【犬が吐いたら嘔吐物の色を確認!】深刻度や考えられる病気、対処法について徹底解説 - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

【犬が吐いたら嘔吐物の色を確認!】深刻度や考えられる病気、対処法について徹底解説

愛犬が突然嘔吐をした場合、その吐いた物の色を確認することは重要です。嘔吐物の色は、深刻度や考えられる病気を示唆する重要な手がかりとなります。

本記事では、犬の嘔吐物の色に注目し、異常な状態や潜在的な健康問題を探り、それに対する適切な対処法について詳しく解説します。愛犬の健康を守るために、嘔吐物の色を見逃さずに対処する方法を学んでいきましょう。

犬の嘔吐物の色で判断!嘔吐の原因と対策法

犬の嘔吐物の「色」は、原因と対策を判断する上で重要な情報です。愛犬が嘔吐してしまった場合には、すぐに片づけずに嘔吐物の色を確認しましょう。

犬の嘔吐物が透明・白色

犬が嘔吐し、その嘔吐物が白っぽく泡立っている場合、それは『胃液』の可能性があります。胃液は無色透明の液体ですが、時に白く泡立つこともあります。ほとんど臭いがしないのが特徴です。

口の周りにわずかな泡がある程度で、犬が元気な様子であれば心配する必要はないと考えてもよいでしょう。ただし、嘔吐後の数時間は食事やおやつを控えて、ゆっくり休ませると良いです。また嘔吐後に水を与え過ぎると、嘔吐の再発を引き起こす可能性があるので控えた方が良いと言えます。

嘔吐の原因としては、ストレスや過食、長時間の空腹などが考えられます。空腹により胃酸が過剰に分泌されることで、食道に逆流し、嘔吐が引き起こされるのです。

対策としては、

・食事の量を見直す
・空腹時間を減らすために食事の回数を増やす
・腹持ちの良い食事を与える


などが有効です。

犬の嘔吐物が黄色

犬が黄色の嘔吐物を吐いた場合、それは『胆汁』の可能性があります。時に泡も混じっていることがあります。胆汁にはツーンとした刺激臭があり、生臭いにおいと表現する人もいます。

原因としては、食べ過ぎや長時間の空腹が挙げられます。胆汁が胃に逆流し、刺激を受けることで嘔吐が引き起こされます。食欲や元気はあるのに、空腹の状態で吐く症状は『胆汁嘔吐症候群』と呼ばれます。

このような場合、前回の食事から時間が経つと吐くため、朝起きてすぐや夜ご飯前に嘔吐することが多いです。

対策としては、

・腹持ちの良い、さつまいもなどをおやつとして与える
・1回の食事量を減らして回数を増やす


などが有効です。

一過性の症状で、吐いた後でも食欲や元気がある場合はとりあえず様子を見てもいいかもしれません。しかし、1日に何度も吐いたり、吐き方が激しい場合は、単なる嘔吐ではない可能性が考えられるため、早めに獣医師の診察を受けましょう。

犬の嘔吐物が緑色

犬が緑色の嘔吐物を吐いた場合、それも「胆汁」の可能性があります。通常、胆汁の色は黄色ですが、空気に触れて酸化することで黄緑〜緑色に変色します。つまり愛犬が嘔吐をしてから一定の時間が経過した場合、嘔吐した胆汁は緑色に変色するのです。

嘔吐の原因や対策方法は前述の情報と同様で、食べ過ぎや空腹時間が長いことが挙げられます。胆汁が胃に逆流して刺激を受けることで嘔吐が引き起こされます。食欲や元気はあるのに空腹の状態で吐く症状は「胆汁嘔吐症候群」と呼ばれます。

対策としては、腹持ちの良いものをおやつとして与えたり、1回の食事量を減らして回数を増やすなどが有効です。

犬の嘔吐物が茶色・黒色・赤色

犬が茶色や黒色、赤色といった色の嘔吐物を吐いた場合、それは体内のどこかから出血している可能性を示しています。薄い赤色でかつ少量の場合は、嘔吐によって食道が胃酸によって荒れてしまったことによる出血と考えられます。

一方で、濃い赤色の場合は胃内部からの出血の疑いがあり、急性胃炎や胃潰瘍、悪性腫瘍(ガン)などの病気が疑われます。茶色や黒い嘔吐物は、出血から一定の時間が経過していることを意味します。

