犬の嘔吐物に血のつぶつぶが混じる原因と正しい対処法とは? - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

犬の嘔吐物に血のつぶつぶが混じる原因と正しい対処法とは?

愛犬が「血のつぶつぶが混ざった物」を吐いてしまった場合、飼い主としては心配と不安が募りますよね。犬の嘔吐にはさまざまな原因がありますが、血が混ざっている場合には早急に対処することが必要です。

本記事では犬の嘔吐後に適切な対処法を紹介します。犬の健康を守るために正しい対処を行いましょう。

犬の嘔吐物に血のつぶつぶが混じる原因

犬が嘔吐する際に「血のつぶつぶ」が混じることがあります。血の混じった嘔吐にはさまざまな原因が考えられ、多くの場合は早急な対応が必要です。

犬の嘔吐物に血のつぶつぶが混じる一般的な原因を紹介します。

消化器の炎症や腫瘍

原因の一つとして消化器の炎症や腫瘍が考えられます。胃炎や腸炎などの炎症が起こると消化器の表面の粘膜がもろくなって傷つきやすくなり、少量の出血を伴うことがあります。

吐いたものが少しピンクになったり、少量の血の塊が点々と見られる程度であれば、問題ない場合も多いです。しかし、胃潰瘍などの重症な状態では出血量が増え、嘔吐物のほとんどが鮮血となることがありますので、よく観察してみてください。

消化器のいずれかに癌や腫瘍が発生した場合も、吐いたものに血が混じることがあります。出血量は腫瘍の種類や大きさによって異なりますが、突然の大量出血や持続的な出血を伴うこともあります。

歯や口腔内の異常

原因の一つとして歯や口腔内の異常が考えられます。特に歯周病が重症化している場合、口腔内の血液が口から出て「吐血のように見える」ことがあります。

歯周病は犬にとって一般的な口腔疾患で、細菌やプラークが歯茎周囲に蓄積して炎症や歯肉の退縮を引き起こします。重症化すると歯肉が出血しやすくなり、口腔内の血液が嘔吐物に混じることがあるので注意しましょう。

犬の口腔内の異常は早期に発見し、適切な処置を行うことが重要です。定期的な歯磨きや予防的な歯科ケア、定期的な獣医師のチェックアップを行うことで、歯周病の進行を予防することができます。

鼻や肺といった呼吸器の異常

一つの原因として鼻や肺などの呼吸器の異常が考えられます。重度の鼻炎や鼻腔内腫瘍がある場合、血が喉から逆流して犬が血を吐くことがあります。また、肺に水が溜まる肺水腫を引き起こし、その結果として血の混ざった液体を吐くことがあります。

肺水腫は緊急を要する状況であり、迅速な対応が生死を分けると言っても過言ではありません。早急に獣医師の診察を受けることが重要です。

止血異常

止血に関わる「血小板」という物質が、犬自身の抗体によって誤って「異物」と認識されてしまうことがあります。このような状態になると、消化器だけでなくさまざまな臓器から出血が起こる可能性があるので、早めの対応が肝心です。

大量の吐血が生じる可能性もあります。犬が嘔吐する際に血のつぶつぶを確認した場合は、速やかに獣医師に連絡して状況を詳しく説明しましょう。

異物誤飲や中毒

異物誤飲や中毒が原因の場合もあります。先の鋭い串やジャーキーなどの異物を誤飲したことが原因となり、物理的な刺激が粘膜に加わることで出血を引き起こすのです。

元気で食欲もあった状態から急に出血が起こる場合には注意が必要です。チョコレートや玉ねぎなどの中毒物質を誤飲した場合も、吐血の可能性があります。

その他

前述した原因の他に、草を食べた刺激によって嘔吐が起こった場合も考えられます。草が内臓を傷つけてしまい、出血を引き起こすのです。

犬は気持ち悪くて吐きたいときに草を食べる傾向がありますが、胃潰瘍などの疾患が疑われる際にも草を食べたがるので、軽視してはいけません。

胃潰瘍は消化器の粘膜が傷ついて出血を引き起こすため、嘔吐物に血が混じることがあります。犬が嘔吐して血のつぶつぶが見つかった場合は、できるだけ早く獣医師に相談しましょう。

犬が吐血してしまったときの対処法や応急処置は?

