犬に寄生するダニの種類や症状は?特に注意すべきダニはマダニ!
ダニは小さく、実はとても身近に存在しているものです。犬を飼われた経験がある方の中には、病気や予防注射の他、日常的にダニ予防に力を入れる方も少なくないでしょう。いつ、どこでダニが寄生するか油断できませんよね。
では、なぜダニから寄生されるのを防ぐのでしょうか。具体的な理由をご存じですか?
今回は、犬に寄生するダニの種類や寄生された際の症状などをご紹介します。
目次
犬に寄生するダニの種類は?
「ダニ」と一言で表していても、さまざまな種類がいることをご存じですか?
今回は、ダニの種類の中でも犬に寄生するダニをいくつかご紹介します。
マダニ
マダニは、人間や犬など動物に寄生し吸血するクモの一種です。吸血したマダニの姿は、まん丸と膨らみ、肉眼的にもはっきり見ることができます。
草むらなどに生息し、散歩の際などに寄生されやすいです。マダニに寄生されると、かゆみや痛みを伴います。また、吸血されることによりマダニが持つウイルスや病気に感染する可能性があります。時に、深刻な感染症を引き起こしたり人間に感染したりする可能性があるので、注意が必要です。
そして、犬に寄生するダニの中で特に気を付けなければならないダニでもあります。その理由については後述で詳しく解説していきます。
ヒゼンダニ
ヒゼンダニは、皮膚の角質層に寄生し、かゆみや脱毛、皮膚の乾燥、フケなどの症状が現れます。胸部や腹部、脚、耳などに好発します。
ヒゼンダニは比較的小さく、肉眼的に見ることはできず、顕微鏡を使って寄生しているか診断します。また、人間にも感染の可能性はあり、同様の症状をもたらします。犬からの感染でなくとも、皮膚の弱い高齢者などはヒゼンダニに寄生されている場合が多く見受けられます。
ニキビダニ
ニキビダニとは、毛穴や皮脂腺などに生息しているダニです。肉眼的には見えない大きさで、特に皮脂が多い部分に生息していると言われています。通常、生息していても問題はないのですが、免疫力の低下や免疫系の病気を患った際に、増殖し、脱毛や皮膚の肥厚、炎症、発赤などの症状が現れることがあります。
イエダニ
イエダニは、カーペットやマットレス、ソファなどに潜んでいるダニです。肉眼で見ることは出来ませんが、イエダニの死骸や排泄物などはアレルギー症状を引き起こす原因です。特にマットレスやソファ、布団などは温かく湿気がこもりやすく、イエダニが繁殖しやすい環境となっています。また、こまめに掃除をしていてもなかなか取り切れていないことも多いです。生きたまま除去しようとすると返って、逆効果になる可能性があります。イエダニは、60℃以上の高熱で死滅すると言われています。
予防や対策のためには、掃除用具を上手く活用し死滅した状態で除去するようにしましょう。
ツメダニ
ツメダニは、皮膚に寄生するダニです。特に犬の背中に多く見られ、かゆみやフケ、皮膚炎などの症状を引き起こします。猫やウサギなどの動物にも感染し、人間にも寄生する可能性があります。また、ツメダニは、吸血しないダニですが、間違って噛むことがあり、湿疹を引き起こすこともあります。
特にマダニに注意!引き起こされる症状とは?
