犬の心不全で見られる症状は?原因・改善方法も解説!
犬が心不全になると、食欲がなくなったり呼吸が早くなったりなどのさまざまな症状が現れることがあります。どの犬にも発症する可能性があるため、毎日しっかりと様子を観察して、異変に気付いたらすぐに対処してあげることが大切です。この記事では、犬の心不全の症状や原因、改善方法などについて詳しくご紹介します。
目次
犬の心不全で見られる症状は?
犬の心不全は、心臓がうまく働かなくなることで全身に十分な血液を送れなくなる病気です。そのため、さまざまな症状が現れます。初期のうちは気づきにくいこともありますが、進行すると生活に大きな影響を及ぼすことも。ここでは、犬の心不全でよく見られる症状についてご紹介します。
食欲がなくなる
心不全の犬は、元気がなくなり、いつも楽しみにしていたごはんに興味を示さなくなることがあります。これは、血液の循環が悪くなることで消化器官の働きが低下し、食欲が落ちるためです。食べてもすぐに疲れてしまう、一口二口しか食べない日が続くなどのいつもと違う様子が見られるなら注意が必要です。食欲の低下が続くと体力が落ち、症状が悪化しやすくなるため、早めに獣医師に相談しましょう。
呼吸が早くなる
心不全になると、心臓のポンプ機能が弱まり、全身に酸素を十分に届けられなくなります。そのため、犬は呼吸を速めて体に酸素を取り込もうとします。安静にしているのに息が荒い、寝ているときでも呼吸の回数が多いと感じたら要注意。さらに、軽い運動でも息切れをしたり、苦しそうにハアハアと浅く速い呼吸をしている場合は、肺に水が溜まる「肺水腫」を起こしている可能性もあります。放っておくと命に関わることもあるので、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
疲れやすくなる
「最近、散歩に行きたがらない」「少し歩いただけですぐに座り込む」などの変化が見られたら、心不全のサインかもしれません。心臓の機能が低下すると、筋肉や臓器に必要な酸素が十分に行き届かなくなります。そのため、ちょっとした運動でもすぐに疲れてしまい、横になって休む時間が増えます。以前は元気に走り回っていたのに、急に動きが鈍くなったと感じたら、心不全が進行している可能性があるため注意が必要です。
足がむくむ
心臓の働きが弱まると、血液を全身に送り出す力が低下し、体の一部に血液や水分が溜まりやすくなります。その影響で、特に後ろ足がむくむことがあります。足が腫れて太くなったように見えたり、触るとぷよぷよしている場合は、むくみのサインかもしれません。むくみが進行すると歩くのがつらくなったり、痛みを感じたりすることもあります。普段から足の太さをチェックし、違和感があれば早めに病院に行きましょう。
お腹が膨らむ
犬の心不全が進行すると、お腹が膨らむことがあります。これは、心臓の働きが弱まり、体に余分な水分が溜まる「腹水」が原因です。最初のうちは少しお腹が張る程度ですが、進行するとまるで太ったように見えるほど膨らむこともあります。ただし、太ったのとは違い、体全体ではなくお腹だけが大きくなるのが特徴です。触ってみて固い感じがあったり、短期間で急にお腹が大きくなった場合は、注意しましょう。
失神する
心不全が進行すると、一時的に意識を失う「失神」が起こることがあります。これは、心臓が十分な血液を脳に送れず、一時的に酸素不足に陥るためです。突然フラッと倒れたり、動いている最中に意識を失うことがあれば、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。失神は数秒から数十秒で回復することが多いですが、何度も繰り返す場合は心臓の状態がかなり悪化している可能性が高いため、早急な対応が必要です。
犬の心不全の原因は?
