犬の嘔吐の原因と対策│知っておきたいポイントとは?
犬が嘔吐すると飼い主としてはとても心配になりますよね。愛犬の健康を守るためには嘔吐の原因を正確に把握し、適切な対策を講じることが重要です。
この記事では、犬の嘔吐が起こる一般的な要因とそれに対処する方法についてご紹介します。大切な情報を手に入れて愛犬の健康管理に役立てましょう。
目次
犬の嘔吐の原因はなに?
犬の嘔吐の原因はさまざまですが、ここでは3つの一般的な原因について解説します。
原因1.異物誤飲
犬は「異物誤飲の事故」が多く、時には驚くほど大きな物を誤飲することもありますので、愛犬の口に入るものは厳重に管理しましょう。
異物誤飲による嘔吐では、下痢や食欲不振、元気消失や呼吸困難などの症状が現れます。食事をしていないのに口をパクパクさせたり、何度もえずくが胃液しか出なかったりといった症状は、異物誤飲の可能性が高いです。
消化管内に異物が滞留すると最悪の場合、腸閉塞や気道閉塞による窒息の危険性があります。
誤飲の主な原因として、
・おもちゃ
・骨
・石
・布
・ビニール
・果物の種
・電池
などがよく報告されます。
特にガムとして頻繁に与えられる骨や軟骨は、誤飲のリスクが高くなるので愛犬に適したサイズや硬さのものを選んでください。
異物誤飲による犬の嘔吐は深刻な状況ですので、早急に獣医師の診察を受けるべきです。状態によっては内視鏡検査や外科手術も必要となることもあります。軽く考えて自己判断で様子を見るのはやめましょう。
原因2.中毒
人間には無害な物質でも、犬にとっては中毒になる危険性を含む物質があります。
中毒による嘔吐の一般的な症状には、
・下痢
・多量のよだれ
・意識の混乱
・けいれん
・心臓発作
・胃潰瘍
などがあります。
ネギ類による中毒では血尿や貧血、チョコレート中毒では興奮や異常な呼吸回数の増加も見られることがあります。重症の場合は摂取後1時間以内に症状が現れることが多いですが、食べた後2〜3日後に症状が現れる場合もあるため、毎日の観察が大切です。
犬にとって有害な食べ物の中でも特に危険なものは次の通りです。
・たまねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニク
・緑に変色したジャガイモ、熟してない緑のトマト
・アロエ、アジサイ
・ぶどう、レーズン
・キシリトール、チョコレート、ココア
・その他にもタバコや人間の薬、殺虫剤
なども中毒の原因となります。
薬品による中毒は症状が現れるまでの時間が短く、多くの場合は摂取後10〜60分以内に異変が現れます。中毒の疑いがある場合は、速やかに獣医師の診察を受けるべきです。
原因3.病気
異物誤飲や中毒だけでなく、病気が原因で嘔吐することもあります。病気による嘔吐は通常、下痢や食欲不振などと一緒に現れます。
この時、嘔吐物の色にも注意が必要です。胃炎や胃潰瘍、消化器官の腫瘍などでは茶色や黒色になることがあります。したがって犬の嘔吐物の状態をチェックすることが重要なのです。
犬の体調不良による嘔吐には、一時的な原因と長期的な原因の2つに分けられます。詳しい内容は以下の通りです。
≪一時的な原因≫
・ストレス
・熱中症
・乗り物酔い
・胃腸炎
・アレルギー反応
≪長期的な原因≫
・寄生虫感染
・感染症
・腫瘍
・腎不全
・膵炎
・腎炎
・肝炎
・尿毒症
・子宮蓄膿症
犬の嘔吐は健康上の問題を示している可能性があるため、適切な処置が必要です。嘔吐が続く場合や他の症状が現れる場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。
犬が吐いた時に飼い主が確認すること
嘔吐の原因を特定するためには、いくつかの要素を確認する必要があります。詳しく見ていきましょう。
吐いた回数や頻度
嘔吐の回数や頻度を確認することも重要です。嘔吐が頻繁に起こったり、1日に複数回嘔吐が続いたりした時には体に何らかの異常がある可能性が考えられます。
