犬の精巣腫瘍は高齢になるほど発症しやすい?症状・治療方法を解説!
犬の毛が薄くなっていたり貧血、食欲不振が見られたりする場合、精巣腫瘍の可能性が考えられます。精巣腫瘍は、高齢の犬に発症しやすいと言われており、場合によっては腫瘍が他の部位に転移することもあります。大切なわんちゃんを守るためには、異変に気付いたらすぐに対処しましょう。この記事では、犬の精巣腫瘍の種類や症状、治療方法などを詳しく解説します。
目次
犬の精巣腫瘍とは?
犬の精巣腫瘍は、精巣にできる腫瘍のことで、去勢していない高齢のオス犬によく見られます。腫瘍には良性と悪性があり、悪性の場合には他の部位に転移することも。初期には目立った症状がないことも多いですが、腫瘍が大きくなるにつれて精巣が肥大したり、硬くなることがあります。
また、ホルモンバランスが崩れるため、毛が抜けたり、皮膚に変色が見られたりすることもあります。症状を発見したら、早めに獣医師に相談しましょう。特に高齢の犬は、精巣腫瘍のリスクが高まるため、定期的に健康診断が必要です。
犬の精巣腫瘍の種類は?
犬の精巣腫瘍には、セルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫)の種類があります。ここでは、犬の精巣腫瘍の主な種類について詳しくご紹介します。
セルトリ細胞腫
セルトリ細胞腫は、犬の精巣にできる腫瘍の一種で、高齢のオス犬に多く見られます。ホルモンバランスを崩すことから、「女性化症候群」と呼ばれる症状を引き起こすことが特徴です。女性化症候群による症状は以下のとおりです。
- 乳腺が腫れる
- 毛が薄くなる
- 皮膚に色素沈着が見られる
詳しい症状は後ほどご紹介しますが、このような変化が見られた場合は早めに獣医師に相談しましょう。セルトリ細胞腫は、手術によって治療されることが一般的で、早期発見によって回復することが期待できます。
精上皮腫
精上皮腫(セミノーマ)は、精巣にできる腫瘍で、比較的良性のものが多いとされています。転移することは少ないですが、精巣が硬くなったり、肥大したりすることも。このような変化は外見からは気づきにくいことが多いため、健康チェックを定期的に行いましょう。精上皮腫も去勢手術で治療されることが一般的で、対応が早いほど予後は良好です。愛犬の健康を守るために、早めの対応を心がけましょう。
間質細胞腫
間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫)は、精巣にあるライディッヒ細胞から発生する腫瘍です。この腫瘍もほとんど良性で、転移のリスクは低いですが、精巣が肥大してしまうことがあります。愛犬の精巣が普段より大きくなっていることに気づいたら、すぐに獣医師に相談しましょう。間質細胞腫も、去勢手術で腫瘍を取り除くことが可能です。
犬の精巣腫瘍は高齢になるほど発症しやすい?
犬の精巣腫瘍は、高齢になるほど発症しやすい傾向があります。年齢を重ねると、体のホルモンバランスが崩れやすくなり、腫瘍ができるリスクが高まるからです。高齢の犬の中でも、去勢していないオス犬は精巣腫瘍のリスクが高いとされています。高齢の犬は免疫力も低下しやすいため、腫瘍が見つかった時にはすでに腫瘍が進行していることも。精巣腫瘍に関わらず、高齢の犬はさまざまな健康リスクが考えられるため、定期的に健康診断を受けて観察するようにしましょう。
犬の精巣腫瘍の症状は?
