猫の呼吸が早いのは病気のサイン?原因や対処法を解説!
「愛猫の息がいつもより速い気がする…」
「もしかして、どこか苦しいのかな?」と、一度気になると不安になりますよね。
この記事では、猫の呼吸が早い原因や考えられる病気、対処法などについて詳しくご紹介します。
目次
猫の呼吸が正常か判断する3ステップ
愛猫の呼吸が早いと感じた時、飼い主さんがパニックになってしまうと、その不安が猫にも伝わってしまいます。
まずは深呼吸をして、これからご紹介する3つのステップで愛猫の状態を客観的に観察してみましょう。
簡単にチェックできるので、ぜひ試してみてくださいね。
ステップ1:猫の正常な呼吸数を把握しよう
猫の呼吸が異常かどうかを判断するためには、まず「正常な状態」を知ることが大切です。
一般的に、リラックスしている時の猫の正常な呼吸数は、1分間に15回から30回程度とされています。
眠っている時はさらに少なくなり、1分間に15回から25回ほどになります。
ただし、これはあくまで目安です。
猫にも個体差があるため、普段から元気でリラックスしている時の呼吸数を把握しておくことが、いざという時の判断材料になります。
ステップ2:正しい呼吸数の測り方をマスター
呼吸数は、ご自宅で簡単に測ることができます。
猫が寝ている時や、静かに座ってリラックスしている時に行いましょう。
猫の胸やお腹が上下に動くのを1回とカウントします。
1分間じっと数えるのが難しい場合は、「15秒間の呼吸数×4」で1分あたりの回数を計算できます。
正確な状態を把握するため、運動直後や興奮している時は避けましょう。
もし可能であれば、スマートフォンで呼吸している様子を動画で撮影しておくのがおすすめです。獣医師が客観的に状態を把握するのに非常に役立ちます。
ステップ3:呼吸以外に見るべき危険なサイン
呼吸数とあわせて、他に苦しそうなサインがないかどうかも重要なチェックポイントです。
以下の症状が見られる場合は、緊急性が高い可能性があります。
| 危険なサイン | 特徴 | 緊急度の目安 |
| 開口呼吸 | 口を開けて、犬のように「ハァハァ」と浅く速い呼吸をする | 非常に高い |
| チアノーゼ | 舌や歯茎の色が健康なピンク色ではなく、青紫色になっている | 非常に高い |
| 起座呼吸 | 横になれず、座ったまま首を前に伸ばし、前足を踏ん張って苦しそうに呼吸する | 非常に高い |
| 努力性呼吸 | 呼吸のたびに、お腹が大きく波打つように動く | 高い |
これらのサインは、猫が深刻な酸素不足に陥っている可能性を示しています。
一つでも当てはまる場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。
一時的なものかも?心配いらない猫の呼吸が早い原因
猫の呼吸が早くても、必ずしも病気とは限りません。
以下のような生理的な原因で、一時的に呼吸が早くなることがあります。
- 運動した後:おもちゃで遊んだ後など、体を動かせば人間と同じように呼吸は早くなります。
- 暑い時(体温調節):猫は汗をかけないため、呼吸を速くして体内の熱を逃がそうとします。
- ストレスや興奮、恐怖:来客や大きな物音、動物病院から帰ってきた後など、緊張や興奮で呼吸が乱れることがあります。
これらの場合は、原因が取り除かれて猫が落ち着けば、自然と呼吸も普段通りに戻るはずです。
しかし、一時間以上たっても呼吸が落ち着かない場合は、他の原因が隠れている可能性も考えられます。
こんな症状は要注意!呼吸が早くなる危険な病気のサイン
安静にしているにもかかわらず呼吸が早い場合や、他の症状を伴う場合は、病気が原因の可能性があります。
飼い主さんが気づきやすい症状別に、考えられる代表的な病気を解説します。
【呼吸器の病気】咳・くしゃみ・鼻水などを伴う場合
呼吸器系のトラブルは、猫の呼吸が早くなる原因として非常に多く見られます。
- 猫風邪(猫ウイルス性鼻気管炎など):ウイルス感染により、くしゃみや鼻水、咳、発熱といった症状が出ます。鼻が詰まることで呼吸がしづらくなり、呼吸が早くなることがあります。
- 猫喘息:アレルギーなどが原因で気道に炎症が起き、発作的に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音(喘鳴)や咳が出ます [5]。特にロシアンブルーなどの猫種は発症しやすい傾向があります。
- 肺炎:細菌やウイルスの感染で肺に炎症が起こります。咳や発熱、元気消失を伴い、重症化すると呼吸困難に陥ります。
- 胸水:何らかの原因で胸の中に液体が溜まり、肺を圧迫して膨らみにくくさせます。これにより、浅く速い呼吸になります。
