猫のがんの原因は?よくある症状や種類・改善するのかについて解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

猫のがんの原因は?よくある症状や種類・改善するのかについて解説!

猫にとって「がん(悪性腫瘍)」は、高齢になるほど無視できない健康リスクのひとつです。もし愛猫ががんと診断されたら、戸惑いや不安でいっぱいになるのは自然なこと。どう支えればよいか、悩む飼い主も少なくありません。

本記事では、猫に多く見られるがんの種類や主な原因、注意すべき症状、そして治療の可能性について整理しました。愛猫の異変にいち早く気づき、適切な対応ができるよう正確な知識を備えておきましょう。

猫のがんの種類

一口に「がん」と言っても、猫に発生するがんにはさまざまな種類があります。ここでは特に発生頻度が高いものを中心に特徴を整理して解説します。

皮膚腫瘍

猫の皮膚にできる腫瘍は、がんの中でも比較的よく見られる種類のひとつです。腫瘍とは、皮膚の細胞が異常に増殖してできた「しこり」や「できもの」の総称であり、良性の場合も悪性の場合もあります。

悪性の皮膚腫瘍には「扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)」や「肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)」などが代表的です。特に扁平上皮癌は、紫外線の影響を受けやすい白い被毛の猫に多く発生するとされ、耳や鼻先、まぶたなど毛の薄い部分にできることが特徴です。

皮膚腫瘍の初期は、小さなかさぶたやできもののように見えるため、単なる傷や皮膚病と見過ごされることも少なくありません。

しかし、次第にしこりが大きくなったり、出血やただれが見られたりする場合は注意が必要です。悪性であれば周囲の組織に浸潤して血流やリンパを通じて転移する可能性もあるため、早期発見・早期治療が重要になります。

乳腺腫瘍

乳腺腫瘍は、猫にできる腫瘍の中でも悪性率が約90%と非常に高いのが特徴です。特に避妊手術をしていないメス猫は発症リスクが高く、平均発症年齢は10〜12歳とされています。

症状は乳首周辺にできる小さなしこりから始まり、進行すると急速に大きくなるのが特徴。肺やリンパ節への転移も起こりやすく、放置すると命に関わるリスクが高まります。

早期発見のためには、月1回程度の乳腺チェックが大切。また、生後6か月齢までに避妊手術を行うと乳腺腫瘍のリスクを減らせるとされており、早期の避妊が予防に効果的です。

リンパ・造血器系腫瘍

猫のリンパ・造血器系腫瘍とは、血液やリンパ液をつくる細胞ががんになる病気です。

特に多いのが「リンパ腫」で、猫の腫瘍の約3分の1を占めます。年間10万頭あたり約200例と、人間より高い割合で見つかっています。

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染していると発症リスクは約60倍。猫免疫不全ウイルス(FIV)では約5倍になり、両方に感染すると約80倍の危険性があると言われています。

がんは体のどこにでもできるため、嘔吐・呼吸の苦しさ・しこり・鼻血など、症状は場所によってさまざま。早めに見つけて治療を始めることが大切です。

猫ががんになる原因は?

猫のがんは偶発的なものに思われがちですが、いくつかの要因が重なり発症リスクを高めています。ここでは主な原因について整理しています。

老化

猫ががんになる大きな要因のひとつが「老化」です。年齢を重ねると、細胞分裂の際に生じるDNAの傷が蓄積し、これが異常な細胞増殖(がんの発生)につながると考えられています。

実際『アニコム家庭どうぶつ白書2022』によれば、がん(悪性腫瘍)と診断された猫の約60%は10歳以上でした。特に12歳を超えると、がん発症のリスクがさらに高まることがデータから示されています。

また、公益社団法人日本獣医師会の資料でも、猫の高齢化が進むにつれて悪性腫瘍の発生率が増加する傾向が報告されています。高齢になると、免疫機能の低下や体内修復能力の衰えが重なり、体内で発生する異常細胞を十分に排除できなくなるためです。