このような場合は非常に緊急性が高く、様子を見ることなく、できる限り早く動物病院を受診してください。

嘔吐症状で考えられる病気

嘔吐症状によって考えられる病気とは何があるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

突然激しい嘔吐を繰り返す

突然の激しい嘔吐を何度も繰り返す場合、急性胃炎の可能性があります。急性胃炎は犬の胃内部の急性炎症を指し、原因は多岐にわたります。

・腐敗した食べ物や水
・有害な植物
・毒物の摂取
・薬剤
・寄生虫
・ウイルス性疾患
・細菌性疾患
・ストレス


などが引き起こすのです。

軽度の場合は嘔吐以外の症状は見られないこともありますが、症状が重症化すると脱水症状や腹痛、食欲低下などが現れることがあります。

嘔吐物や便に血が混じる

犬の嘔吐や便中に血が混じる場合、「胃潰瘍」が考えられます。胃の出血によって嘔吐物や便に血が混じることがあり、それに加えて発熱や食欲不振、腹痛や体重減少などの症状も見られます。

胃潰瘍は犬の胃粘膜が胃酸やペプシンによって傷つく状態であり、進行すると胃に穴が開くこともあります。

この病気の原因は様々であり、

・腎不全
・肝不全
・ポリープ
・リンパ腫
・肥満細胞腫
・ジステンパー
・パルボウイルス
・過度なストレス


などが考えられます。

嘔吐や食欲不振だけでなく元気もない

嘔吐や食欲不振、体重減少、そしてなんとなく元気がない状態が見られる場合、慢性胃炎が疑われます。慢性胃炎は犬が胃の炎症を慢性的に起こしている状態を指し、原因は様々です。

犬がおなかを触られるのを嫌がったり、粘膜にひどい炎症が起きている場合は、血を吐くこともあります。

慢性胃炎の原因は、

・急性胃炎の持続的な状態である場合
・尿毒症
・胃潰瘍
・アレルギー
・過度なストレス


などが考えられます。

吐きたくても吐けない状態でヨダレを流す

犬が食後2〜5時間程度で急に腹部が膨らんできて、吐こうとしても吐けずにヨダレをダラダラと流す様子が見られる場合、胃捻転・胃拡張が疑われます。

胃捻転・胃拡張は、文字通り犬の胃がねじれたり広がったりする病気であり、特に胸が深い犬種(シェパード、ドーベルマン、ボルゾイなど)によく見られます。この時、お腹を触られることを非常に嫌がります。

胃捻転・胃拡張は急速に悪化し、放置すれば致命的な結果となりますので、すぐに病院を受診してください。犬が食後に大量の水を飲んだり激しい運動をした場合に起こりやすいため、食後はケージに入れて安静にさせることが必要です。

嘔吐と食欲不振で元気がない

腸閉塞(イレウス)では元気がなくなり、食欲不振や嘔吐、腹痛が起こることが一般的です。この病気にかかると犬の腸管内で食べ物が通過できなくなる状態になります。

腸が完全に塞がっていない場合は排便が可能ですが、完全に閉塞してしまうと犬の命にも関わる危険がありますので、早急な処置が必要です。

腸閉塞の原因としては小石やおもちゃ、骨などの異物が詰まることが挙げられます。また、腫瘍や大量の寄生虫など異物以外の原因も考えられます。

嘔吐後の食事は?正しい対処法について

愛犬が嘔吐した後、食事や水の与え方について迷うことがあるかもしれません。ここからは正しい対処法をご紹介します。

絶食・絶水する際は脱水症状に気を付ける

嘔吐直後は、胃が食べ物や水分を受け付けない状態にあるため、絶食・絶水が基本となります。ただし、この際「脱水症状」には注意してください。半日〜1日程度、水や食事を与えずに様子を見ながら、嘔吐症状の改善を待ちます。

嘔吐が収まった後は、最初に少量の水を与えます。吐かないようであれば、水の量を徐々に増やしていきます。水分摂取に問題がなければ、食事を与えることができます。

最初は消化しやすい食事を少量ずつ与え、様子を見てください。ドライフードに水分を加えて柔らかくする方法も有効です。2〜3日の間は、食事量を少なくして3〜4回に分けて与え、食べられるようであれば徐々に通常の食事に戻していきます。

ただし、絶食・絶水しても嘔吐が収まらない場合や、食事を摂らない状態が続く場合は、獣医師による診察が必要です。

【まとめ】

犬の嘔吐にはさまざまな要因があり、その緊急性も症状や状況によって異なります。嘔吐物の色や吐いた後の症状を観察することで、ある程度状況を判断することが可能です。ただし嘔吐に関しては命に関わる深刻な状態の可能性もあるため、自己判断をせずに動物病院を受診しましょう。

大切なことは、愛犬の様子を冷静に観察し、慌てずに対処することです。不安がある場合は、迷わず獣医師に相談してください。愛犬の健康と安全を守るためにも、正確な情報を獣医師と共有することが大切です。