、ストルバイト結晶を予防するためには必須です。自然と水分摂取できる工夫をしたり、リラックスできる環境を整えたりすることで水分摂取を促しましょう。工夫として、食事をスープ風にすることやおやつとしてミルクなどを活用すると水分摂取量アップにつながります。

十分な数のトイレを用意する

トイレを我慢させない環境作りが重要です。また、猫の場合には安心して排泄できるような環境を作ったり、トイレの構造を工夫することでトイレのストレスを軽減させられるかもしれません。

アルカリ性の尿を防ぐ

尿の長時間の貯留を防ぐことでアルカリ化を予防できます。運動量を増やすと排泄頻度も増やすことができると言われています。室内飼育の場合では、肥満対策に効果的なので適宜、運動ができるようにすると良いでしょう。

ストルバイト結晶は治すことができるのか?

ストルバイト結晶の発生要因によっても治療法は異なりますが、投薬や食事療法、手術などによって治療することができます。軽度の場合では、食事療法や環境を変えるなどで改善する可能性があります。細菌などの感染が疑われる場合や血尿などの症状があり炎症をきたしている場合には、抗生物質や炎症止めなどの投薬が必要になるでしょう。重症化してしまい、尿管に結石が詰まってしまったりすると手術での治療が望ましいこともあります。

ストルバイト結晶でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

ストルバイト結晶は、尿中の物質が結晶化されてしまったものです。悪化すると結石となる可能性もあります。いくつかの要因が重なり発生することが多く、特に犬に多いと言われています。初期~中期の症状では、排尿時痛や血尿など膀胱炎と類似した症状が見られますが、ストルバイト結晶尿は排泄尿で結晶がキラキラして見えるのが特徴的です。

重症化し、尿管結石となると手術を要することもあります。また、人間でも「三大疼痛」と呼ばれるほどの激痛を伴う病気です。言葉で訴えることができない分、些細な異変から早期発見につなげてあげましょう。ストルバイト結晶や結石についてお悩みの方は、ぜひ大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。