犬の子宮蓄膿症にかかりやすい特徴は?原因・症状・改善方法などを解説!
愛犬と長年一緒にいると気になってくる老後の病気やお世話。
気を付けて見るようにしているけれど、いつもと違うのは年のせいなのか、病気なのかわからない。
「とりあえず家で様子を見てみよう」
そう考える飼い主も多いのではないでしょうか?
今回は子宮蓄膿症について解説していきます。
症状や改善方法の知識があれば適切な判断で動物病院に行き、主治医に具体的な説明ができるほか、病気になりえる原因が分かれば予防知識にもつながります。
まずは子宮蓄膿症とはどのような病気なのか詳しく見ていきましょう。
目次
犬の子宮蓄膿症とは?
子宮蓄膿症とは文字通り、子宮の中に膿がたまってしまう病気です。
ホルモンの変化によって起こる病気であり、避妊手術をしていないメス犬が発症しやすいとされており、開放型子宮蓄膿症と閉鎖型子宮蓄膿症の2つの種類があります。
それぞれの違いは以下の通りです。
開放型子宮蓄膿症
子宮の中にたまった膿が外陰部から出てくる状態のことを言います。
開放型の場合は犬が外陰部をしきりに舐めていたり、外陰部から膿が直接出てくるため飼い主の方が気づきやすいと言われています。
閉鎖型子宮蓄膿症
子宮頸管が収縮することにより、子宮内にある膿が排出されずに膿がたまっていく症状です。
開放型と違って膿が出てこないため、飼い主の方も気づきにくく、子宮が破裂するなど危険な状態になりやすい病気です。
犬の子宮蓄膿症の原因は?
子宮蓄膿症の原因は、ホルモンの変化と、免疫力が低下することによって起こる細菌感染が原因です。
本来子宮は感染を防ぐ力が備わっています。しかし、発情期から発情休止期にかけての女性ホルモンの変化などが影響し、免疫力が弱くなり、大腸菌やブドウ球菌などの感染症になりやすくなります。
犬の子宮蓄膿症の症状は?
子宮蓄膿症は初期の段階では症状を見つけるのが難しいと言われています。
では実際に子宮蓄膿症になるとどのような症状が現れるのでしょうか?
開放型にのみ見受けられる症状もあるので、予備知識として覚えておきましょう。
元気・食欲がなくなる
家の中でじっとしていて動かなかったり、反応がにぶかったりします。
食事の際も食欲がなくなったり、食べることも拒否することもあります。
おしっこの量が増える
開放型と閉鎖型の両方に共通する症状として、多飲 多尿があります。
発熱や嘔吐をする
発熱をしたり、食べたものを嘔吐することがあります。また、嘔吐は食欲がなくなり食べ物を食べられず、胃に物がなくても嘔吐する場合もあります。
開放型の場合は膿が出る
開放型の場合は、膿が子宮から膣を通り、外陰部から排出されます。
しっぽや、寝具、トイレ用のペットシーツなど、わんちゃんのよくいる場所に付着している場合が多いです。
開放型子宮蓄膿症に見られる膿は黄緑色や乳白色、血が混じったような赤褐色の粘度が高いどろっとしている液体です。
目に見える症状のため飼い主の方も気づきやすいのが特徴です。
また、膿は独特な匂いがします。犬は外陰部から出た膿を舐めようとするため、独特な臭いによって気づく飼い主の方もいます。
15歳の犬が子宮蓄膿症にかかりやすい?
検索キーワードで「犬 子宮蓄膿症 15歳」というワードが出てくるため、「15歳のワンちゃんが子宮蓄膿症にかかりやすいの?」と思われる方が多いかもしれません。しかし、15歳の高齢の犬が特別に子宮蓄膿症にかかりやすいわけではありません。
また、子宮蓄膿症にかかりやすい犬種もありません。8歳以上に発症しやすいという論文もありますが、特別かかりやすい年齢があるわけではなく、以下の特徴に当てはまる犬が子宮蓄膿症になりやすいとされています。
・避妊手術をしていない
・出産の経験がない
・最後の出産からしばらく間があいている
・発情期に入ってから2か月以内である
犬の子宮蓄膿症の改善方法は?
動物病院では、いつ頃から、どのような症状が出ているのか。妊娠の有無や発情期に関する問診が行われます。その後にレントゲン検査や血液検査、超音波検査などの詳しい検査が行われます。
その後内科的治療と外科的治療、それぞれの症状に適した治療を選択し、行っていきます。
では実際にどういう治療方法なのか詳しく見ていきましょう。
内科的治療
内科的治療が行われるケースは以下のとおりです。
・軽度の子宮蓄膿症である
・飼い主の方が外科的治療を希望しない
・腎不全、または心不全などの理由により全身麻酔がかけられない
などがあげられます。
内科的治療は、子宮や卵巣を摘出する手術を行いません。そのため治療後でも妊娠が可能ですが、再発する可能性がとても高いため注意が必要です。
基本的に手術をせずに薬だけで完治 することはないとされています。
薬の治療目的が病気を治すことではなく、症状を抑えるために投与するからです。
また、閉鎖性子宮蓄膿症の場合は子宮が破裂し、命を脅かす危険も伴っていることを頭に入れておきましょう。
治療に使われる薬は以下のとおりです。
・膿の排出を促す薬
・細菌の感染を抑制する抗生剤
・黄体ホルモンを抑える薬
これらを治療に使いますが、薬には副作用があることも覚えておきましょう。
外科的治療
外科的治療では、黄体ホルモンを分泌する卵巣と、膿がたまっている子宮を摘出する手術を行います。手術が成功すれば完治し、再発する恐れもありません。
ですが、手術には全身麻酔をする必要があるため、持病がある場合には適していません。また、命に係わる病気を抱えている場合も術後の回復が難しいです。
手術後の合併症や感染症の恐れもあります。
手術ってどんなことをするの?
ペットの中でも犬は飼い主の不安を察知する能力が高く、犬も不安になってしまいます。
手術と聞いて身構えてしまう気持ちもありますが、ここでは手術の不安を少しでも和らげる疑問を紹介していきます。
手術の方法と手術にかかる時間
子宮や卵巣を摘出する手術にかかる時間は一時間前後です。ほかの病気を併発している場合は、その病気によってさらに時間がかかることが多いと言われています。
子宮を取り除くので避妊手術と同じ手順で手術は進みますが、膿がたまり、子宮が破裂してしまっていたり、子宮がパンパンに膨らんだ状態では、手術後に腹膜炎を起こす可能性もあるため、より慎重に手術が行われます。
手術にかかるお金
手術にかかるお金は、症状や病院、手術の内容によってことなります。
そのため、詳細はお問い合わせください。
犬の子宮蓄膿症でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
食欲がない、じっとしていて動かない、しきりに外陰部を気にしていて舐める、シーツなどに膿がついているなどの場合、子宮蓄膿症の疑いがあります。
開放型子宮蓄膿症の場合は膿が体外にでるため発見しやすいですが、閉鎖性子宮蓄膿症は見た目ではわかりません。いつもより食欲がない、動かないなど様子が普段と違うと感じたらすぐにかかりつけの獣医師に相談しましょう。
閉鎖性子宮蓄膿症が進み重症化した場合は子宮が破裂し、更に合併症を起こす恐れもあります。
治療方法に関しては持病などを含めて不安はすべて話して愛犬にとってより良い選択ができるようにしてくださいね。