ケンネルコフの初期症状は?重症化による影響・治療方法を解説!
ケンネルコフという病気をご存じですか?
聞きなれない病名ですが、多くは「犬の風邪」とも言われている病気です。風邪とは言っても、決して安易に考えてはいけないのがケンネルコフです。その理由をケンネルコフの症状や治療法なども一緒に解説していきます。
目次
ケンネルコフはどんな病気?
ケンネルコフは通称「犬の風邪」とも言われています。風邪とは言っても重症化すると怖い病気でもあります。その総称は、「伝染性気管気管支炎」とも呼ばれ非常に感染力の強い呼吸器疾患です。主な感染経路は、飛沫や接触感染であり、感染している犬と接触していたり、くしゃみや咳などで飛沫を浴びてしまうことで感染します。そのため、ペットショップや保護施設で多頭飼育されている環境で感染が広まりやすいとされています。
感染から発症するまでの潜伏期間は、3〜10日間ほどあります。感染直後は無症状のことが多く、感染していることに気づかないことも多くあります。
また、免疫力の低下している状態では、特に感染しやすくなります。何らかの疾患で免疫力の低下が認められる場合や免疫力が確立していない生後6週〜6か月の子犬、老犬などはかかりやすいです。ほとんどの場合は、軽症であり1週間ほどで回復が見込まれます。
ケンネルコフの初期症状は?
ケンネルコフは、呼吸器疾患であり主に咳嗽を伴う症状が特徴的です。
感染してから無症状期間のあるケンネルコフを早期発見するためには、どのような症状に気を付ければ良いのでしょうか。感染初期に見られる主な症状について解説していきます。
乾いた咳
乾いた咳は、ケンネルコフの代表的な症状と言っても良いでしょう。一見、咳をしているのか分かりにくいことも少なくないでしょう。犬がのどに何か詰まったように「カッ」と短く乾いているように聞こえたなら、それは咳かもしれません。
人間の咳とは一見異なるため、気づくことが難しい場合もあるでしょう。早期発見や今後のためにも、少しでも気になったら獣医に相談するのも良いですね。
食欲がなくなる
多数のウイルスや細菌によって感染が引き起こされている場合には、食欲不振になることも多くあります。また、咳が刺激となって嘔吐したりすることもあります。
感染によって発熱を伴うことでも食欲不振は引き起こされます。数日経っても改善がない場合には、医療機関に受診するようにしましょう。
食事の摂取は、免疫力向上や治癒過程にも必要不可欠です。食事が摂れない期間が長引くことで重症化したり、治癒遅延を引き起こす可能性もありますので、何のきっかけのない食欲不振は安易に考えず注意しましょう。
微熱が続く
咳や食欲不振と共に微熱を伴うことがあります。食欲が回復すると同時に微熱も軽快することが多いですが、微熱が長引くことで重症化する恐れもあります。他の症状に加え、寝ることが増えたり、だるそうにしていたら発熱している可能性もあるため、受診をおすすめします。
ケンネルコフが重症化した時の症状は?
ケンネルコフは、軽症の場合ほとんどが1週間程で軽快しますが、何らかの合併症を引き起こしてしまった場合には最悪死に至ることもある病気です。では、重症化を見逃さないためにはどのような症状に注意したら良いのでしょうか。
細菌感染による肺炎
乾いた咳ではなく、痰を伴う咳や濁った鼻水などの症状がある場合には、肺炎を引き起こしている可能性があります。肺炎は、死に至ることもある恐ろしい病気です。肺炎により、さまざまな症状も現れ、より容態は悪化するでしょう。特に体力のない老犬や子犬では、重症化しやすく数日で命を落とすこともあります。
高熱
肺炎の症状として高熱を出すことがあります。ケンネルコフが重症化し、肺炎を引き起こすと同時に高熱も現れるでしょう。高熱によって、食欲低下やふらつき、体動困難などの症状が現れる可能性があります。
呼吸困難
呼吸困難を引き起こすと、酸素がうまく取り込めずチアノーゼという症状も現れることがあります。チアノーゼとは、酸素不足により舌などの血色のある部分が紫色になる現象です。人間でいうと、口唇や爪などが代表的です。
呼吸は、命を司る重要な動作です。また、酸素吸入ができないことで脳にも悪影響を及ぼします。呼吸困難のような症状が見受けられたら直ちに受診するようにしましょう。
ケンネルコフの治療方法は?
ケンネルコフを発症する原因はウイルスや細菌などですが、その病原体は数多く存在します。また、一つの病原体によって引き起こされているとも限りません。基本的にウイルス性の場合は、特効薬はないため対症療法を行います。
では、主な4つの治療法を具体的にご紹介します。
咳止めの薬
咳は、気道が狭窄(狭く)することや炎症を引き起こしていることで症状として現れます。また、咳は続くと呼吸困難や気管支炎を悪化させたり、反射によって嘔吐してしまったりすることもあります。咳止め(鎮咳薬)には、気道を広げることで咳を起こさせないようにする作用や気管支を拡張(広げる)作用があります。それらの作用によって、息苦しさを緩和することが可能となります。
抗生剤・抗炎症薬
細菌によって引き起こされている場合には、抗生物質によって治療を行います。また、同時に気管の炎症を抑える抗炎症薬も用いることで、早期治癒を目指します。
時に、抗生剤では副作用やアレルギー反応を起こすこともあるため、アレルギーを持っていたり初めて内服する場合には、注意して様子を観察しましょう。
薬によっては、副作用として下痢や食欲低下、傾眠などの症状が現れることもあります。一時的なものではありますが、副作用として症状が現れることも念頭に置いておくと冷静に対応することができるでしょう。
気管支拡張薬
気管支拡張薬は、喘息の治療薬としても用いられる代表的な呼吸器疾患の薬です。
気管に炎症やむくみが生じると、気管が狭窄(狭まる)し、呼吸が荒くなるや呼吸回数が多くなるなどの症状が現れることがあります。その際には、気管支を拡張(広げる)させる作用のある薬を用いることで、呼吸が楽にできるようになるでしょう。
ネブライザー
肺炎の合併やひどく咳が続いている場合には、ネブライザー(気管吸入)を用いることがあります。ネブライザーは、空気圧や超音波によって薬液を霧状にし噴射するもので、その霧を吸い込むことで細かい微粒子となった薬液が気管や肺にまで直接届き作用するというものです。人間でも気管支喘息などに用いられる療法です。
ケンネルコフは自宅治療でも治る?
前述した通りケンネルコフは、軽症であれば1週間ほどで軽快します。ご紹介した代表的な症状でもある、乾いた咳をしている場合でも頻繁でなければ自宅で様子を見ている間にも自然治癒する場合もあるでしょう。しかし、食欲がない日が続いたり呼吸が荒かったり、頻回に咳をしている場合には、重症化を予防するためにも受診をおすすめします。
ケンネルコフでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
ケンネルコフは犬の風邪とも言われていますが、安易に考えてはいけない病気です。総称は、伝染性器官気管支炎と言われ、強い感染力のある呼吸器疾患の一つです。その感染経路は、接触や飛沫などで主にペットショップや保護施設で感染が拡大しやすいです。軽症であれば、1週間程で軽快が見込まれるものですが、老犬や生後6週〜6か月の子犬など免疫力が低い場合では感染しやすく重症化につながることもあるでしょう。重症化の場合には、最悪死に至ることもある病気です。乾いた咳が主な症状ですが、咳が頻回な場合やその他に症状がある場合には速やかに受診するようにしましょう。
犬の咳は、一見分かりづらいものです。もしケンネルコフの症状で気になる場合には、ぜひ大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。