エコリシン眼軟膏は猫に使える?代用品・使い方などをご紹介! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

エコリシン眼軟膏は猫に使える?代用品・使い方などをご紹介!

エコリシン眼軟膏は、猫の目のトラブルに使われていた薬です。現在は、販売が中止になったため、病院では代用の薬が使われています。この記事では、代用されている薬や、眼軟膏を使う時の手順などについて詳しくご紹介します。

エコリシン眼軟膏とは?

エコリシン眼軟膏は、目の感染症や炎症を治療するために使われていた抗菌薬の軟膏です。主に細菌による目のトラブルに効果を発揮し、猫の目の病気にも使われることがありました。ここでは、エコリシン眼軟膏についてご紹介します。

主成分

エコリシン眼軟膏の主成分は「エリスロマイシンラクトビオン酸塩」と「コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム」です。これらの成分は、それぞれ異なる種類の細菌に対して効果を発揮します。エリスロマイシンはマクロライド系抗生物質で、主にグラム陽性菌に強い効果を示します。例えば、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などが該当します。一方、コリスチンはポリペプチド系抗生物質で、グラム陰性菌に対して効果を発揮します。特に大腸菌や緑膿菌などの細菌に有効で、さまざまな細菌感染に対応できることが特徴です。

この2つの成分が配合されていることで、多種多様な細菌感染を防ぐことができ、複合的な細菌感染症にも対応可能でした。猫の目の病気は、複数の細菌が関与していることが多いため、両方の細菌に働きかけるエコリシン眼軟膏は非常に有用でした。また、これらの成分は目の表面に優しく、刺激が少ないため、デリケートな猫の目にも安心して使用できました。

抑えられる症状・効果

エコリシン眼軟膏は、目に感染した細菌の増殖を抑える強い抗菌作用があります。これにより、目の炎症や腫れ、痛みなどの症状を軽減する効果が期待できます。具体的には、以下のような症状や疾患に用いられていました。

・眼瞼炎(がんけんえん):

まぶたが赤く腫れ、痛みやかゆみを伴う炎症です。細菌感染が原因となることが多く、エコリシン眼軟膏を塗ることで炎症を抑えられます。

・涙のう炎:

涙がたまる部分が炎症を起こし、目やにや腫れが見られる状態です。放置すると涙が詰まりやすくなり、慢性的な炎症へとつながります。

・麦粒腫(ものもらい):

目のまわりの皮脂腺が細菌感染を起こし、腫れや痛みが発生します。エコリシン眼軟膏は、このような細菌感染による症状に直接アプローチします。

・結膜炎:

目の表面を覆う薄い膜が炎症を起こし、充血や目やにが増える病気です。感染症やアレルギーが原因で発症しますが、細菌性の結膜炎にはエコリシン眼軟膏が効果的です。

・角膜炎:

角膜が細菌によって炎症を起こし、痛みや視力低下が見られる疾患です。角膜炎は重症化すると失明のリスクもあるため、早期の治療が必要です。

炎症が進むと目が赤くなったり、腫れが悪化して痛みが増しますが、エコリシン眼軟膏を塗ることで症状が和らぎ、回復を促進します。目の病気は自然に治ることが少なく、悪化しやすいため、早めの治療が重要です。特に猫は目の病気を放置しやすいため、異変に気づいた際にすぐに対応することが必要です。

現在は販売停止している

残念ながら、エコリシン眼軟膏は現在販売されていません。製造を委託していた会社が製造を中止したことが大きな要因です。委託先の製造ラインが閉鎖されたり、生産量の減少が影響したとされています。これに伴い、新たな製造委託先を国内外で探しましたが、求める品質や安定的な供給体制を確保できる企業が見つからず、製造の継続が困難になりました。

このような背景から、代わりとなる薬が必要になり、現在ではタリビッド眼軟膏やオフロキサシン眼軟膏が多くの病院で処方されるようになっています。

エコリシン眼軟膏の代用で使われる薬は?

