犬の停留睾丸とは?原因やよくある症状・改善方法などについて解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

犬の停留睾丸とは?原因やよくある症状・改善方法などについて解説!

犬の健康について考える中で、停留睾丸(ていりゅうこうがん)という言葉を耳にしたことがありますでしょうか?男の子のわんちゃんをお迎えした方や、これからお迎えを考えている方にとっては、ぜひ知っておいていただきたいキーワードです。

停留睾丸とは、一体どんな状態を指すのでしょうか?そして、犬の体にどのような影響があるのでしょうか?この記事では、停留睾丸の原因やよくある症状、改善方法や予防方法について詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

犬の停留睾丸とは?

犬の「睾丸(こうがん)」は、人間の精巣と同じで、男の子の犬にとって、生殖機能に関わる非常に大切な臓器です。通常、この睾丸は、犬がお母さんのお腹の中にいる胎児の時期に作られ、その後、成長するにつれてお腹の中から陰のうと呼ばれる袋の中へと自然に降りてきて、そこに収まります。これは、睾丸が正常な温度で機能するために必要な体の仕組みです。

しかし、まれにこの睾丸が陰のうまで完全に降りてこずに、途中のどこかに留まってしまうことがあります。この状態を停留睾丸(ていりゅうこうがん)と呼びます。この他にも、停留精巣(ていりゅうせいそう)、潜在精巣(せんざいせいそう)、あるいは陰睾(いんこう)といったさまざまな呼び名があります。どの呼び方も、睾丸が本来あるべき場所にない状態を指しています。

停留睾丸の睾丸は、主に犬のお腹の中(腹腔内)や、後ろ足の付け根の内側(そ径部)に留まっていることが多いとされています。停留睾丸であること自体が、すぐに犬の体調に異変を引き起こすわけではありません。しかし、注意が必要なのは、将来的にその睾丸が腫瘍(しゅよう)になる危険性が、正常な位置にある睾丸に比べて格段に高まるという点です。

一般的に、犬の睾丸が停留睾丸であると判断されるのは、生後6ヶ月頃を目安とされています。この時期を過ぎても睾丸が陰のうに降りてきていない場合、停留睾丸の可能性が高いと考えられます。ただし、動物病院によっては、判断の時期や経過観察の期間について異なる見解を持つこともありますので、個々の犬の状況に合わせて相談することが大切です。もし睾丸がまだ降りてきていない場合は、しばらく様子を見て自然に降りてくるのを待つこともありますし、将来的なリスクを考慮して、手術によってお腹の中やそ径部に留まっている睾丸を切除することもあります。片側の睾丸だけが停留睾丸であるケースも多く、その場合は、通常の去勢手術と同時に、停留している睾丸も摘出されることが一般的です。

犬の停留睾丸の原因は?

犬の停留睾丸は、なぜ起こるのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。ただ、遺伝的な要素が関わっているのではないかと言われています。つまり、停留睾丸の犬を親に持つ子犬は、そうでない子犬に比べて、停留睾丸になる可能性が高いと考えられているのです。ご家族に停留睾丸の犬がいた場合は、子犬の成長の様子を少し注意して見てあげると良いでしょう。

犬の停留睾丸でよくある症状は?

停留睾丸の犬では、その名の通り、睾丸が正常な位置である陰のうに降りてこないことが一番の特徴です。お腹の中(腹腔内)に留まっている場合もあれば、後ろ足の付け根の皮膚の下に触れることができる場合もあります。

片側だけが停留睾丸の場合もあれば、両側の睾丸が降りてこないこともあります。もし片側だけが停留睾丸であれば、繁殖能力はありますが、両側性の場合は繁殖能力がないことがほとんどです。

停留睾丸は、若い頃にすぐに症状が出ることは少ないですが、犬が中高齢になってから、腫瘍になるリスクが高まると言われています。もし腫瘍ができてしまった場合、その種類によって、犬の元気がない、食欲がない、お腹が張っているなど、さまざまな症状が現れることがあります。定期的な健康チェックで、動物病院で診てもらうことが大切です。

犬の停留睾丸の改善方法は?

犬の停留睾丸は、残念ながら薬を飲ませて治すという方法はあまり効果がないと言われています。そのため、将来的に睾丸が腫瘍になってしまうのを防ぐ目的で、去勢手術を行い、お腹の中や足の付け根に残っている睾丸を摘出することが一般的な治療法となります。これは、睾丸を正常な位置に戻すというよりは、将来のリスクを考えて取り除くというイメージです。

手術の方法は、睾丸がどこに留まっているかによって異なります。もし、睾丸が後ろ足の付け根など皮膚のすぐ下にある場合は、比較的小さな切開で摘出できることがほとんどです。しかし、お腹の深いところに睾丸が隠れている場合は、開腹手術が必要となり、摘出が少し難しくなることもあります。いずれにしても、動物病院でよく相談して、ワンちゃんにとって一番良い方法を選んであげてくださいね。

犬の停留睾丸の予防方法は?

犬の停留睾丸を事前に防ぐための確実な方法はありません。これは、遺伝的な要因が関係していると考えられているからです。

しかし、早期に発見して適切な対応をすることはできます。例えば、ワクチン接種やフィラリア予防の診察の時、あるいは去勢手術について相談する際などに、獣医師に犬の睾丸がきちんと降りてきているか確認してもらうことができます。もし、まだ降りてきていない時期であれば、しばらく様子を見ることになるでしょう。

自宅でも、犬の陰のうをそっと触ってみて、睾丸があるかどうか確認してみるのがおすすめです。もし、睾丸が触れなかったり、分かりにくかったりする場合は、動物病院で診てもらい、犬の状態を把握しておくことがとても大切です。早めに気づいてあげることで、その後の選択肢も広がります。

犬の停留睾丸をそのままにするとどうなる?

犬の睾丸は、お母さんのお腹の中にいる時に作られて、生まれてからだいたい生後30日くらいで、陰のうと呼ばれる袋の中へ降りてくると言われています。生後半年くらいまでは、お腹と陰のうの間を行ったり来たりすることもあります。

しかし、もし停留睾丸の状態をそのままにしておくと、犬が中高齢になった時に、残された睾丸が腫瘍になってしまう可能性が高くなると言われています。腫瘍は良性のこともあれば悪性のこともあり、犬の健康に大きな影響を与えることがあります。

もし、ご自宅で犬の睾丸が確認できない場合は、一度動物病院にご相談いただくことをおすすめします。早期に発見し、獣医師と相談することで、犬の健康を守るための最善の選択肢を見つけることができます。

犬の停留睾丸でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

この記事では、停留睾丸の原因やよくある症状、改善方法や予防方法について詳しくご紹介しました。

停留睾丸とは、本来陰のうに降りるはずの睾丸が、お腹の中や足の付け根に残ってしまっている状態のことです。はっきりとした原因は不明ですが、遺伝的な関与があると考えられています。

停留睾丸そのものがすぐにワンちゃんを苦しめるわけではありませんが、中高齢になった際に睾丸が腫瘍化するリスクが高まるという大切な注意点があります。残念ながら予防方法はなく、薬で治すことも難しいのが現状です。

そのため、もし停留睾丸が見つかった場合は、将来的な腫瘍のリスクを考えて、手術で摘出することが一般的な選択肢となります。

もし現在、犬の停留睾丸でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。大切なワンちゃんが快適に過ごせるよう、一緒に停留睾丸についてチェックしていきましょう。