犬のまぶたのできものを放置するとどうなる?マイボーム腺腫を放置してもいいのかも解説!
ワンちゃんの目のまわりには、いくつかのできものができることがあります。一般的にはすぐに対処すれば早期の改善が可能です。この記事では、犬の目のまわりにできるできものの種類や原因、症状などについて詳しくご紹介します。
目次
犬の目のまわりにできるできものには何がある?
犬の目のまわりにはさまざまなできものができることがあります。ここでは、代表的なできものとしてマイボーム腺腫、麦粒腫、霰粒腫の原因や症状、治療方法についてご紹介します。
マイボーム腺腫
犬のまぶたには「マイボーム腺」と呼ばれる小さな分泌腺があり、涙の蒸発を防ぐために油を出しています。このマイボーム腺が腫瘍化してイボのようなできものができることを「マイボーム腺腫」といいます。
高齢の犬にできやすく、最初は小さなふくらみでも、時間が経つにつれて少しずつ大きくなることがあります。まぶたの内側にできると、目をこすったり、角膜を傷つけたりすることもあるため、様子を見てあげることが大切です。
原因:加齢
マイボーム腺腫は、どんな犬にも発症する可能性がありますが、加齢による影響が大きいと考えられています。年を重ねることでマイボーム腺の働きが変化し、腫瘍ができやすくなるのです。また、遺伝的な要素やホルモンバランスの変化も関係していると考えられています。さらに、アレルギーやまぶたの炎症、細菌感染などが影響し、腫瘍の発生を促してしまうことも。こうした要因が重なることで、マイボーム腺腫ができやすくなると考えられています。
症状:しこりができる
マイボーム腺腫の最もよく見られる症状は、まぶたの端にできる小さなしこりです。初めは目立たないこともありますが、徐々に大きくなることがあります。しこり自体は基本的に痛みを伴いませんが、炎症を起こすと赤く腫れたり、目をこすったりすることで違和感を感じることもあります。まぶたの内側にできると、目の表面を刺激し、充血や涙の増加、まばたきの回数が増えるなどの症状が出ることも。
治療方法:
マイボーム腺腫は良性の腫瘍ですが、まぶたにできるため、目に負担をかけることがあります。小さなうちは特に問題がないこともありますが、複数できたり、大きくなったりすると、目を傷つけたり炎症を起こしたりすることも。治療法は、レーザーで焼く方法や凍結させる方法、外科的に切除する方法があります。
麦粒腫
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、主にまつ毛の根元にある毛包や皮脂腺が細菌感染を起こし、赤く腫れるのが特徴です。
小さな膿が溜まって膨らんでしまうこともありますが、治療を行うことで回復が期待できます。
原因:急性の細菌感染
麦粒腫の原因は、急性の細菌感染によるものが一般的です。犬のまぶたやその周辺には常在菌が存在しますが、免疫力が低下しているときや外部からの刺激があったときに、これらの細菌が毛包や皮脂腺に侵入して炎症を引き起こします。
犬が顔を地面や物にこすりつける行動が原因になることも。日頃から顔まわりを清潔に保って、細菌が増えないようケアすることが大切です。
症状:赤み・腫れ・目の痛み
麦粒腫の症状は、目のまわりが赤く腫れ、痛みを感じることが多いと言われています。
炎症部分は触ると熱を持っていることもあり、犬が目をこする、涙が多くなるなどの行動が見られるかもしれません。腫れが大きくなると、まぶたが重たく見えたり、まばたきがしづらくなったりすることもあります。このような症状を見かけたら、早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
治療方法①抗菌剤の点眼薬
抗菌剤の点眼薬は、麦粒腫の原因となっている細菌を直接抑える効果が期待できます。点眼薬を使用することで、炎症の進行を防ぎ、早い段階で腫れや痛みを軽減することが期待できます。点眼薬の投与回数や期間は症状の進行度によって異なるため、獣医師の指示に従って行うようにしてくださいね。無理に点眼しようとすると犬が抵抗する場合もあるので、リラックスさせた状態で優しく行うのがコツです。
治療方法②眼軟膏
眼軟膏も、麦粒腫の治療に使用されることがある薬剤です。軟膏は、目元に直接塗布することで、細菌の増殖を抑え、腫れや痛みを緩和する効果が期待できます。軟膏タイプの薬は目元にとどまりやすく、持続的な抗菌効果が期待できるのが特徴です。塗布する時は、手をきれいに洗い、犬がリラックスできる体勢でゆっくりと塗るようにしましょう。
治療方法③内服薬
症状が進行した場合や、点眼薬や軟膏だけでは十分な効果が見られない場合には、内服薬が処方されることもあります。内服薬は体内から細菌を抑え、炎症を改善する効果があり、体全体の免疫力をサポートする役割を持っています。
