犬の血液検査でわかることは?チェックすべき数値や受ける時の注意点を解説!
血液検査によって、体の中の変化に気付くことができます。血液検査は、臓器の働きや栄養バランス、病気の兆候などを早めに見つけることができる検査です。シニア期に入ると病気のリスクが高まるため、定期的な検査を受けましょう。
この記事では、犬の血液検査でわかることや健康診断の注意点などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
犬の血液検査でわかることは?
血液検査は、犬の体の中で起きていることを調べるための大切な検査です。外からは見えにくい臓器の働きや、貧血・炎症・感染の有無など、さまざまな情報を知ることができます。また、定期的な検査によって、病気の早期発見や予防にもつながります。血液検査で行われる、血球検査と生化学検査についてご紹介します。
血球検査
血球検査では、血液中に含まれる細胞の数や状態を調べます。主に調べるのは白血球や赤血球、血小板の3つです。それぞれ、犬の体の中で欠かせない役割を持っています。
白血球は、体に入ってきたウイルスや細菌をやっつける役割があります。数が多いと感染や炎症の可能性があり、逆に少ないと免疫力が低下している場合も考えられます。
赤血球は、酸素を体中に届ける大切な細胞です。数が減っていると貧血が疑われ、体がだるくなったり、元気がなくなったりします。逆に多い場合は、脱水などによる血液の濃縮が関係していることもあります。
血小板は、ケガなどで出血したときに、血を止める働きをしています。数が少ないと出血しやすくなり、止まりにくくなることも。病気によっては、血小板が減少してしまうケースもあるため、詳しくチェックされます。
血球検査は、体の内側で起きている変化を見つけるための、重要な手がかりです。
生化学検査
生化学検査は、血液中の酵素や成分を調べることで、内臓の働きや代謝の状態を知るための検査です。肝臓・腎臓・すい臓・血糖・たんぱく質の状態など、多くの情報が得られます。
GPT(ALT)は肝臓の細胞に多く含まれる酵素で、肝臓に傷害があると数値が上がります。ALPも肝臓や胆道、骨などに関係していて、炎症やホルモンの異常、薬の影響などでも上昇することがあります。
BUNやクレアチニン(CRE)は、腎臓の働きを見る指標です。腎臓がきちんと老廃物を排泄できていない場合に、数値が高くなります。逆に、肝臓の合成力の低下や栄養状態の影響で低くなることもあります。
血糖値(GLU)は、糖尿病やストレスの影響を確認するために使われます。アルブミン(ALB)は栄養状態や肝臓機能と関連があり、Ca(カルシウム)やIP(リン)は骨や腎臓の健康をチェックするうえで重要です。
電解質(ナトリウム、カリウム、クロール)は、体内の水分バランスや神経・筋肉の働きに関係しています。これらの数値を組み合わせて見ることで、病気の有無や体調の変化を総合的に判断します。
この数値が「高い」場合は注意!
犬の血液検査では、数値が高くなることで病気の可能性が疑われることがあります。
例えば、GLU(血糖値)が高いときは、糖尿病の可能性があります。猫は採血のストレスで一時的に数値が上がることもあるため、高いからといって必ずしも糖尿病であると断定することはできません。そのような場合は尿検査とあわせて判断していきます。
また、BUN(尿素窒素)とCRE(クレアチニン)の両方が高い時は、腎臓の機能が落ちている可能性があります。BUNだけが高い場合は、心臓の病気など他の原因も考えられます。特にキャバリアやチワワは心疾患のリスクが高いので注意が必要です。
ALTやAST、ALKPといった肝臓の酵素が高い時は、肝臓や胆道の病気が疑われます。副腎のホルモン異常による「クッシング症候群」の可能性もあります。ミニチュア・シュナウザーはALTが高めに出やすい傾向があるため、定期的な検査が推奨されます。
この数値が「低い」場合は注意!
逆に血液検査の中で低い数値にも気をつけるべき項目があります。特に注意が必要なのはTP(総たんぱく)とALB(アルブミン)です。
アルブミンは肝臓で作られるたんぱく質で、血液の中で水分を保つ役割があります。これが大きく下がると、血管の外に水分が漏れ出し、胸水や腹水が溜まることがあります。
アルブミンが下がる原因には、肝臓の機能低下や栄養の吸収不良などが考えられます。特に数値が2.0g/dLを下回るような場合は、体に大きな影響を及ぼす可能性があるため、早めの対処が大切です。
そのほかにも、赤血球数やヘマトクリット値が低ければ貧血が、白血球が少なければ感染症など、血小板が少なければ止血に影響する病気が疑われます。
犬の血液検査はどれくらいの頻度で受けるべき?
若い犬では異常が見つかることは少ないですが、年に1回は健康状態を確認しておきましょう。その後は年1回の検査で十分なことがほとんどです。
5歳を過ぎると、体に少しずつ変化が現れます。年に1回の健康診断とあわせて血液検査を受けることで、異常の早期発見につながります。
7歳を超えると、腫瘍や内臓の不調などのリスクが高まるため、血液検査だけでなく、年1〜2回の総合的な健康診断がおすすめです。
この頻度はあくまで目安です。年齢や体調に合わせて、気になることがある都度、動物病院に相談するようにしてくださいね。
血液検査などの健康診断を受ける時の注意点
犬の健康診断には、いくつかの準備や注意点があります。食事を控える必要があったり、尿や便をあらかじめ用意しておいたりすることが必要です。
絶食が必要な場合がある
血液検査の中には、正確な数値を得るために絶食が必要なものがあります。血糖値や脂質に関する項目は、食後すぐに検査すると高く出てしまうことがあるため、誤った判断につながらないように絶食が必要です。
そのため、検査当日の朝はごはんを与えずに動物病院へ行くよう指示されることがあります。水は基本的に飲んでも大丈夫ですが、念のため事前に病院で確認しておきましょう。
絶食の指示がある場合は、食事の時間や間隔についてもしっかり守りましょう。ワンちゃんにとってもストレスがかかる時間になりますので、声をかけたり、診察後に好きなおやつをあげたりしてメリハリをつけましょう。
検査に必要な尿は冷蔵保存、便は常温保存する
健康診断で尿や便の検査があるときは、自宅で採取して持参することがあります。採れたてをすぐに持っていくのが理想ですが、難しい場合は冷蔵保存をすることもできます。
尿は、時間が経つと成分が変化しやすく、正確な検査結果が得られないことがあります。そのため、採取したら、なるべく早めに冷蔵庫へ入れておくのがポイントです。便は、清潔な容器に入れて常温保存しておけば、検査に使うことができます。
犬の血液検査でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬の血液検査でわかることや健康診断の注意点などについて詳しくご紹介しました。
犬の血液検査は、健康状態を内側からチェックできる大切な検査です。赤血球や白血球、臓器の働きを示す数値など、さまざまな情報から病気の兆しを早めに見つけることができます。高齢になるにつれて病気のリスクは特に高まるため、年齢に応じた検査を行いましょう。
もし現在、犬の血液検査でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。ワンちゃんの健やかな毎日を一緒にサポートしていきましょう。