【心臓の病気】疲れやすい・ぐったりしている場合
心臓の病気は、初期症状がほとんどなく、飼い主さんが気づきにくいのが特徴です。
- 肥大型心筋症(HCM):猫に最も多い心臓病で、心臓の筋肉が分厚くなることで心臓の機能が低下します。病気が進行すると、肺に水が溜まる「肺水腫」や、胸に水が溜まる「胸水」を引き起こし、深刻な呼吸困難につながります。特にペルシャなどの猫種で発症しやすいことが知られています。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下することで、全身に十分な酸素を送れなくなります。その結果、体は酸素不足を補おうとして呼吸数を増やします。
心臓の病気の場合、「あまり動かなくなった」「疲れやすくなった」といったサインが見られることもあります。
【その他の原因】熱中症や痛み、貧血など
上記以外にも、さまざまな原因で呼吸が早くなることがあります。
- 熱中症:高温多湿の環境で体温調節がうまくできなくなると発症します。呼吸が非常に速くなるほか、よだれや嘔吐、ぐったりするといった症状が見られます。
- 痛み:ケガや病気による強い痛みは、交感神経を刺激し、呼吸を速くさせます。
- 貧血:体内に酸素を運ぶ赤血球が減ることで、体は酸素不足となり、呼吸数を増やして補おうとします。
- 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、代謝が活発になりすぎるため、心拍数や呼吸数が増加します。
どうすればいい?緊急度別の対処法と病院へ行く前の準備
愛猫の呼吸が早い時、飼い主さんはどう行動すればよいのでしょうか。
緊急度別に解説します。
- 様子を見ても良い可能性があるケース
- 運動や興奮の後で、他に症状がなく、しばらくして落ち着く場合。
- 呼吸数は少し早いが、食欲も元気もある場合。
- すぐに動物病院へ連絡・受診すべきケース
- 安静時にもかかわらず、1分間の呼吸数が40回を超えている。
- 口を開けて呼吸している(開口呼吸)。
- 舌や歯茎の色が青紫色になっている(チアノーゼ)。
- 横になれず、座ったまま苦しそうにしている(起座呼吸)。
- ぐったりして、食欲も元気もない。
- 呼吸のたびにお腹が大きく動いている。
もし判断に迷った場合は、動物病院に電話で相談しましょう。
【病院へ行く前の準備】
受診が決まったら、慌てずに以下の準備をすると診察がスムーズに進みます。
- 事前に電話連絡をする:これから向かうこと、猫の症状を伝えましょう。
- 呼吸の様子を動画で撮る:苦しそうな時の様子を撮影しておくと、非常に重要な診断材料になります。
- 症状のメモを準備する:「いつから?」「どんな時に呼吸が早いか?」「呼吸以外の症状は?」などをまとめておきましょう。
- 猫を安静にさせる:キャリーケースに入れる際は、無理強いせず、できるだけ静かに移動しましょう。
猫の呼吸に関するよくある質問(Q&A)
ここからは、猫の呼吸に関するよくある質問についてご紹介します。
Q. 寝ている時に、時々呼吸が早くなるのは普通ですか?
A. はい、夢を見ている時に一時的に呼吸が速くなることがあります。これは「レム睡眠」という浅い眠りの際に見られる生理現象で、手足がピクピク動くこともあります。しばらくして落ち着くようであれば、心配ないことがほとんどです。
Q. 呼吸は早いが、元気で食欲もある場合は病院に行かなくても大丈夫?
A. 元気や食欲があるからといって、必ずしも大丈夫とは限りません。特に心臓病などは、初期段階では元気や食欲が落ちないことも多いです。安静時の呼吸数が明らかに多い状態が続くようであれば、一度動物病院で相談することをおすすめします。
Q. ゴロゴロ喉を鳴らしながら、呼吸が早いのはなぜですか?
A. 猫はリラックスしている時だけでなく、痛みや不安を感じている時にもゴロゴロと喉を鳴らすことがあります。もし呼吸が早く、苦しそうな様子であれば、それは体調不良のサインかもしれません。猫の表情や他の様子もあわせて観察し、判断に迷う場合は獣医師に相談しましょう。
猫の呼吸でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、猫の呼吸が早い原因や考えられる病気、対処法などについて詳しくご紹介しました。
猫の呼吸が早い原因は、一時的で心配のないものから、命に関わる深刻な病気までさまざまです。少しでも「おかしいな」と感じたら、決して自己判断せず、すぐに動物病院に相談しましょう。
もし現在、猫の呼吸でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。猫ちゃんの健康を一緒に守りましょう。