犬の精巣腫瘍が進行すると、脱毛や皮膚の変色、食欲の低下など、さまざまな症状が見られることがあります。他の病気と似ている場合もあるため、少しでも異常に気づいたら早めに獣医師に相談することが重要です。ここでは、精巣腫瘍が原因で現れる主な症状について解説します。
脱毛
犬の精巣腫瘍が原因でホルモンバランスが崩れると、毛が抜けやすくなることがあります。脱毛がよく見られるのは背中やお腹の毛で、地肌が見えるようになることも。また、毛が元気を失ってパサパサすることもあります。脱毛は体の異変を知らせるサインなので、いつもと違うと感じたり毛が薄くなっていると感じたりする場合は、精巣腫瘍の可能性があるので早めに対処するようにしましょう。
貧血
精巣腫瘍が進行すると、貧血を起こすことがあります。元気がなくなったり、動きがゆっくりになることで気付けるでしょう。疲れやすくもなるため、普段は元気な犬が、途中で休みたがるような素振りを見せたら注意が必要です。普段と違う変化が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。貧血の症状は見逃してしまうこともあるため、注意深く観察してあげてください。
皮膚が色素沈着を起こす
精巣腫瘍がホルモンに影響を与えるため、皮膚に色素沈着が起こることがあります。お腹や内もも、耳のあたりなどが黒ずんだり、斑点ができたりすることが特徴です。皮膚の色が変わるとびっくりしてしまうかもしれませんが、これも腫瘍が原因で起こる変化の一つです。皮膚の色が変わるような異常が見られた場合も精巣腫瘍の可能性が考えられます。
食欲がなくなる
精巣腫瘍が進行すると、食欲不振になることも。普段はしっかり食べる犬でも、急に食べる量が減ったり、食べたがらなくなったりすることがあります。食欲が落ちると、自然と体重も減少し、元気がなくなってしまいます。食欲が落ちるのは体調不良のサインなので、ご飯を食べない日が続く場合は獣医師に相談しましょう。
犬の精巣腫瘍の治療方法は?
犬の精巣腫瘍の治療方法では、一般的に外科的摘出が行われます。もし、腫瘍が転移している場合には、別の治療方法で完全に改善することを目指します。ここでは、犬の精巣腫瘍の治療法について詳しく解説します。
腫瘍の外科的摘出
精巣腫瘍の治療の中で、最も一般的なのが外科的摘出です。外科的摘出とは、メスを使って腫瘍のある部分や組織を切って取り除く手術のことで、腫瘍のある精巣を取り除き、改善を目指します。この手術では、術後の回復が早いことが特徴です。早い段階で行うほど高い効果が期待できるため、小さな異変を感じたらすぐに相談して、ベストなタイミングで治療を行いましょう。
放射線治療・化学療法
外科的摘出によって腫瘍を取り除いた後、もし腫瘍が他の部分に転移していた場合には、放射線治療や化学療法を行うことがあります。放射線治療は腫瘍の大きさを抑えたり、腫瘍細胞の進行を止めたりすることに使われます。化学療法は、薬を使って、転移した腫瘍を破壊していく治療法です。
犬の精巣腫瘍を放置するとどうなる?
犬の精巣腫瘍を放置すると、体内で腫瘍が広がってリンパ節転移や遠隔転移を引き起こす可能性があります。肺や肝臓などの精巣以外の部位に広がってしまい、治療が複雑になることも。また、腫瘍が進行すると骨髄の造血機能が抑制され、貧血や免疫力の低下が起こることもあります。
セルトリ細胞腫の場合は性ホルモンであるエストロジェンを作り出すため、高エストロジェン血症の症状が見られることがあります。高エストロジェン血症によって転移してしまうと、命に関わる重大な事態に発展することも。そのため、精巣腫瘍は絶対に放置せずに対処すべき症状です。
犬の精巣腫瘍が気になる方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!
この記事では、犬の精巣腫瘍について詳しく解説しました。高齢の犬はさまざまな健康リスクに晒されており、精巣腫瘍のリスクも同様に高いとされています。いつ発症するかわからないため、高齢の犬や去勢していない犬を飼っている飼い主の方は特に注意が必要です。もし現在、犬に精巣腫瘍のような症状が見られる場合は、大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。早めの対処が、犬の健康維持につながります。