こうした背景から、猫において老化はがん発症のリスクを大きく押し上げる要因といえるでしょう。特に10歳を過ぎた頃からは定期的な健康診断を受け、わずかな変化も見逃さないことが重要になります。

免疫力の低下

猫のがん発症には「免疫力の低下」も大きく関与しています。通常、体内では異常な細胞が発生しても免疫システムがこれを察知し、排除する働きをします。

しかし、何らかの理由で免疫力が落ちると防御機能が低下します。その影響でがん細胞の増殖を許してしまうことがあります。

ほかにも免疫力はストレスや栄養状態、慢性疾患などさまざまな要素によっても左右されます。普段からバランスの取れた食事やストレスの少ない環境づくりに配慮することが大切です。

感染症の影響

猫のがん発症には、「感染症の影響」も見逃せない要因のひとつです。特に注意すべきなのが、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)といったウイルス感染です。

これらの感染症は体の免疫機能を著しく低下させるため、異常な細胞増殖を防ぎにくくなります。ウイルス感染による影響は目に見えにくいため、飼い主が異変に気づいたときにはすでに病状が進行していることも少なくありません。

感染予防のためには室内飼育を心がけ、感染症に対する適切なワクチン接種を検討することが重要です。

猫ががんになった時のよくある症状は?

猫は体調不良を隠す傾向が強く、がんの症状も見逃されがちです。早期発見のために、どのようなサインに注意すべきかを知っておきましょう。

しこり・腫れ

皮膚や体内に、触ってわかるしこりや腫れができることがあります。大きさや形が短期間で変化する場合、悪性の可能性も考えられます。

咳や鼻水

風邪のような軽い症状に見えても、長引く咳や鼻水には注意が必要です。呼吸器に腫瘍ができていると、いつもの風邪とは違う咳が続くことがあります。呼吸が苦しそうな様子があれば、特に注意が必要です。

慢性的な嘔吐

猫は毛玉を吐くことがあるため、嘔吐は珍しい行動ではありません。しかし、吐く頻度が増えたり、食欲や元気が低下したり普段とは違う様子が見られる場合は、体の内部で重大な変化が起きている可能性があります。

血尿

膀胱炎など比較的軽い病気が原因の場合もありますが、泌尿器に腫瘍ができている可能性も否定できません。排尿時の様子やトイレに行く回数、尿の色に変化がないかを普段から注意深く見ておきましょう。

体重の減少

食事量が変わらなくても、体重が減少していく場合は注意が必要です。がんによって代謝が異常をきたしている可能性があります。月に一度でもいいので体重を測り、数字で把握しておくことが、早期発見につながります。

🔵猫のがんは改善する病気なのか?

猫のがんは、必ずしも「治らない病気」というわけではありません。近年、医療技術の進歩により、早期に発見できれば完治を目指せるケースや、長期間にわたって良好な生活を維持できる例も増えています。

一方で、発見が遅れたり、がんの種類や進行度によっては、根治が難しい場合もあります。

治療の選択肢は、手術・抗がん剤・放射線治療などさまざまです。病状に応じて、延命を目的としたケアや、生活の質(QOL)を重視するサポート療法が選ばれることもあります。

大切なのは、「治すこと」だけを目指すのではなく、猫にとってできる限り負担の少ない道を探ることです。

がんと向き合う上では、早期発見・早期治療が大きな鍵となります。普段から小さな異変を見逃さず、早めに相談できる環境を整えておくことが、猫の未来を守る力につながります。

猫のがんでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

大切な家族である猫のがん治療には、確かな知識と経験を持った動物病院のサポートが欠かせません。適切な診断と治療を受けるためには、信頼できる医療機関に相談することが第一歩です。

大阪梅田ペットクリニックでは、最新の医療設備と豊富な臨床経験をもとに、がんに関する診断・治療を幅広くおこなっています。愛猫の体調に不安を感じたときは、早めにご相談ください。専門の獣医師が、ひとつひとつのケースに丁寧に向き合い、最善のサポートをおこないます。