猫のヘルペスの原因は?症状・治療方法などについて徹底解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

猫のヘルペスの原因は?症状・治療方法などについて徹底解説!

くしゃみ、鼻水、涙や目やにをみて、猫ヘルペスではないかと心配になっていませんか?
苦しそうな姿を目の前にして、何もできずにいるのは本当につらいことだと思います。

この記事は、猫ヘルペスの原因や症状、対処法などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

猫ヘルペスかも?危険なサインを見逃さないためのチェックリスト

猫ヘルペスウイルス感染症は、「猫風邪」とも呼ばれるように、人間の風邪と似た症状を見せることがあります。
しかし、中には重症化につながる危険なサインも隠れています。
まずは、以下のチェックリストで愛猫の状態を確認してみましょう。
一つでも当てはまる場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

分類チェック項目
呼吸器の症状・連続してくしゃみをしている
・透明、または黄色や緑色の鼻水が出ている
・鼻が詰まって苦しそうに呼吸している
目の症状・目が赤く充血している、腫れている・大量の目やにが出ている・涙が多く、目の周りが濡れている・目をしょぼしょぼさせている、開けにくそうにしている
全身の症状・体が熱っぽい(発熱)・食欲がなく、ごはんを食べない・ぐったりしていて、あまり動かない

くしゃみ・鼻水などの「呼吸器の症状」

猫ヘルペスの代表的な症状が、くしゃみや鼻水です。
ウイルスが鼻の粘膜で増殖し、炎症を起こすことで引き起こされます。
最初は透明でサラサラした鼻水ですが、細菌による二次感染が起こると、黄色や緑色のネバネバした膿のような鼻水に変わることがあります。
特にペルシャやヒマラヤンなどの鼻が短い猫種(短頭種)は、鼻の構造上、鼻詰まりの症状が重くなりやすい傾向があります。

目やに・充血・しょぼしょぼするなどの「目の症状」

目の症状も、猫ヘルペスの非常に特徴的なサインです。
ウイルスが目の結膜に感染すると、白目が充血したり、まぶたが腫れたりする結膜炎を起こします。
涙や目やにが大量に出て、目の周りが汚れてしまうことも少なくありません。
さらに症状が進行すると、目の表面にある角膜にまで炎症が及び、「角膜炎」や「角膜潰瘍」を引き起こすことがあります。
角膜に傷がつくと強い痛みを伴うため、猫は目を開けづらそうにしたり、頻繁にまばたきをしたりします。
重症化すると視力低下や失明につながる危険な状態のため、目の異常は特に注意が必要です。

発熱・食欲不振などの「全身の症状」

ウイルス感染に対する体の防御反応として、39.5℃以上の発熱が見られることがあります。
熱があったり、鼻が詰まって匂いがわからなくなったりすることで、食欲が落ちてしまう猫も多いです。
ごはんを食べられない状態が続くと体力が消耗し、ぐったりして動かなくなるなど、元気消失につながります。
特に抵抗力の弱い子猫や高齢の猫では、ウイルスが肺にまで達して肺炎を起こすなど、命に関わる状態に陥ることもあるため、全身の状態もしっかりと観察することが大切です。

そもそも猫ヘルペスウイルスとは?原因と感染経路をわかりやすく解説

猫ヘルペスの正式名称は「猫ウイルス性鼻気管炎」といい、その原因は「猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)」というウイルスの感染です。
このウイルスは感染力が非常に強く、感染している猫の鼻水、涙、唾液などに含まれています。
主な感染経路は以下の通りです。

  • 直接接触:感染猫を舐めたり、グルーミングし合ったり、ケンカをしたりすることで直接ウイルスがうつります。
  • 飛沫感染:感染猫のくしゃみや咳によって、ウイルスを含んだ飛沫が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。
  • 間接接触:ウイルスが付着した食器やトイレ、おもちゃ、タオルなどを共有することで感染します。

幸い、猫ヘルペスウイルスはアルコール消毒などで容易に不活化でき、環境中での生存期間は比較的短いとされています。
しかし、多頭飼育の環境ではあっという間に感染が広がる可能性があるため、注意が必要です。

猫ヘルペスでよくある質問は?

愛猫が猫ヘルペスと判断された、あるいはその疑いがあるとき、飼い主さんの頭にはさまざまな不安がよぎると思います。
ここでは、特に多くの方が抱える5つの疑問について、Q&A形式で一つひとつ丁寧にお答えしていきます。

①:猫ヘルペスは人間にうつる?

結論から言うと、猫ヘルペスウイルスが人間にうつることはありません。
猫のヘルペスウイルスと、人間が感染するヘルペスのウイルスは種類が全く異なるためです。
飼い猫を看病することで、ご自身やご家族に感染する心配はありませんので、安心して寄り添ってあげてください。

②:同居している他の猫にも感染する?

はい、残念ながら他の猫には非常に感染しやすいとされています。
前述の通り、猫ヘルペスウイルスは感染猫の分泌物を介して、直接的・間接的な接触で簡単にうつってしまいます。
もし多頭飼育の家庭で一匹でも感染が疑われる場合は、他の猫たちに感染を広げないための対策が不可欠です。

不安③:最悪の場合、死亡や失明に至る可能性は?

健康な成猫が猫ヘルペスウイルス感染症で直接命を落とすことは稀です。
しかし、体力がなく免疫力も未熟な子猫や、他の病気を持つ猫、高齢の猫では、重度の肺炎や脱水症状を引き起こし、命に関わるケースも残念ながら存在します。
また、目の角膜潰瘍が重症化し、角膜に穴が開いてしまう「角膜穿孔」に至った場合は、失明する可能性があります。
こうした最悪の事態を避けるためにも、早期発見と早期治療が何よりも重要です。

不安④:一度かかったら完治しない?「キャリア」になるって本当?