子犬や高齢の犬は頻繁な嘔吐によって脱水症状が起こりやすくなり、体力も低下してしまう恐れがあります。そのため、様子を見すぎずに早めに獣医師に相談することが重要です。
嘔吐の回数や頻度が異常に多い、または長期間にわたって続いている場合には、犬の健康状態に異常がある可能性があります。
飼い主としては犬の様子を注意深く観察し、適切な措置を講じることが大切です。早期の診断と治療は犬の健康を保つために不可欠ですので、獣医師に相談することをおすすめします。
嘔吐物
吐かれた内容を観察することは、犬の健康状態を理解する上で非常に重要です。症状に応じて適切な対処方法を選ぶために、日頃から飼い主さんが注意して気にかけてあげましょう。
たとえば、透明で泡が混じった液体なら「胃液」の可能性が高いです。胆汁が混ざると胆汁に含まれる色素によって黄色や緑色が現れることもあります。この場合は食事の回数を増やしたり、食事と食事の間におやつタイムを設けたりすると良いでしょう。
また、車酔いの際にも胃液が吐かれることがありますので、長距離ドライブの際には愛犬の体調を見ながら頻繁に休憩を取ることが大切です。薄いピンク色から赤色の液体を吐いた場合は、口内や食道、肺や気管支からの出血が混じっている可能性も考えられます。
特に鮮やかな赤色ではなく赤黒い嘔吐物を確認したら、胃潰瘍や消化管の腫瘍からの出血も疑われますので、早めに獣医師に相談することが重要です。
形がまだ残っている未消化のフードが吐かれた場合は、単なる嘔吐ではなく吐出の可能性もあります。特に早食いをしてしまう犬によく見られる症状ですので、早食い防止用の食器を使用するなどの対策を試してみることも考慮してください。
犬の様子
嘔吐後の犬の様子や症状を注意深く確認することも重要です。実際に嘔吐しているのか、吐きたそうな仕草をしているのに吐けないのか、または吐いていないのかを確認します。
吐きたそうな様子が見られるのに実際には吐いていない場合、消化管の閉塞や捻転などの可能性が考えられます。犬が吐いていないからといって安心せず、状態を注意深く観察することが重要です。
さらに、
・同時に下痢をしていないか
・食欲があるか
・ぐったりしていないか
など、嘔吐以外の症状があるかどうかもチェックしましょう。
これらの症状の共存はより深刻な問題を示す可能性があります。
吐く前の兆候とは?
犬が吐く前には何らかの兆候が見られるケースが多いです。普段から異変がないかを見守ってあげましょう。
・よだれを垂らす
・そわそわと動き回る
・草を食べる
・頭を下げて吐く仕草をする
これらの行動は犬が吐く前に見られる典型的なサインです。犬が不快感を抱えている可能性がありますので、飼い主が冷静になって落ち着かせるような環境を提供し、犬が不安を感じたりしないようにサポートしてあげましょう。
吐くことが多い犬種ってあるの?
犬は他の動物に比べて吐きやすい体質の生き物だと言えるでしょう。その中でもフレンチ・ブルドッグやパグといった短頭種の犬は、消化器官が短いために吐きやすいと言われています。
さらに子犬は誤飲しやすく、シニア犬は消化器官の機能が衰えることがあるため、どちらも吐きやすいです。しかし犬の個体差や健康状態によっても異なるため、一概には言えません。犬の個々の特性や健康状態に基づいて、適切なケアや予防策を行うことが重要です。
犬の嘔吐の原因と対策│知っておきたいポイント【まとめ】
犬が吐いてしまった場合、元気があれば過度に心配する必要はありません。ただし何度も繰り返したり元気がなくなったりする場合は、大きな病気が隠れている可能性があります。そのような場合はできるだけ早く動物病院を受診しましょう。
空腹やストレス、早食いなどは飼い主が事前に防ぐことができます。犬が適切な食事を摂れるようにごはんの回数を増やしたり、ストレスの原因を取り除いたり、早食いを防止するための対策をすることで嘔吐を防ぐことが可能です。
犬の健康を守るために、嘔吐の原因が作られないような環境づくりを心がけましょう。