犬の蛋白漏出性腸症とは?原因や症状・治療方法などを解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

犬の蛋白漏出性腸症とは?原因や症状・治療方法などを解説!

犬の蛋白漏出性腸症は、血液中のたんぱく質が少なくなってしまう症状です。いつも元気だったワンちゃんでも、この症状を発症すると元気がなくなったり食欲が落ちたりしてしまうため、様子の変化から発症に気付くことが多いでしょう。この記事では、犬の蛋白漏出性腸症の原因や症状、治療方法などについて詳しくご紹介します。

犬の蛋白漏出性腸症とは?

犬の蛋白漏出性腸症(たんぱくろうしゅつせいちょうしょう)とは、本来血液の中にあるべきたんぱく質が、消化管から漏れ出てしまう状態のことです。

特定の病気の名前というよりも、さまざまな腸のトラブルによって引き起こされる症状のひとつです。たんぱく質が失われることで、体に必要な栄養がうまく保てなくなり、元気がなくなったり、お腹がゆるくなったりします。なかには、はっきりした症状が出ないこともあり、気づかないうちに進行してしまうことも。重い病気が隠れていることもあるため、早めの診断と治療が大切となる症状です。

犬の蛋白漏出性腸症の原因は?

犬の蛋白漏出性腸症では、血液中のたんぱく質、特に「アルブミン」と呼ばれる成分が少なくなっていることが特徴です。しかし、その原因がどこにあるのかを見極めるには注意が必要です。

なぜなら、たんぱく質は腎臓や肝臓、そして消化管など、体のさまざまな部分の異常でも失われることがあるからです。なかでも、消化管からたんぱく質が漏れている場合にこの病気と診断されます。原因として多いのは、腸リンパ管拡張症、炎症性腸疾患(IBD)、消化管のリンパ腫など。これらの病気は見た目ではわかりにくく、血液検査や画像検査などで詳しく調べる必要があります。

犬の蛋白漏出性腸症の症状は?

蛋白漏出性腸症は、ご紹介したように、犬の体の中で大切なたんぱく質が消化管から失われていく病気です。そのため、さまざまな体調の変化が見られることがあります。症状は病気の進行具合や犬の体質によって異なり、最初は気づきにくいこともあります。よくあるのは、元気や食欲がなくなったり、お腹の調子が悪くなったりといった変化です。これらは他の病気でも見られるものなので、「いつもと違うな」と感じたら、早めに動物病院に相談しましょう。ここからは、よく見られる症状について詳しくご紹介します。

元気・食欲がなくなる

蛋白漏出性腸症では、体に必要なたんぱく質がどんどん減っていくため、エネルギーが足りなくなってしまいます。その影響で、これまで元気いっぱいだった子でも、なんとなく動きたがらなくなったり、好きだったごはんを残すようになったりすることがあります。最初は「ちょっと疲れてるのかな?」と思うようなちょっとした変化しか見られないかもしれませんが、日を追うごとにだんだん元気がなくなっていくこともあるので注意しながら見てあげてください。このような小さな変化を見逃さず、なるべく早めに病院で診てもらうことで、大きなトラブルを防げることもあります。

下痢または軟便になる

お腹の中にトラブルがあると、うんちの様子に変化が現れることがよくあります。蛋白漏出性腸症の場合、下痢ややわらかいうんちが続くことが多く、慢性的に続くのが特徴です。ときには水っぽいうんちになったり、回数が増えたりすることも。消化がうまくいっていない状態が続くと、体が栄養を吸収できなくなってしまうため、体力の低下にもつながってしまいます。毎日の排泄の様子は健康のバロメーターと考え、いつもと違うと感じたら、うんちの色や状態をメモしておくと、診察のときに役に立ちます。

