犬の乳がんの原因は?検査や治療方法・良性悪性の違いを解説!
乳腺腫瘍という犬の乳がんをご存知でしょうか?明確な原因はまだ解明されていませんが、良性と悪性があり、悪性であれば手術を行う必要があります。この記事では、犬の乳がん(乳腺腫瘍)の原因や検査方法、治療方法などについて詳しく解説します。
目次
犬の乳がんとは?
犬の乳がんとは、乳腺の組織にできるのうち、悪性のものをいいます。乳腺腫瘍はしこりとして現れ、ここで悪性のものも出てくることがあります。
良性の乳腺腫瘍は比較的成長が遅く、周囲の組織に広がることはありません。
一方、悪性のものは増殖が速く、転移のリスクがあるため注意が必要です。
犬の乳がんは早期に発見できれば、手術で根治することが可能です。
🔵人の乳がんとの違い
人の乳がんも、犬の乳がんも、悪性のものであることは共通しています。統計的には、犬の乳腺腫瘍の約半分が良性で、悪性であっても手術で根治できるケースが多いのが特徴です。
具体的には、良性が約50%、手術で治る悪性が約25%、転移・再発の可能性が高い悪性が約25%とされています。
そのため、犬の場合は早期に発見して適切な治療を行えば、約75%が手術で完治する可能性があります。また、人の場合は乳がん検診が一般的ですが、犬は自覚症状を訴えられないため、飼い主さんが日頃からしこりの有無をチェックしてあげることが大切です。
犬の乳腺腫瘍の原因は?
犬の乳腺腫瘍ができるはっきりとした原因は、まだ完全には解明されていません。
しかし、主な要因のひとつとしてホルモンの影響が考えられています。
エストロゲン(雌性ホルモン)が乳腺の細胞に長く作用することで、腫瘍ができやすくなると考えられています。そのため、若いうちに避妊手術を受けて乳腺腫瘍の発生リスクを大きく減らすことが大切です。
犬の乳腺腫瘍は良性?悪性?
犬の乳腺腫瘍は良性のものと悪性のものの両方があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
良性の乳腺腫瘍の特徴
良性の乳腺腫瘍は1cm程度と比較的小さく、結構硬く感じるのが特徴です。
しこりははっきりしており、触ると動くことが多いのも特徴のひとつです。痛みを感じることは少なく、皮膚との癒着もないため、犬が気にする様子はほとんどありません。
また、良性の乳腺腫瘍は、犬の普段の生活に与える影響はほとんどなく、食欲や元気も普段通りなことが一般的です。
しかし、たとえ良性であっても、放置していると悪性に変化する可能性があるため注意が必要です。早期に発見して獣医師と相談しながら治療を受けることで健康を守れます。
悪性の乳腺腫瘍の特徴
悪性の乳腺腫瘍は成長が速く、しこりが短期間で大きくなることが特徴です。
最初は良性の腫瘍と似ていますが、次第にしこりの境界が不明瞭になり、周囲の組織と癒着するようになります。さらに、しこりの中心部分が破れたり、皮膚が赤く腫れたりすることも。
また、悪性の乳腺腫瘍はリンパや血流を介して肺や肝臓などへ転移することがあり、進行すると食欲が落ちたり、元気がなくなるなどの全身症状が現れたりすることもあります。見た目がそこまでひどくなくても、目に見えない部分で進行していることがあるため、早期発見と迅速な治療が重要です。手術で切除することで完治できる場合もあるので、少しでも気になる症状があれば、早めに獣医師に相談するようにしましょう。
犬の乳腺腫瘍の検査方法は?
犬の乳腺腫瘍を診断して治療を行うためには、いくつかの検査を行う必要があります。しこりの大きさや硬さだけでは良性か悪性かを判断することは難しいため、さまざまな検査で体の状態を把握して治療方針を決めていくことが一般的です。ここでは、主な検査方法についてご紹介します。
血液検査
乳腺腫瘍の摘出手術を行う場合は、あらかじめ血液検査を行います。これは、麻酔をかけても問題がないかを確認するための検査です。
血液検査では、肝臓や腎臓の機能、貧血の有無、炎症の程度などをチェックし、手術に耐えられるかどうかを判断します。万が一、異常が見つかった場合は、手術のリスクを減らすために別の治療を選ぶことがあります。
X線検査
X線検査(レントゲン検査)は、乳腺腫瘍が転移していないかをチェックするために行います。肺は腫瘍が転移しやすい臓器のひとつであり、転移があるかどうかを確認することが重要です。
もし肺に影が見つかった場合、それが乳腺腫瘍からの転移なのか、それとも別の病気によるものなのかを判断します。また、乳腺以外の臓器にも異常がないかを確認して手術や治療の方針を決めていきます。
病理組織検査
乳腺腫瘍を手術で切除した後、その組織を詳しく調べるために病理組織検査を行います。この検査によって、腫瘍が良性か悪性かを正確に診断し、取り切れているかどうかを確認します。また、腫瘍細胞がリンパ管や血管に入り込んでいないか(脈管浸潤)、リンパ節に転移がないかもチェックされます。乳腺腫瘍は同じ場所で再発することは少ないとされていますが、左右の乳腺はつながっているため、別の乳腺に転移する可能性があるため、注意が必要です。
犬の乳腺腫瘍の治療方法は?
犬の乳腺腫瘍の治療方法は、腫瘍の種類や大きさ、進行具合によって異なります。一般的には外科手術を行うことが多いですが、年齢や体の状態によっては手術を行わず、経過観察を選ぶことも。ここからは治療方法をご紹介します。
外科手術
乳腺腫瘍の治療で最も一般的なのが外科手術です。手術方法には、腫瘍ができた部分だけを取り除く部分摘出と、乳腺をすべて切除する乳腺全摘出があります。
部分摘出は手術時間が短く、傷口も小さく済むため、体への負担は軽いですが、ほかの乳腺で再発する可能性があります。一方、乳腺全摘出は手術の範囲が広く傷も大きくなりますが、再発のリスクを大幅に下げることができます。
また、炎症性乳がんという特殊なタイプの乳腺腫瘍の場合、手術は推奨されません。
このタイプは進行が非常に早く、手術をすると傷口がひどく炎症を起こし、治りにくくなることがあるからです。そのため、鎮痛剤や消炎剤を用いた対症療法が選択されることが一般的です。
経過観察のケースも
高齢の犬や、腫瘍が小さく進行が遅いと判断された場合は、手術を行わずに経過観察で様子を見ることもあります。その場合、最低でも月に2回は腫瘍の大きさや状態をチェックし、変化がないかを確認することが大切です。腫瘍が急に大きくなったり、硬くなったりした場合は悪性の可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
手術を行わずに放置すると、腫瘍がほかの乳腺に広がったり、皮膚が破れて出血や化膿を引き起こしたりすることがあります。また、肺やほかの臓器に転移するリスクもあるため、注意が必要です。
犬の乳腺腫瘍の予防方法は?
犬の乳腺腫瘍は原因が解明されていないため、具体的な予防方法がないのが現状です。
しかし、初回発情前の避妊手術が最も有効とされています。避妊手術によって乳腺腫瘍の発生率を大幅に下げることができるといわれています。
ワンちゃんがこの時期を迎える前の場合は、ぜひ避妊手術をご検討ください。
犬の乳がんでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬の乳がんの原因や検査方法、治療方法などについて詳しくご紹介しました。原因がわかっていないので難しい病気ですが、治療を行うことで改善を目指すことができます。もし現在、犬の乳がんでお悩みの方は、大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。ワンちゃんの健康を一緒に守っていきましょう!