犬の膿皮症かも?症状・原因から治療、自宅でできるケア方法まで徹底解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

犬の膿皮症かも?症状・原因から治療、自宅でできるケア方法まで徹底解説!

愛犬が体をしきりにかきむしったり、皮膚に赤いブツブツやフケが見えたりして気になったことはありませんか?
愛犬のつらそうな姿を見ると、心配になりますよね。

その症状、もしかしたら「膿皮症(のうひしょう)」という皮膚病かもしれません。

早くケアを始めれば、きちんと改善できる症状なので、気になる場合はすぐに動物病院に相談してくださいね。

この記事では、犬の膿皮症の原因や改善方法などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

まずは症状をチェック!犬の膿皮症で見られるサイン

まずは、ご自身の愛犬の皮膚の状態と比べてみてください。
これから挙げる症状は、あくまで一般的なサインです。
一つでも当てはまる、あるいは似たような症状が見られる場合は、自己判断せずに必ず動物病院を受診するようにしてください。

初期症状から進行した場合の変化まで

膿皮症は、感染が皮膚のどの深さまで及んでいるかによって、症状の現れ方が異なります。

比較的症状が軽い「表在性膿皮症」では、以下のようなサインが見られます。

  • 赤いブツブツ(丘疹)
  • ニキビのように膿をもったできもの(膿疱)
  • 大量のフケ(鱗屑)
  • 円形にリング状に広がるフケやカサつき(表皮小環)
  • 部分的な脱毛
  • 体をかいたり、舐めたり、こすりつけたりする(掻痒感)

感染が皮膚の奥深くまで進行した「深在性膿皮症」になると、より重い症状が現れます。

  • 皮膚の下の硬いしこり
  • 皮膚の腫れや熱っぽさ
  • 膿や血が混じった液体が出てくる
  • かゆみよりも強い痛み
  • 発熱や食欲不振など、全身に症状が及ぶこともあります

特に深在性膿皮症は、愛犬にとって大きな苦痛を伴います。
症状が軽いうちに気づき、早めに対処してあげることが非常に重要です。

なぜ膿皮症になるの?直接の原因と根本的な引き金

膿皮症の仕組みを知ることで、正しい対策が見えてきます。
この病気には、症状を引き起こす「直接の原因」と、その背景にある「根本的な引き金」の2つが存在します。

皮膚のバリア機能低下が最大のカギ

膿皮症の直接の原因となるのは、主に「ブドウ球菌」という細菌です。
実はこの菌、健康な犬の皮膚にも普段から存在している「常在菌」の一種で、普段は悪さをしません。

しかし、何らかの理由で皮膚の抵抗力、いわゆる「皮膚のバリア機能」が低下すると、この常在菌が異常に増殖してしまい、膿皮症の症状を引き起こすのです。

つまり、大切なのは「なぜ皮膚のバリア機能が低下してしまったのか?」という根本的な引き金を探ることです。
主な引き金には、以下のようなものがあります。

  • アレルギー性皮膚炎:アトピーや食物アレルギーなど
  • 内分泌疾患:甲状腺機能低下症やクッシング症候群といったホルモンの病気
  • 外部寄生虫:ノミやダニの寄生によるかゆみや炎症
  • 不適切なスキンケア:シャンプーのしすぎや、逆にしていないこと、すすぎ残しなど
  • 環境要因:高温多湿な梅雨の時期などは、細菌が増殖しやすくなります
  • その他:栄養不足、加齢、他の病気による免疫力の低下など

これらの引き金が一つ、あるいは複数重なることで、膿皮症は発症しやすくなります。

動物病院での診断から治療までの流れ

愛犬の皮膚に異常を見つけたら、まずは動物病院で正確な診断を受けることが治療の第一歩です。
ここでは、動物病院で一般的に行われる診察の流れをご紹介します。
事前に流れを知っておくことで、安心して受診できるはずです。