霰粒腫
霰粒腫は、目のまわりにあるマイボーム腺が詰まってしまうことで、分泌物が溜まり、固まってできることが多いとされています。
痛みが少ないことが多く、最初は見た目だけが気になることが多いですが、放置すると腫れが大きくなることもあります。
原因:慢性的なマイボーム腺の閉塞
原因は、慢性的なマイボーム腺の閉塞が考えられます。マイボーム腺は目のまわりにある小さな腺で、油分を分泌して目の乾燥を防ぐ大事な役割を持っています。しかし、この腺が詰まってしまうと、分泌物がうまく流れず、脂肪がたまって腫瘤ができることがあります。何度も詰まりが繰り返されると、腫れが大きくなったり、膿んで炎症を起こしたりすることもあるので、注意が必要です。
症状:白ニキビのようなものができる
犬のまぶたに現れる霰粒腫の症状には、白ニキビのような膨らみがよく見られます。最初は目立たないことが多いですが、腫れが進行するにつれて、だんだんと大きくなっていきます。この膨らみは、腫瘍の中に詰まった分泌物が固まったものです。犬がこの部分を気にして触ったり、目をこすったりすることもありますが、痛みを感じることは少ないとされています。ただし、腫れが大きくなると、目を開けにくくなったり、目のまわりが赤く腫れたりすることがあります。
治療方法①手術で切除
痛みや不快感を引き起こすようであれば、手術でできもの取り除くことが一般的な治療法となります。手術は、麻酔を使って取り除く方法で、簡単に行える処置です。手術後にできものが再発することは少なく、ほとんどの場合は元気に回復します。ただし、手術後は犬が傷口を舐めないように注意する必要があり、少しの間はいつも以上に経過観察が必要です。
治療方法②抗菌薬の点眼
霰粒腫の治療には、抗菌薬の点眼を使う治療方法もあります。この方法では、目のまわりの炎症を抑えるために、抗菌薬を使って感染を防ぎます。点眼薬は比較的簡単に使えるため、症状が軽い段階では有効です。点眼薬を使うことで腫れが引いたり、目の状態が改善されたりすることがありますが、効果がない場合や症状が悪化する場合には、さらに治療を検討する必要があります。
犬のマイボーム腺腫を放置するとどうなる?
犬のマイボーム腺腫は、見た目には大きな問題がないように見えることもありますが、放置しておくことは決して良いことではありません。腫瘍が大きくなることで、目のまわりに不快感や痛みを引き起こすことがあり、さらにはほかの病気を引き起こす可能性もあります。ここでは、放置するとどうなるかについて解説します。
稀に悪性の場合があるため放置は危険
犬のマイボーム腺腫は、基本的には良性の腫瘍ですが、稀に悪性の腫瘍が含まれていることがあります。悪性の腫瘍は、目のまわりの皮膚や他の部分に転移することがあり、放置することで進行しやすくなります。初期段階では腫瘍が小さく、痛みを感じないこともありますが、放っておくと腫れが大きくなったり、炎症を引き起こしたりすることも。すぐに対処すれば悪性腫瘍を発見し、進行を防ぐことができるため、異常を感じたら早めに獣医師に相談するようにしましょう。
症状が悪化して手術が必要になる
マイボーム腺腫を放置していると、症状が悪化し、最終的には手術が必要になることがあります。最初は小さな膨らみや違和感程度で、犬も気にしないことが多いですが、腫瘍が大きくなったり、炎症を起こしたりすると、目を開けにくくなったり、痛みを感じることがあります。さらに、腫瘍が感染して膿を持ったり、目に悪影響を与えることも。その場合、手術で腫瘍を取り除く必要が出てきます。治療を始めれば、手術を避けられることもあるため、少しでも異変を感じたら、獣医師に相談するようにしてくださいね。
自宅でできる蒸しタオルを使ったケア方法
マイボーム腺の機能を改善するために、自宅でできる簡単なケア方法の一つが蒸しタオルを使った温熱ケアです。蒸しタオルを使って目元を温めることで、まぶたの血行が良くなり、マイボーム腺の働きが改善されると言われています。具体的には、1日2回、各5分を目安に上下まぶたを優しく温めてあげるのが効果的です。温かいタオルの熱で、目元の血流が促進され、油分の分泌がスムーズになるので、目の乾燥や不快感を軽減することが期待できます。
犬の目のまわりのできものでお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬の目のまわりにできるできものの原因や対処法などについて詳しくご紹介しました。早めに対処すれば、手術なしで改善を目指せるため、普段からじっくりと観察してあげて異変に気付けるようにしましょう。もし現在、ワンちゃんの目元に異変を感じる場合は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。