はい、その通りです。
猫ヘルペスウイルスの特徴として、一度感染すると症状が治まってもウイルスが体内から完全に消えることはありません。
ウイルスは顔の神経(三叉神経節)などに潜伏し、猫は生涯ウイルスを持ち続ける「キャリア」という状態になります。
キャリアになった猫は、普段は無症状でも、ストレスや他の病気などで免疫力が低下したときにウイルスが再活性化し、症状が再発することがあります。

猫ヘルペスの治療法

動物病院での治療は、ウイルスの増殖を抑え、つらい症状を和らげ、細菌による二次感染を防ぐことが中心となります。
ウイルスの完全な排除は難しいため、対症療法が基本です。
ここでは、動物病院で行われる主な治療と、ご家庭でできるサポートについて解説します。

動物病院で行う主な治療(抗ウイルス薬・点眼薬など)

猫ヘルペスの治療では、症状や重症度に合わせて以下のような薬が使われます。

  • 抗ウイルス薬:ウイルスの増殖そのものを抑える薬です。猫ヘルペスウイルスに対しては「ファムシクロビル」という飲み薬が効果的とされています。
  • 抗生物質(抗生剤):ウイルス自体には効きませんが、弱った粘膜で細菌が増殖する「二次感染」を防ぐために使われます。飲み薬や点眼・点鼻薬として処方されます。
  • インターフェロン:猫自身の免疫力を高めて、ウイルスと戦う力をサポートする注射薬です。症状の緩和や回復を早める効果が期待されます。
  • 点眼薬・点鼻薬:目の結膜炎や角膜炎、鼻炎の症状が強い場合に直接投薬します。抗ウイルス成分や抗生物質が含まれたものなど、症状に合わせて処方されます。

なお、炎症を抑える「ステロイド」は、免疫力を低下させてウイルスを増殖させてしまう危険性があるため、特に角膜に傷がある場合など、使用は非常に慎重に判断されます。

愛猫の回復をサポートする家庭でのケア方法

薬による治療と並行して、ご家庭でのケアも愛猫の回復を早めるために非常に重要です。
「何かしてあげたい」という飼い主さんの気持ちは、きっと愛猫にも伝わります。

  • 保温と保湿を心がける:猫が快適に過ごせる室温を保ち、加湿器を使うなどして湿度を適切に維持しましょう。蒸気は鼻詰まりの緩和に役立ちます。
  • 食事の工夫:鼻が詰まると匂いが分かりにくくなり、食欲が落ちがちです。フードを少し温めて香りを立たせたり、匂いの強いウェットフードを与えたりする工夫が有効です。
  • 清潔を保つ:濡らしたガーゼやコットンで、こまめに目やにや鼻水を優しく拭き取ってあげましょう。皮膚の炎症を防ぎ、猫の不快感を和らげます。
  • 安静な環境:体力を消耗しているため、静かで落ち着ける場所でゆっくり休ませてあげることが大切です。

再発させないために知っておきたい予防法

猫ヘルペスウイルスは、一度感染するとキャリアとなり、生涯付き合っていく病気です。
しかし、発症や再発の引き金となる「免疫力の低下」を防ぐことで、多くの猫は穏やかに過ごすことができます。
ここでは、愛猫を感染から守り、再発を防ぐための3つの重要なポイントをご紹介します。

基本にして最重要!混合ワクチンの定期的な接種

最も効果的な予防法は、混合ワクチンの接種です。
ワクチンは感染を100%防ぐものではありませんが、もし感染しても発症を抑えたり、症状を大幅に軽くしたりする効果が期待できます。
子猫は生後2ヶ月頃から複数回の接種を開始し、その後は年に1回の追加接種が推奨されています。
かかりつけの獣医師と相談し、愛猫に合ったワクチンプログラムを計画しましょう。

多頭飼育で特に重要!徹底したい衛生管理

感染猫がいる場合や、新たに猫を迎える際には、家庭内での感染拡大を防ぐための衛生管理が不可欠です。

  • 感染猫の隔離:症状が出ている猫は、他の猫と部屋を分け、食器やトイレ、寝床なども専用のものを用意しましょう。
  • こまめな消毒:猫が使った食器やトイレは、熱湯や塩素系の消毒剤で定期的に消毒しましょう。飼い主の手指も、猫に触れる前後にアルコール消毒を徹底します。
  • 新しい猫の隔離期間:新しい猫を迎えた際は、すぐに先住猫と対面させず、1〜2週間は別の部屋で過ごさせましょう。その間に体調に変化がないか、しっかり観察することが大切です。

免疫力を維持するストレス軽減と栄養管理

ストレスは、免疫力を低下させる最大の要因の一つです。
ウイルスが再活性化する隙を与えないために、猫が安心してリラックスできる環境を整えてあげましょう。
隠れられる場所や高い場所(キャットタワーなど)を用意したり、騒音を避けて静かな環境を維持したりすることが有効です。
また、日々の食事も免疫力を支える土台となります。
栄養バランスの取れた総合栄養食を基本とし、免疫維持をサポートする「L-リジン」などのサプリメントを獣医師と相談の上で活用するのも良いでしょう。

猫のヘルペスでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

この記事は、猫ヘルペスの原因や症状、対処法などについて詳しくご紹介しました。

猫ヘルペスウイルス感染症は、一度かかると完治が難しく、長く付き合っていく必要のある病気です。
しかし、それは決して絶望的なことではありません。
多くの猫は、飼い主さんの適切なケアと愛情のもと、症状をコントロールしながら幸せな一生を送っています。

もし現在、猫のヘルペスでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。大切な猫ちゃんの健康を一緒に守っていきましょう。