エコリシン眼軟膏が手に入らなくなってしまっても大丈夫です。現在は、エコリシン眼軟膏の代わりになる薬がいくつかあります。これらの薬も目の細菌感染を抑える働きがあり、同じように効果を期待できます。病院や動物病院では、タリビッド眼軟膏やオフロキサシン眼軟膏などがよく使われています。それぞれ特徴がありますが、どちらも安心して使えます。ここでは、それらの代用薬について詳しくご紹介します。

タリビッド眼軟膏

エコリシン眼軟膏の代わりとしてよく使われるのが、タリビッド眼軟膏です。この薬は、細菌のDNAが複製されるのを妨げることで、細菌の増殖を防ぎます。結膜炎や麦粒腫(ものもらい)、涙嚢炎(涙がたまる部分の炎症)、瞼板腺炎(まぶたの奥にある腺の炎症)、角膜炎などの目の病気の治療に使われます。また、眼科手術の前後に感染を防ぐ目的でも処方されます。エコリシンと同じ成分の薬はありませんが、さまざまな細菌に対応できるタリビッドが代用薬として選ばれることが一般的です。

オフロキサシン眼軟膏

オフロキサシン眼軟膏は、タリビッド眼軟膏のジェネリック薬です。成分や効果はタリビッドとほぼ同じで、細菌のDNA複製を阻害することで細菌の増殖を抑える働きをします。結膜炎や麦粒腫の治療のほか、眼科手術の前後に感染を防ぐ目的でも使われます。エコリシンが販売停止になった今、当院ではオフロキサシン眼軟膏を処方しています。ジェネリックであるため、タリビッドよりも価格が抑えられている点も特徴です。

猫に眼軟膏を使う場合の手順

猫の目に軟膏を塗るとき、少し戸惑うこともあるかもしれませんね。でも、手順をきちんと覚えておけば、意外と簡単にできます。猫が目をこすったり、症状が悪化したりしないようにするためにも、正しい方法で塗ることが大切です。落ち着いて優しく対応することで、猫もリラックスしやすくなります。ここからは、猫に眼軟膏を使う際の手順について、わかりやすくご紹介します。

①手をよく洗う

まず、猫の目に軟膏を塗る前に、しっかりと手を洗いましょう。手が汚れていると、目にバイ菌が入ってしまい、症状が悪化する可能性があります。手のひらや指の間、爪の下まで丁寧に洗い、清潔なタオルでしっかり水気を拭き取ります。猫は敏感なので、優しく落ち着いた動きで手を清潔にしておくと、猫も安心してくれるでしょう。手を清潔にすることで、感染予防につながるだけでなく、安心感にもつながります。

②親指で下まぶたを下に開く

次に、猫の目をやさしく開きます。親指で猫の下まぶたを下に軽く引っ張り、目の内側が少し見えるようにしましょう。猫が嫌がることもあるので、無理に力を入れずに、猫がリラックスしているタイミングを見計らうのがポイントです。顔を固定する際は、猫のあごを軽く支えてあげると安定します。声をかけながら行うと、猫も安心しやすくなります。

③軟膏を1~2mm出して上まぶたの裏にのせる

軟膏は1~2mm程度チューブから出して、上まぶたの裏側にそっとのせます。軟膏を直接まぶたに触れさせないようにし、少し浮かせるようにして塗ると、猫が目を閉じたときに自然に広がります。塗った後は猫が目をこすらないよう、少し様子を見守ると安心です。終わった後は猫を優しくなでたり、おやつをあげると、次回の治療もスムーズにできるようになるでしょう。

猫が眼軟膏を舐めてしまった時の対処法は?

猫が眼軟膏を舐めてしまうことは、意外とよくあることです。薄く塗った程度であれば、大きな副作用の心配はほとんどありません。しかし、軟膏の成分によっては少量でも体に負担がかかる可能性があります。特に抗生剤や痒み止めが含まれている場合は注意が必要です。

舐めてしまうのを防ぐためには、塗った後すぐに猫の気をそらすのがおすすめです。例えば、軟膏を塗った後にお気に入りのおもちゃで遊んだり、食事を与えたりすると、猫が気にせず過ごせます。また、軟膏を塗った部分をティッシュやガーゼで軽く押さえてあげると、猫も違和感を感じずに普段通りに過ごせます。軟膏を塗るタイミングを工夫するのもおすすめで、寝る前や落ち着いている時に塗ることで、猫が気になってしまうリスクを減らせます。

もし大量に舐めてしまった場合や、舐めた後に体調が悪くなった場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。

猫の目でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

この記事では、猫の眼軟膏についてご紹介しました。エコリシン眼軟膏は現在販売が中止されていますが、タリビッド眼軟膏やオフロキサシン眼軟膏で対処できます。実際に眼軟膏を塗る際、猫のストレスにならないように塗ってあげてくださいね。

もし現在、猫の目についてお悩みの方は、ぜひ大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。猫が健康に過ごせるように対策してあげましょう。