犬のホルネル症候群とは?原因・治療方法などを解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

犬のホルネル症候群とは?原因・治療方法などを解説!

ホルネル症候群という病気をご存じですか?あまり聞きなれない病名ですよね。ホルネル症候群は、あらゆる病気が引き金となって発症する病気です。知っておくと、いざという時に有利になるかもしれません。

ホルネル症候群は、神経障害の一つで、主に目と脳をつなぐ神経経路が断たれることで引き起こされます。これは、先天性や後天性どちらも起こりうる可能性があるものです。また、発症しやすい犬種や年齢なども特に定まっていなく、どの犬にでも起こり得るでしょう。

では、ホルネル症候群と気づくためにはどのような症状に注意したら良いのでしょうか。また、予防するためにできることはあるのか気になりますよね。今回は、そんなホルネル症候群の症状や原因、治療法などについて詳しく解説していきます。普段の様子から些細な異変からすぐにホルネル症候群と気づけるように参考にしてみてください。

犬のホルネル症候群の4つの症状

ホルネル症候群は目と脳をつなぐ神経伝達経路が断たれることで症状が引き起こされる症候群です。主に片側のみ症状が見られることが多くあります。では、その症状は一体どのようなものなのか具体的にご紹介します。

ホルネル症候群の代表的な症状は、4つあると言われています。

・縮瞳

・瞬膜突出

・眼瞼下垂

・眼球陥没

では、これらの症状を一つずつ解説していきます。

縮瞳(しゅくどう)

縮瞳とは、瞳孔が小さくなっている状態のことを指します。瞳孔は、いわゆる黒目と言われている部分で、明暗で大きさが変化するのが特徴です。大きさを変化させることで取り込まれる光の量を調整しています。反対に瞳孔が大きくなっている状態のことを散瞳と言います。この縮瞳と散瞳は、脳の神経伝達機能を観察するために用いられます。

ホルネル症候群の症状が出ている場合は、異常のある片側のみ瞳孔が小さくなっている状態が見られるでしょう。

瞬膜突出(しゅんまくとっしゅつ)

瞬膜とは、眼を保護するピンク色の膜のことです。眼の乾燥や外部からの異物に対しての保護などの役割があります。これは、さまざまな生き物にあり、生活環境の中でその機能が変わってきます。

犬の瞬膜は、通常は目頭側にあり目立つことはありません。しかし、眼に感染や炎症を引き起こしている状態などは瞬膜が飛び出たままとなる瞬膜突出と言われる状態になることがあります。この瞬膜突出はホルネル症候群によって引き起こされる特徴的な症状でもあります。

眼瞼下垂(がんけんかすい)

眼瞼とは、瞼のことを指します。その名の通り眼瞼が下垂している状態、つまり瞼が垂れ下がっている状態が眼瞼下垂です。これは、人間にも見られる症状でもあり発症する人も少なくありません。主に瞼の筋肉が弱って瞼を上げきれないことが原因であることが多くあります。重症の場合は、視野障害を伴う場合もあります。

眼球陥没(がんきゅうかんぼつ)

眼球陥没とは、眼球が眼の周りにある骨の眼窩に後退している状態で、見た目的には眼が引っ込んでいるように見えます。眼球が萎んだり小さくなっているわけではなく、視力や視覚には異常をきたしません。

犬のホルネル症候群の原因は?

ホルネル症候群を発症した際の症状については前述した通りですが、その原因が何か気になりますよね。実は、ホルネル症候群の原因を特定することは難しく、発症してもその多くは原因不明となることがあります。では、ホルネル症候群の原因と考えられている4つの原因をここでご紹介します。

交感神経の障害

脳につながっている交感神経のどこかで異常が起きていることが原因として考えられています。しかし、交感神経といってもいくつかの分岐があり原因となる経路を特定するには難しい場合があります。

交感神経の経路は大きく分けて3つです。

・脳から脊髄まで:中枢

・脊髄から首の神経節まで:節前

・首の神経節から眼までの末梢神経:節後

この3つの経路のどこかで異常が起きることでホルネル症候群が引き起こされると考えられています。

炎症・外傷による損傷

炎症や外傷によって引き起こされる場合には、「節前」の交感神経経路が異常をきたしていることが原因の可能性があります。交通事故やリード、チョークチェーンなどによって首付近にダメージが与えられることで神経に障害をきたす可能性があります。

椎間板突出

椎間板突出は、「中枢」の交感神経経路に異常をきたすことによって引き起こされると考えられます。椎間板は、脊椎の間にあるクッションのような役割をしている部位です。通常は、脊椎と並び隣にある神経叢に進出しないようになっています。しかし、椎間板が突出することによって神経叢が圧迫され、その神経が担っている器官に障害をもたらすのです。

中耳炎

中耳炎は、「節後」の交感神経経路に異常をきたすためにホルネル症候群が引き起こされる原因とされています。耳は、外側から外耳、中耳、内耳と分類されます。その中でも中耳には顔面や眼の交感神経の走行がある部位であり、ここが炎症を起こすことでそれらの神経にも障害をきたす場合があるのです。

犬のホルネル症候群の治療方法は?

では、「もしホルネル症候群かも?」と思った際にはどのような治療法があるのか知っておきたいですよね。治療法は、原因によっても異なりますが、主に下記の4つが挙げられます。

血液検査

血液検査によって、他の病気である可能性を除外することが目的です。炎症によって引き起こされているものであれば、炎症反応を見ることで炎症が原因であることが分かります。これは、中耳炎も同様です。

神経学的検査

神経学的検査とは、脳や脊髄の異常を調べる検査のことであり、視診、触診、姿勢反応、脊髄反射などが含まれます。専用の機械を装着し神経反応を見たりすることで、どの部位の神経に異常があるのか観察することができます。

目薬の点眼

「フェニレフリン」と呼ばれる散瞳効果のある点眼をすることで、どこの神経に異常が起きているのか見ることができます。これは、点眼液が効くまでの時間によって問題を探る方法です。

犬のホルネル症候群でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

ホルネル症候群は、交感神経経路のある部位に異常があることで引き起こされるものです。主に眼に症状が現れます。瞳孔が小さくなる縮瞳、普段は見えることのない瞬膜が突出してくる瞬膜突出、瞼が垂れ下がり眼が開いていないように見える眼瞼下垂、眼球が眼窩へ後退することで窪んで見える眼球陥没の4つの症状が特徴的です。交感神経は大きく3つに分類され、そのどこで異常があるのか原因を特定することが難しい場合もあります。ホルネル症候群を引き起こす可能性のある病気の中には、脳梗塞や腫瘍、頸椎骨折、椎間板突出、中耳炎、などがあります。血液検査やレントゲン検査などは病気を特定するためにも役立ちます。また、リードやチョークチェーンが原因となることもあるので、きつく締めすぎないように注意しましょう。

もし、愛犬がホルネル症候群かもと思ったりその他気になる病気や症状がある場合には、ぜひ大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。