犬のしこりの原因は?考えられる病気や対処法を解説!
犬のしこりの原因として考えられるのは、皮膚にできる腫瘍のほか、皮膚の炎症や外傷でもしこりのように見えたり触れたりすることがあります。この記事では、犬のしこりから考えられる病気や対処法などについて詳しくご紹介します。
目次
犬のしこりとは?
まずは、犬のしこりの特徴やできやすい部位、良性と悪性の違いについて詳しく解説します。
犬のしこりの特徴
犬のしこりとは、皮膚や皮下組織に触れるかたまりのことです。硬いものや柔らかいもの、境界がはっきりしているものや不明瞭なもの、皮膚と一緒に動くものや動かないものなど、その様子はさまざまです。
しこりは、炎症によるもの、腫瘍、液体の入った袋状のものなど、原因に関係なく体の表面にできたかたまりを指します。腫瘍(良性・悪性含む)のほか、皮膚の炎症や外傷でもしこりのように見えたり触れたりすることがあり、毛包炎だったというケースもあります。
犬のしこりができやすい部位
脂肪腫という良性の腫瘍は、腹部、胸部、太ももなどの軟部組織に発生する傾向があります。また、乳頭腫という良性のしこりは、頭部(特に耳)や四肢にできやすいです。悪性腫瘍であるリンパ腫の場合、あごの下、首の付け根、脇の下、内股の付け根、膝の裏にある体表リンパ節が腫れてしこりとして触れるようになります。乳腺腫瘍は、前足の脇の下から後ろ足の付け根近くまで分布する乳腺にできます。ただし、しこりは体のどの部位にもできる可能性があるため、全身をくまなくチェックすることが大切です。
良性と悪性の違い
良性腫瘍は、まわりに転移せず、その部分でゆっくりと大きくなるもので、悪性腫瘍(がん)は、周りの正常な組織にしみこむように広がったり、血液やリンパ管を通ってほかの臓器に広がったりして、犬に悪影響を及ぼすものです。良性の場合は、皮膚を壊すことなくしこりが大きくなる傾向があり、脱毛や皮膚が赤くなることは少なく、急に大きくなりません。一方、悪性の場合は、皮膚を壊してしこりが大きくなるため、毛が抜けたり皮膚が赤くなったりして、一週間単位でしこりの大きさに変化が現れることがあります。しかし、良性か悪性かの判断は見た目だけではできません。そのため、しこりを見つけたときは、痛がっているような症状の有無にかかわらず、早めに獣医師に相談することが大切です。
犬のしこりから考えられる病気
犬のしこりにはさまざまな種類があり、それぞれ原因となる病気が異なります。良性のものから悪性のものまで、見た目だけでは判断できないことも。ここでは代表的な病気とその特徴をわかりやすくご紹介します。
イボ
犬の皮膚によく見られる「イボ」には、主に乳頭腫という良性の腫瘍があります。多くはパピローマウイルスというウイルスが原因でできる、白やピンク色のカリフラワー状の腫瘍です。
基本的に良性で、1〜2ヶ月ほどで自然に小さくなることが多いのですが、数ヶ月かかることもあります。ただし、老齢で発症した場合は扁平上皮癌という悪性腫瘍に変化する可能性があるため、注意が必要です。
まれに、黒い乳頭腫が多発する「色素性乳頭腫症」が起こることがあり、パグやミニチュア・シュナウザーには遺伝性の素因があるといわれています。また、皮脂腺腫というイボもあります。これは黄白色で脱毛したドーム状の小さなしこりで、老齢犬でよく見られます。皮膚に脂を分泌する腺の細胞が増えることでできる良性腫瘍で、多発することもあります。外科切除で治療しますが、ごくまれに悪性の可能性もあるため、診察を受けることが大切です。
組織球腫
組織球腫は、脱毛を伴う赤いドーム状の見た目が特徴的な良性腫瘍です。できやすい場所は頭部や四肢で、急速に大きくなりますが、2.5cmを超えることはほとんどありません。
ほとんどが数週間から数ヶ月で自然になくなりますが、そのまま残ることもあります。
3歳以下の若齢犬で発生することが多いですが、高齢犬で見られることもあります。見た目は他の腫瘍と似ていることもあるため、しこりを見つけたら動物病院で検査を受けることをおすすめします。
脂肪腫
脂肪腫は、皮膚の下にできる柔らかい脂肪のかたまりで、主に脂肪細胞から成り立っている良性の腫瘍です。年齢を重ねた犬に多く見られ、特に7歳以上の高齢犬でよく発生します。
一般的に、脂肪腫は痛みや不快感を伴うことが少なく、進行も遅いことが特徴です。数年かけてゆっくりと大きくなることもありますが、生活に支障がなければ経過観察となることが多いです。