犬が吐血してしまった場合、嘔吐後に飼い主さんが「どう行動するのか」が重要になってきます。ここからは、嘔吐後の対処法について見ていきましょう。

体に異常がないかを確認する

吐血が起こった場合、犬の体に異常がないかどうかを確認しましょう。

まず口腔内の状態や排便や排尿に異常がないかを確かめてください。口腔内を観察する際には出血や腫れ、潰瘍などの異常があるかを注意深くチェックします。また、歯や歯茎の状態や口臭にも注意を払いましょう。口腔内の異常は吐血の原因となる可能性があります。

さらに、皮膚の色にも異常がないかを確認しましょう。特に粘膜の色や目の充血具合、舌の色などを注意深く観察してください。異常な色や著しい充血がみられる場合は、病気や内臓の問題を示唆する可能性があります。

排便や排尿にも異常がないかを確かめることも重要です。便や尿の色や量、頻度や異臭などに変化がある場合は、消化器や泌尿器系の問題が考えられます。

口腔内の異物を取り除く

出血の原因が口腔内であることが明確な場合に限りますが、異物を取り除くことで吐血が収まる場合があります。ただし、原因が分かっているからといって無理に異物を取り出そうとするのはオススメできません。

無理に行うことで口腔内を傷つけ、さらなる出血を引き起こす可能性があるからです。口の中に異物が詰まっている場合は、無理に取り出す前に獣医師に相談してアドバイスを仰ぎましょう。

絶食する

消化器官のキズによる吐血の場合は、絶食によって吐血の量を減らすことができる可能性があります。数時間から一日程度の絶食を目安としましょう。

絶食によって胃への刺激が軽減され、粘膜の回復を促すことができます。ただし、絶食は犬の体調や状態に応じて行う必要がありますので、必ず獣医師の指示やアドバイスに従いましょう。

絶食は一時的な措置であり、犬の体調や症状の経過によって必要な期間が異なる場合があります。吐血の状態や犬の全体的な健康状態を考慮し、適切なタイミングで食事を再開するようにしましょう。

動物病院へ連れていく

犬が吐血している場合、それは既に体内に何らかの異常が生じているサインだと考えましょう。吐血は比較的重篤な症状であることが多いため、迅速な受診が必要です。

犬の健康を守るためにはできるだけ早く動物病院へ連れていくことが重要です。獣医師は犬の状態を適切に評価して必要な治療やケアを迅速に提供してくれます。

かかりつけの動物病院がない場合は、もしもの時の為にも、いくつかリサーチしておくことが大切です。

犬の吐血は予防できる!

病気が原因となる犬の吐血を予防することは困難ですが、熱中症やストレスによる吐血の場合は、環境の見直しを行うことで予防は可能です。

室温や食事内容を見直してみましょう。また、異物の誤飲などは飼い主さんが注意深く見守ることで予防できる場合が多いです。愛犬に危険な物を与えず、常に目を離さず、目の届く範囲で遊ばせるようにしましょう。

毎日のスキンシップによって愛犬の体調を把握し、犬の吐血を最小限に抑えることができます。

犬の嘔吐物に血のつぶつぶを確認した際の対処法【まとめ】

犬が血のつぶつぶを吐いた時、飼い主さんは焦ってパニックになりがちですが、こういうときこそ冷静に対応しましょう

嘔吐物の量や色を観察し、早急に獣医師に相談することが大切です。獣医師は適切な診断と治療を行い、犬の健康状態を回復させるための措置を取ってくれます。

犬は痛みを我慢してしまう生き物ですので、飼い主のアナタが頼りです。一刻も早い対応と適切な医療ケアで、犬の健康を守りましょう