どんな検査をするの?原因特定のためのステップ

獣医師は、問診で普段の様子を伺ったり、皮膚の状態を詳しく観察したりした上で、原因を特定するために必要な検査を行います。

検査の種類目的
スタンプ検査(細胞診)スライドガラスを直接皮膚に押し当て、どんな細菌や細胞がいるかを顕微鏡で調べる基本的な検査です。
皮膚掻爬検査皮膚の表面を少し削り取り、ニキビダニや疥癬といった寄生虫がいないかを確認します。

これらの検査によって、ただの細菌感染なのか、それとも背景に別の病気が隠れているのかを突き止め、最適な治療方針を立てていきます。

主な治療法:抗菌薬と薬用シャンプーによるスキンケア

膿皮症の治療は、主に「抗菌薬」と「シャンプー療法」の2つを柱として進められます。

抗菌薬(抗生物質)は、増えすぎた細菌を退治するために使われます。
飲み薬が中心ですが、症状が軽い場合は塗り薬で対応することもあります。
ここで最も大切なのは、獣医師から処方された薬は、症状が良くなったように見えても自己判断で中断せず、指示された期間を必ず守り抜くことです。
中途半端にやめてしまうと、薬が効きにくい「耐性菌」を生み出す原因となり、将来の治療を困難にしてしまいます。

シャンプー療法は、ただ体をきれいにするだけではありません。
抗菌成分の入った薬用シャンプーを使い、皮膚表面の余分な皮脂や細菌、アレルゲンなどを洗い流す、れっきとした「治療」の一環です。
皮膚の環境を整え、抗菌薬の効果を高める大切な役割を担っています。

膿皮症に関するよくある質問

ここでは、よくある質問にお答えします。

Q1. 犬の膿皮症は、人や他の犬にうつりますか?

A1. 基本的にはうつりません。
原因となるブドウ球菌は健康な皮膚にも存在する常在菌であり、健康な人間や他のペットに感染して症状を引き起こすことは極めてまれです。
ただし、ご家族に免疫力が著しく低下している方がいる場合は、念のため触れ合った後の手洗いなどを心がけるとより安心です。

Q2. 膿皮症は一度かかると完治しますか?再発しやすいですか?

A2. 皮膚の細菌感染そのものは、適切な治療によって治ります。
しかし、根本的な引き金(アレルギー体質など)が残っている場合、残念ながら再発を繰り返しやすい病気です。
そのため、症状が治まった後も、シャンプー療法や食事管理などを継続し、病気と上手に付き合っていく「生涯ケア」の視点が大切になります。

Q3. 症状がある時にトリミングに連れて行ってもいいですか?

A3. まずは、かかりつけの獣医師に相談してください。
皮膚の状態によっては、トリミングの刺激が悪化の原因になることがあります。
また、他の犬への配慮から、トリミングサロンが受け入れを断る場合もあります。
治療の一環として動物病院で薬浴(薬用シャンプー)をしてもらうか、獣医師の許可を得た上で、サロンに処方されたシャンプーを持ち込んでお願いするのが良いでしょう。

犬の膿皮症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

犬の膿皮症は、多くの飼い主さんが直面する可能性のある皮膚病です。
しかし、その原因や対処法を正しく理解することで、愛犬の苦痛を和らげ、快適な毎日を取り戻すことができます。

この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • 早期発見・早期治療:赤いブツブツやフケなど、小さな変化を見逃さない。
  • 原因の特定:細菌感染の裏にある、アレルギーなどの根本的な引き金を探ることが重要。
  • 獣医師との連携:処方された薬は必ず指示通りに使い切り、治療方針を共有する。
  • 自宅での継続的なケア:正しいシャンプー療法と、皮膚の健康を支える食事管理が再発予防のためには大切。

膿皮症は、一度良くなっても再発しやすい、根気のいる病気です。
治療と同時に、愛犬の体質や生活環境全体を見直しながら、病気をコントロールしていくという視点が大切になります。

もし現在、犬の膿皮症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。ワンちゃんの健康を一緒に守っていきましょう。