犬のトリコモナス症とは?子犬の下痢の原因、症状から治療法、消毒方法まで徹底解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

犬のトリコモナス症とは?子犬の下痢の原因、症状から治療法、消毒方法まで徹底解説!

「愛犬が下痢をして動物病院に連れて行ったら、トリコモナス症と診断された」「聞き慣れない病名で、どんな病気なのか分からず、とても不安…」など、新しく子犬を家族に迎え入れたばかりの方にとって、愛犬の急な体調不良は本当に心配なことでしょう。

この記事では、犬のトリコモナス症の原因や症状、改善方法、感染対策などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

犬のトリコモナス症とは?まず知っておきたい基本情報

犬のトリコモナス症は、「トリコモナス原虫」という目に見えないほど小さな寄生虫が、主に大腸に寄生することで引き起こされる感染症です。

特に、まだ免疫力が十分に発達していない子犬や、体力が落ちている犬で症状が出やすいことが知られています。

多くの場合、適切な治療を行えば命に関わることは少なく、予後は良好な病気です。

まずは病気を正しく理解しましょう。

特徴的な症状:こんな下痢や体調変化はありませんか?

トリコモナス症の最も代表的な症状は、大腸性の下痢です。

以下のような症状が見られないか、確認してみましょう。

・ゼリー状の粘液が混じった下痢をする(粘液便)

・便に鮮血が混じることがある(血便)

・何度もトイレに行くが、少量ずつしか便が出ない

・排便後もまだ便が残っているような素振りを見せる(しぶり)

これらの特徴的な下痢のほか、食欲がなくなったり、体重が減ってしまったりすることもあります。

成犬の場合は感染しても症状が出ないこともありますが、子犬では症状が長引く傾向があります。

感染経路:どこからうつったの?

「うちの子はどこで感染してしまったのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。

トリコモナス原虫は、感染した犬の糞便の中に排出されます。

そして、その糞便を他の犬が直接的、あるいは間接的に口にしてしまうことで感染が広がります。

特に、以下のような犬が多く集まる場所は、感染のリスクが高まる可能性があります。

・ペットショップ

・ブリーダーの施設

・ドッグラン

・保護施設

原虫は乾燥に弱いですが、湿った環境では数時間から数日間生き残ることがあります。

そのため、不衛生な環境が感染を広げる大きな要因となります。

動物病院での診断と治療の進め方

トリコモナス症と診断されて不安な方も、これからの検査や治療の流れを把握することで、少し落ち着いて対応できるはずです。

治療の基本は、獣医師の診断と指示にしっかりと従うことです。

ここでは、動物病院で一般的に行われる診断と治療について解説します。

診断方法:どんな検査をするの?

トリコモナス症の診断で最も一般的に行われるのが「糞便検査」です。

獣医師が顕微鏡を使い、便の中に動いているトリコモナス原虫がいるかを確認します。

この検査では、できるだけ新鮮な便を持っていくことが重要です。

時間が経つと原虫が死んでしまい、見つけにくくなるためです。

また、原虫は常に便に排出されるわけではないため、一度の検査で見つからずに、複数回検査を行うこともあります。

より精度の高い診断のために、遺伝子検査が行われる場合もあります。

治療法と期間:どんな薬をどのくらい飲む?

トリコモナス症の治療には、「メトロニダゾール」や「チニダゾール」といった抗原虫薬が使われます。

これらの薬を投与することで、腸内のトリコモナス原虫を駆除します。

一般的な治療期間は、5〜7日間ほどです。

症状が改善したように見えても、自己判断で投薬を中断せず、必ず獣医師に指示された期間、薬を飲ませ切りましょう。

この薬は苦味が強いため、飲ませるのに工夫が必要な場合があります。

また、副作用として食欲不振や嘔吐が見られることもあるため、愛犬の様子をよく観察し、異変があればすぐに動物病院に連絡してください。

人や他のペットにうつる?家庭内で拡大させないための徹底対策

「この病気は、自分や家族、一緒に暮らしている他のペットにうつらないだろうか?」

これは、多くの飼い主様が抱く大きな不安です。

ここでは、二次感染のリスクと、ご家庭でできる具体的な感染拡大防止策を詳しく解説します。

人間への感染リスクは?

結論から言うと、犬のトリコモナス症が人間に感染するリスクは極めて低いと考えられています。

犬に寄生するトリコモナス原虫と、人に寄生するトリコモナスの種類は異なるためです。

ただし、免疫力が著しく低下している方(高齢者、闘病中の方など)は、念のため注意が必要です。

どのような場合でも、愛犬の糞便を処理した後は、石鹸で丁寧に手を洗う習慣をつけましょう。

同居している犬や猫への感染対策

もしご家庭に他の犬や猫がいる場合、感染を広げないための対策が非常に重要になります。

最も効果的なのは、感染している犬を他のペットから「隔離」することです。

具体的には、以下のような対策を徹底しましょう。

・感染犬を別の部屋で過ごさせる

・トイレや食器、水飲みボウル、おもちゃなどを共有しない

・感染犬の世話をした後は、必ず手を洗ってから他のペットに触れる

症状が改善し、獣医師から許可が出るまでは、これらの対策を続けることが大切です。

お部屋の消毒方法と注意点

ご家庭内の環境を清潔に保つことも、再感染や他のペットへの感染を防ぐ上で欠かせません。

トリコモナス原虫は、塩素系の消毒剤に弱いとされています。

家庭でできる具体的な消毒方法は以下の通りです。

・犬が使用したベッドやタオル、おもちゃなどは、洗濯後に塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を薄めた液に浸けて消毒します。

・フローリングやケージ、トイレトレーなどは、塩素系漂白剤を薄めた液で拭き掃除をします。

・消毒剤を使った後は、犬が舐めてしまわないように、必ずきれいな水で数回水拭きをして薬剤を完全に取り除いてください。

・消毒作業中は、十分に換気を行いましょう。

この病気はちゃんと完治する?再発の可能性は?

飼い主さんにとって最も気がかりなのは、「この病気は本当に治るのか?」ということでしょう。

犬のトリコモナス症は、獣医師の指示通りに適切な治療を行えば、ほとんどの場合で完治が期待できる病気です。

ただし、一度治っても、生活環境中に原虫が残っていると再び感染してしまう「再感染」のリスクがあります。

そのため、治療と並行して、前述したようなご家庭内の衛生管理や消毒を徹底することが非常に重要になります。

トリコモナス症の予防法は?

愛犬をトリコモナス症から守るためには、日頃からの予防が大切です。

特別なことではなく、基本的な衛生管理を徹底することが最も効果的な予防策となります。

・散歩中などにした糞便は、時間を置かずにすぐに処理する

・犬の生活スペース(ケージ、ベッドなど)を常に清潔に保つ

・散歩中は、他の犬の糞便に愛犬を近づけない

・定期的に動物病院で健康診断を受け、糞便検査をしてもらう

これらの習慣を心がけることで、トリコモナスだけでなく、さまざまな感染症から愛犬を守ることができます。

犬のトリコモナス症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

犬のトリコモナス症は、特に子犬を飼い始めたばかりの方にとっては、とても心配になる病気です。

大切なのは、自己判断で様子を見たりせず、愛犬の体調に異変を感じたらすぐに動物病院を受診することです。

そして、獣医師の診断と指示に従って、適切な治療と家庭でのケアを行ってください。

不安なことや分からないことがあれば、一人で抱え込まずに、かかりつけの獣医師に何でも相談しましょう。もし現在、犬のトリコモナス症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。