嘔吐する

蛋白漏出性腸症の子の中には、吐き気や嘔吐といった症状が出ることもあります。お腹の調子が悪く、消化がスムーズにいかなくなると、体はそれを外に出そうとしてしまうんですね。たまに吐いてしまう程度のときもあれば、食べた直後に吐く、空腹時に白い泡を吐くなど、いろいろなケースがあります。嘔吐が続くと、水分や栄養がうまく摂れなくなってしまい、さらに体力が落ちる原因に。吐いたものの色や回数、タイミングなどを記録しておくと、獣医師が原因を見つけやすくなります。

体重が減る

ごはんは食べているのに、なぜか体重が減っていく……そんな時は、体の中で栄養がうまく吸収されていないと考えられます。蛋白漏出性腸症では、消化管の働きが悪くなり、たんぱく質をはじめとする栄養素が体に届きにくくなってしまいます。そのため、少しずつ筋肉や脂肪が落ちて、見た目も痩せていくことがあります。特に、お腹やお尻まわりが細くなってきたと感じたら注意が必要です。気づきにくい変化ですが、定期的に体重をチェックしてみましょう。体重の変化で早めに異変に気づくことができます。

犬の蛋白漏出性腸症の治療方法は?

蛋白漏出性腸症の治療は、原因や症状の程度によって内容が変わってきます。基本となるのは、体に負担をかけない「食事療法」や、炎症を抑えたり腸の状態を整える「薬物療法」です。なかには、病気がかなり進行していたり、特殊な原因がある場合に「外科手術」が必要になることもあります。症状が落ち着いても、再発を防ぐために治療を長く続けていくこともあります。ここからは、犬の蛋白漏出性腸症の治療方法についてご紹介します。

食事療法

蛋白漏出性腸症の治療でまず取り入れられるのが、体にやさしい食事療法です。「高たんぱく・低脂肪」の食事がすすめられることが特に多く、腸への負担を減らしながら、失われた栄養をしっかり補うことが目的です。食事の内容を変えるだけで症状が落ち着くケースもあるため、まずは食事から見直すことが大切になります。

専用の療法食を使うこともあるため、自己判断でのフード選びは避けたほうが良いでしょう。毎日食べるご飯だからこそ、無理のない方法で続けていきましょう。

薬物療法

食事療法だけでは改善が難しい場合には、薬による治療が必要になります。蛋白漏出性腸症では、腸の炎症や異常な免疫反応が関係していることが多いため、ステロイド剤や免疫を調整する薬が使われることがあります。また、抗生剤や抗がん剤などが使われることも。犬の体調を見ながら、少しずつ薬の種類や量を調整していくので、効果が出るまでに時間がかかることもあります。

外科手術

まれに、食事や薬だけでは対応できない原因がある場合には、外科手術が行われることもあります。たとえば、腫瘍やリンパ管の異常が見つかった場合などがその例です。また、大量の腹水や胸水がたまって苦しそうなときには、体から水を抜く処置や、状況によっては輸血が行われることも。手術と聞くと不安になるかもしれませんが、詳しい検査を行ったうえで、「今の状態からして外科手術がベストな方法かどうか」を慎重に判断していきます。

犬の蛋白漏出性腸症の余命はどれくらい?

犬の蛋白漏出性腸症と診断されると、「あとどれくらい一緒にいられるんだろう…」と不安になる方も多いと思います。実際の余命は、病気の原因や進行具合、治療への反応によって大きく変わります。たとえば、腸リンパ管拡張症が原因の場合は、平均で3〜5年ほどと言われることもありますが、早期に発見されて治療がうまくいけば、もっと長く穏やかに過ごせる子もいます。何より大切なのは、その子にとっていちばん良いケアや治療方法を見つけてあげること。心配なことは、どうかひとりで抱え込まずにかかりつけの先生に相談してください。

犬の蛋白漏出性腸症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

この記事では、犬の蛋白漏出性腸症の原因や症状、治療方法などについて詳しくご紹介しました。発症してすぐは、見たことのない様子に戸惑ってしまうかもしれません。しかし、早期に発見して治療を行えば改善していくので、悩みすぎずにまずは動物病院に相談してください。もし現在、犬の蛋白漏出性腸症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。一緒にワンちゃんの健康を守りましょう!