マダニには、要注意であると前述しました。では、なぜマダニが他のダニよりも注意が必要なのでしょうか。それは、マダニによって引き起こされる症状にあります。その症状を詳しく解説していきます。
皮膚炎
マダニによる唾液などの分泌物がアレルギー症状として引き起こされると、強いかゆみを伴う皮膚炎になる可能性があります。皮膚炎による炎症が続くとそこが感染経路となりやすくなり、他の感染症を発症する引き金になりかねません。
犬バベシア症
「バベシア」という原虫が赤血球に寄生し、赤血球を破壊していく病気です。赤血球が破壊されることで、貧血を起こし、元気の消失や粘膜の変色などの症状が見られます。その他にも、黄疸や食欲不振、リンパの腫れ、体重減少、ふらつきなどの症状が現れる可能性があります。
バベシア症は、南米の北部や西日本特有であるとされてきましたが、現在では、全国的に感染する可能性があると言われています。
ダニ麻痺症
マダニによって吸血された際に毒性をもつ分泌物が体内に入り引き起こされる症状です。症状は、マダニに咬まれてから5〜9日後に発症することが多く、発症後24〜48時間で急速に進行します。筋肉を動かすための神経伝達に影響を与え、後ろ足や歩行などに異常が見られるのが初期症状で多くあります。進行すると、前足や呼吸、顔の神経、嚥下機能に影響を与えます。
ライム病
マダニに咬まれることで「ボレリア・ブルグドルフェリ」という細菌の一種に感染することで発病する病気です。症状は、関節の痛みや腫れ、リンパの腫れ、発熱、足を引きずって歩くなどが見られます。進行すると、心臓や神経に影響を与えたり腎不全を引き起こしたりする可能性があります。また、人間もマダニに咬まれることで発病する可能性もあります。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群とは、マダニによって媒介されるSFTSウイルスによる感染症です。2〜3日の潜伏期間後、発熱や倦怠感、食欲低下、嘔吐、下痢など多岐にわたる症状を発症し、重症化すると死に至る侮ってはいけない病気の一つです。検査項目では通常、感染徴候が見られると白血球や血小板は増加傾向にありますが、SFTSの特徴は、これらが減少することです。また、このウイルスは、人にも感染する可能性もあります。
犬が罹患した場合の致死率は、約40%と言われています。
マダニが発生しやすい時期はいつ?
マダニが活発化するのは、春と秋と言われています。しかし、夏や冬でも活動はしており、1年中油断は禁物です。
春と秋に活発化する理由は、産卵時期にあたるからです。マダニは、動物に寄生し吸血した後、動物から離れて産卵します。
春は、成虫となったマダニが産卵のため活動的になります。そして、秋には若いマダニが多く発生するのです。
犬にダニが寄生しないための予防方法は?
ダニは、犬だけでなく人間にも影響を与えるものです。しかし、しっかり予防することで、ダニによって引き起こされるさまざまな症状を防ぐことができるかもしれません。
では、ダニによる被害を防ぐにはどのような予防策があるのでしょうか。2つご紹介します。
駆除薬を投与する
ダニの予防は、1年中行う必要があります。ペットショップなどでも手軽に予防できる首輪やスプレーなどのグッズが多く取り揃えられています。ただし、市販のものは病院で処方されるものよりも効果や期間が不十分なこともあります。犬にも飼い主にも負担の少ない、ライフスタイルに合ったグッズで取り入れてみると良いでしょう。
動物病院では、より効果が期待できる飲み薬の取り扱いもあります。家族全員の健康のためにも、獣医師に相談してみるのも良いかもしれませんね。
定期的にシャンプーやブラッシングを行う
シャンプーやブラッシングは、皮膚の状態を清潔に保ったり観察したりするためにも有効です。特に散歩や他の犬との交流があった後には、ブラッシングを丁寧に行うと良いでしょう。汚れを取り除くとともに、ダニが付いていないかの確認もしましょう。
ダニがつきやすい犬の体の部位はどこ?
マダニは、体中どこにでも寄生する可能性があります。その中でも、寄生しやすい箇所は以下の通りです。
・顔周り
・内股
・指の間
比較的毛に覆われていない、皮膚の柔らかい部分に寄生しやすい傾向にあります。特に顔は、散歩などで匂いを嗅ぐために顔を草むらなどに近づけることが多く、寄生しやすい部分です。
犬のダニが気になる方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
ダニには、さまざまな種類が存在し、その症状も多岐にわたります。その中でも、マダニは犬だけでなく、人間にも大きな影響を与えかねない危険な種類です。吸血することで、病気の媒介者ともなり、予期せぬ事態を招く可能性も十分にあります。しかし、マダニが寄生しているからと言って、むやみに取ることは控えましょう。正しい除去の仕方でなければ、歯が残ってしまいます。投薬や外用などの駆除薬は、予防とともに既に寄生しているマダニにも効果が期待できるものもあります。安全に除去するためにも獣医師に相談すると良いでしょう。
大切な家族を守るためにもダニのケアは重要です。犬のダニについて気になる方は、ぜひ大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。