犬の心不全の原因はさまざまです。ここでは、原因を2つご紹介します。
心臓のポンプ機能の低下
心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を持ちます。血液は心臓の右側(右心)から肺へ送られ、そこで酸素を取り込み、二酸化炭素を排出します。その後、酸素を含んだ血液は心臓の左側(左心)に戻り、そこから全身へと送り出されます。この循環がスムーズに行われることで、体の各部位に必要な酸素や栄養が行き渡るのです。
しかし、心不全になると、このポンプ機能が弱くなり、全身に十分な血液を送れなくなります。心臓がうまく働かないことで、酸素が不足し、犬は疲れやすくなったり、呼吸が荒くなったりします。ポンプ機能の低下の原因には、加齢による心臓の衰え、生まれつきの心臓の異常、長年の負担による心筋の弱りなどがあります。
病気の影響
犬の心不全は、心臓そのものの病気が原因となることもあれば、他の病気が間接的に心臓へ負担をかけることによって引き起こされる場合もあります。
代表的な心臓の病気としては、「僧帽弁閉鎖不全症」や「拡張型心筋症」があります。僧帽弁閉鎖不全症は、特に小型犬に多い病気で、心臓の弁がしっかり閉じず、血液が逆流することで心臓に負担がかかります。一方、拡張型心筋症は、大型犬に多く見られ、心臓の筋肉が薄く伸びてしまい、うまく血液を送り出せなくなる病気です。
また、心臓以外の病気が原因で心不全を引き起こすこともあります。たとえば、高血圧や腎臓病、甲状腺の異常などがあると、心臓に負担がかかり、結果的に心不全につながることも。特に高齢の犬は、こうした病気を併発することが多いため、定期的な健康診断で早めに異変を見つけることが大切です。
犬の心不全は完治する?
犬の心不全は、一度発症すると完全に治すことは難しい病気です。しかし、早期に治療を行うことで、症状の進行を遅らせたり、生活の質を維持したりすることは可能です。
治療の中心となるのは薬による管理です。心臓の負担を軽減する薬や、血液の循環を良くする薬を使うことで、呼吸のしづらさや疲れやすさといった症状を和らげることができます。また、生活習慣の見直しや食事管理も大切で、塩分の少ないフードを選んだり、定期的な運動を心がけることで、心臓への負担を減らすことができます。
犬の心不全の改善方法は?
犬の心不全は完治が難しい病気ですが、適切な治療を行うことで症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させることができるとご紹介しました。治療には、外科手術による根本的な改善を目指す方法と、薬を使って症状を管理する方法があります。
外科的治療
先天性の心疾患による心不全の場合、外科手術によって改善が見込めることがあります。例えば、「動脈管開存症」や「肺動脈狭窄症」といった病気は、手術によって血流の異常を修正することで、心臓への負担を軽減できる可能性があります。
また、犬の心不全の原因として多い「僧帽弁閉鎖不全症」に対しては、「僧帽弁形成術」という手術が行われることもあります。この手術では、閉じにくくなった僧帽弁を修復し、血液の逆流を防ぐことで心臓の負担を減らします。しかし、この手術は高度な技術を必要とするため、対応できる動物病院は限られています。また、費用も高額で、数百万円に及ぶこともあります。
内科的治療
犬の心不全では、多くの場合、内服薬による管理が選択されます。特に「僧帽弁閉鎖不全症」に対しては、薬を使って心臓の負担を軽減し、進行を抑えることが一般的です。
治療に用いられる薬には、心臓の働きを助ける「強心剤」や、血管を広げて血流を改善する「血管拡張薬」、余分な水分を排出し肺水腫のリスクを下げる「利尿剤」などがあります。これらの薬を適切に使うことで、犬が快適に過ごせる時間を延ばし、生活の質を維持することができます。
ただし、心不全の進行に応じて薬の種類や量を調整する必要があるため、治療を始めた後も定期的な診察や検査が欠かせません。また、薬による治療は一生続くことが多いため、飼い主さんは愛犬の体調の変化をよく観察して、異変を感じたらすぐに獣医師に相談することが大切です。
犬の心不全を予防する方法は?
犬の心不全を完全に防ぐ方法はありません。
しかし、ケアや対策を行うことで発症のリスクを減らし、進行を遅らせることは可能です。
心不全になりやすい犬の特徴は?
心不全はどの犬でも発症する可能性がありますが、特に発症しやすい犬種や特徴があります。
小型犬のチワワ、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどは、心臓の弁が弱くなる僧帽弁閉鎖不全症を発症しやすく、それが進行すると心不全につながることがあります。特にキャバリアは、この病気を若いうちから発症しやすいとされており、遺伝的な要因が関係していると考えられています。
犬の心不全でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬の心不全の症状や原因、改善方法などについてご紹介しました。心不全は多くの症状が現れるため、異変を感じたらすぐに動物病院を受診するようにしてください。もし現在、犬の心不全でお悩みの方は、大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。