まれに悪性の脂肪肉腫である可能性もあり、その場合は局所に広がることがあるため、急速に大きくなる場合は注意が必要です。サイズや位置によっては、犬の体に負担をかけることもあるため、できた場所が悪く歩きにくい場合や急に大きくなった場合には、外科切除を行います。
肥満細胞腫
肥満細胞腫は、肥満細胞が腫瘍化した悪性腫瘍です。犬に発生する皮膚の腫瘍の中でも発生率が高く、悪性度の低いものから高いものまでさまざまです。中高齢での発生が多いですが、若齢で見られることもあり、レトリーバー、ボストン・テリア、パグなどに多く発症します。
皮膚にしこりができるものがありますが、皮膚炎のような症状が出ることもあります。脱毛した赤いドーム状のもの、表面がジュクジュク出血したもの、脱毛せず皮膚の下にある柔らかいものなど、外観だけでの判断は困難です。
大きくなったり小さくなったりを繰り返す場合、肥満細胞腫の可能性が高くなります。嘔吐や食欲不振、下痢などの全身症状を引き起こすこともあります。
外科手術が基本になりますが、周囲の正常な組織を含めて広範囲に切除する必要があります。取り切れない場合や転移が見られる場合、多発している場合は抗がん剤や放射線治療を行うこともあります。
乳腺腫瘍
乳腺細胞が増殖することで乳腺にしこりができます。犬の乳腺は脇の下から足の付け根まで左右5個ずつあり、1ヶ所もしくは複数箇所にしこりがみられます。
未避妊の女の子に多い腫瘍で、性ホルモンが関与していると考えられます。中高齢での発生が多く、さまざまな犬種で見られます。良性と悪性の割合が半々で、見た目での判断が難しいため外科切除を行い病理検査をするのが一般的です。
悪性の場合、再発や転移の可能性があるため、抗ガン剤や放射線治療を行います。初回の発情がくる前に避妊手術をすることで発症のリスクをかなり減らせることができるといわれており、早期の避妊手術が予防のためには大切です。
リンパ腫
リンパ球という免疫細胞が増殖することで発症します。悪性腫瘍に分類され、内臓にできるものなどさまざまなタイプがありますが、体にしこりを作るものとしては「多中心型」と「皮膚型」があります。
多中心型リンパ腫になると、顎、脇の下、内股、膝の裏などにある体表リンパ節が腫れて、しこりとして触れるようになります。複数箇所腫れることが多く、食欲や元気の低下などの全身症状が見られることもあります。6歳以上の中高齢で見られることが多いです。
皮膚型リンパ腫は、皮膚に炎症やフケ、色素脱失などを広範囲に起こす「上皮向性」が一般的ですが、まれにしこりをつくる「非上皮向性」のものがあります。1ヶ所もしくは複数箇所でき、表面は赤くジュクジュクしていることが多いです。
犬のしこりを見つけた時の対処法は?
愛犬のしこりを見つけたら、まず何をすればいいのでしょうか?適切な対処をすることで、早期発見・早期治療につながります。ここでは、動物病院を受診するタイミングや自宅でできる対処方法をご紹介します。
すぐに動物病院を受診する
しこりを見つけたときは、痛がっているような症状の有無にかかわらず、早めに獣医師に知らせることが大切です。しこりができる場所や硬さ、大きさで良性・悪性の判断はできません。小さくても悪性である可能性はゼロではありません。
自宅での対処方法
犬にしこりを見つけたら他の部位にもないか確認し、撮影などして記録しましょう。しこりは時間とともに変化することがあるため、その部位と大きさを記録しておくことで、診断時に役に立ちます。
しこりを触り続けると、刺激されてしまい、炎症を起こしてさらに大きくなってしまうことがあるため、むやみに触らないように気を付けましょう。普段から体を撫でたり触ったりすることで、しこりなどの異常を見つけやすくなります。日々のスキンシップを大切にしてくださいね。
犬のしこりでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬のしこりから考えられる病気や対処法などについて詳しくご紹介しました。
小さなしこりでも、痛がっていなくても、早めに動物病院に相談するようにしましょう。もし現在、犬のしこりでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。