犬の軟便の原因は?考えられる感染症について解説!
ワンちゃんのうんちがいつもより柔らかいと心配になりますよね。
軟便は食べすぎや体調の変化で起こることもありますが、ときにはストレスや感染症、誤って食べたものなどが関係していることもあります。下痢が何日も続いたり、繰り返したりする場合は、放置せずに原因を探っていきましょう。
この記事では、犬の軟便の原因や考えられる感染症などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
犬の軟便の原因は?
犬の軟便の原因には、食べ物やストレス、感染症、誤飲などが考えられます。それらの原因について詳しくご紹介します。
食べ物の影響
犬の軟便の原因としてもっとも多いのが、食べ物の影響です。例えば、ドッグフードを食べすぎてしまったり、人の食べ物を食べてしまったりした場合、消化が追いつかずにうんちが柔らかくなることがあります。また、水分の多い缶詰タイプのフードやパウチ製品をいつもより多く食べた時も、便が柔らかくなることがあります。ドッグフードの種類を急に変えた場合に、腸内環境が整わず軟便になることも。さらに、特定の食材に反応する食物アレルギーが関係していることもあるため、動物病院で検査を受けてみることがおすすめです。
ストレスの影響
犬も人間と同じようにストレスを感じると体調を崩すことがあります。ストレスの原因になりやすいのは、引っ越しや模様替え、旅行、家族構成の変化など、環境が大きく変わると、不安や緊張が原因で軟便になることがあります。また、家の近くで工事が始まったり、大きな音が続いたりするような環境でも、落ち着かない日々が続くことでお腹の調子が乱れることがあります。長時間の留守番が続くのも、犬にとっては大きなストレスです。
感染症の影響
軟便が続いている場合、感染症が原因のこともあります。代表的なものとしては、カンピロバクター菌やサルモネラ菌などの細菌、犬パルボウイルスや犬コロナウイルスといったウイルスが挙げられます。また、回虫や条虫などの寄生虫による感染でも、消化器に負担がかかり軟便が見られることがあります。これらの感染症では、軟便よりも下痢や血便といった強い症状が出ることも多く、元気や食欲がなくなるケースもあります。ワクチンの接種歴や、散歩中に口にしたものなどにも注意を向け、異変が続くようであれば、早めの受診がおすすめです。感染症については、次の章で詳しく解説します。
異物の誤飲
犬はなんでも口にしてしまう習性があるため、異物の誤飲も軟便の原因になります。ティッシュやおもちゃのかけら、観葉植物の葉、人の薬や食べ物(特にネギ類やチョコレートなど)は、本来犬が口にしてはいけないものです。これらを飲み込むと、腸の動きが乱れたり、消化できない異物が刺激になって軟便になります。場合によっては消化管で詰まってしまう危険なケースもあるため、いつもと違った便が出ていたり、変なものを食べたかもしれないと思ったりした時には、念のため動物病院に相談しましょう。
繰り返す・長引く下痢はこんな感染症が隠れているかも
下痢が何日も続いたり、良くなったと思ってもまた繰り返すようなときは、単なる体調不良ではなく、感染症が関係している場合もあります。見た目では分かりにくいものも多く、症状が軽いまま長引くこともあるため注意が必要です。ここでは、犬の下痢に関係する主な感染症について、詳しくご紹介します。
クリプトスポリジウム
クリプトスポリジウムは、小腸に感染する原虫と呼ばれる微生物の一種です。健康な犬であれば、ほとんどの場合は症状が軽く、一時的な軟便や下痢で済むことが多いとされています。
しかし、ジアルジアという別の原虫と同時に感染した場合、重い症状になるリスクが高まることがあるため注意が必要です。感染していても症状がはっきり出ないこともあり、気付かない場合もあります。診断には糞便の顕微鏡検査や、糞便中の遺伝子を調べるPCR検査を行います。下痢が長引くときは、このような検査も視野に入れて動物病院に相談してみましょう。
犬回虫
犬回虫は、動物病院でもよく見つかる寄生虫のひとつで、子犬に多くみられます。犬の体内で成長するにつれて、嘔吐や下痢などの消化器症状が出てくることがありますが、軽い感染の場合はほとんど症状が見られないこともあります。この寄生虫は人にも感染することがあり、特に小さな子どもは内臓や皮膚、眼で幼虫移行症を引き起こすことがあるため、注意が必要です。診断には糞便の顕微鏡検査を用いて、虫卵の有無を調べるのが一般的です。
ジアルジア
ジアルジアも、小腸に感染する原虫のひとつで、非常にしぶとく生き延びる特徴を持っています。一度駆除しても再感染しやすいため、治療後も油断できません。この原虫は犬だけでなく、人を含むさまざまな動物に感染する可能性があります。一時的な下痢や軟便が主な症状ですが、重症化することはあまりありません。
しかし、免疫力が弱い子犬や高齢犬は重症化の可能性があるので気をつけましょう。診断は、糞便の顕微鏡検査のほか、抗体検査やPCR検査で行われます。
細菌性腸炎
クロストリジウム属などの細菌が原因で起こる腸炎を、細菌性腸炎といいます。急な下痢や嘔吐、発熱が見られることが多く、犬の体に大きな負担をかけることもあります。治療には、脱水のケアや抗生物質などの対症療法が行われます。原因となる菌の確認には、糞便検査やPCR検査などが使われますが、これらの菌は健康な犬の腸内にも存在していることがあるため、単に検出されたからといってすぐに病気と断定できるわけではありません。
犬パルボウイルス
犬パルボウイルスは、特に子犬に多く見られる感染症で、感染力が強いのが特徴です。発症すると、激しい下痢や嘔吐、食欲不振などの重い症状が現れ、早期に治療しなければ命に関わることもある怖い病気です。混合ワクチンによって予防が可能ですが、まだワクチンを打っていない子犬や、ワクチン効果が十分でない成犬でも感染することがあります。発症後の経過が急激なため、少しでも異変があればすぐに動物病院を受診してください。
犬はお腹が冷えると軟便になるのか?
冬の寒い時期や、冷房の効いた室内にいた時に犬が下痢をした場合、「寒くてお腹を壊したのか?」と心配になるでしょう。しかし、犬は人間よりも寒さに比較的強く、お腹の冷えが直接の原因で軟便になることはあまり多くないとされています。
それよりも、冬ならではの生活の変化が関係していることが多いのです。例えば、寒さで散歩の時間が減り、運動量が少なくなると消化機能も落ちやすくなります。また、消費カロリーが減ったことで食事の量が自然と少なくなったり、年末年始などに普段と違うおやつや人の食べ物を与えてしまうことで、お腹を壊すことがよくあります。寒い季節は、温度調節は大切ですが、加えて運動と食生活のバランスに気をつけましょう。
犬の軟便でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬の軟便の原因や考えられる感染症などについて詳しくご紹介しました。
犬の軟便にはさまざまな原因があり、食べ物やストレス、感染症、誤飲など、ほとんどが日常の中に潜んでいることがわかりました。下痢や軟便が一時的なものであれば様子を見ることもできますが、繰り返したり長引いたりする場合は、クリプトスポリジウムや犬回虫、ジアルジアなどの感染症が関係していることもあるため注意が必要です。もし現在、犬の軟便でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。軽い症状でも、そこから異常が見つかることもあります。些細なことでもお気軽にご相談くださいね。