猫の眼振は生まれつき?原因や考えられる病気を解説! - 大阪梅田ペットクリニック

コラム

猫の眼振は生まれつき?原因や考えられる病気を解説!

「うちの猫、目がちょっと変に動いてるみたい…。もしかして病気?」そんな不安を感じている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

生まれつきの眼振なら、遺伝や先天性の病気が関係しているかもしれません。早めに原因を見つけて、適切なケアをすることが大切です。

この記事では、猫の眼振の原因や考えられる病気について詳しく説明します。また、飼い主さんが知っておくべき対策やケア方法もご紹介します。

猫の眼振とは?

猫の眼振とは、猫の目が勝手に左右や上下、回るように動いてしまう状態のことを言います。

普通、動物の目は見たいものにピントを合わせて、視線を安定させる仕組みがあります。でも、眼振がある猫は、視線が定まらずに目が揺れ動いてしまうので、見ているものをうまく認識できないことがあるのです。

このような症状があると、猫にとっては見づらかったり混乱したりする原因になります。特に生まれつき眼振がある猫は、視覚の発達に問題が出る可能性があり、日常生活で困ることもあるかもしれません。眼振の程度は猫によって違いますが、軽い場合は日常生活に支障がないこともあります。しかし、症状がひどい場合はすぐに動物病院に行った方がいいでしょう。

猫の眼振の種類は?

猫の眼振には、いくつかの種類があります。目がどの方向に動くかによって以下のようなタイプに分けられます。

水平眼振

猫の目が左右に揺れ動くタイプの眼振です。一番よく見られる眼振で、ものを見るのが難しくなるため、猫が物体を追うのに苦労することがあります。このような症状が出た場合は、早めに獣医師に相談することが推奨されます。

垂直眼振

猫の目が上下に動く状態のことです。水平眼振ほど多くはありませんが、やはり目から入ってくる情報をうまく処理できないことがあります。長く続くようなら、脳に関連する問題があるかもしれないので注意が必要です。

回転眼振

目が回るように動く状態のことです。このタイプはあまり多くはありません。猫が頭を傾けたり、バランスを崩したりすることもあり、他の神経の問題がある可能性もあります。このような症状が出たら、すぐに獣医師に相談した方がいいでしょう。

猫の眼振の原因は?

猫の眼振の原因はいろいろあり、先天的なものもあれば、後天的に発症するものもあります。

生まれつきの眼振は、遺伝や先天性の病気が原因になることが多いとされています。例えば、親猫から受け継いだ遺伝的な問題で眼振が起こることがあります。

一方、後から出てくる眼振は、神経の異常や耳の中の問題で起こることも。猫が耳の感染症にかかると、内耳に影響が出て、バランス感覚が崩れて眼振が現れることがあります。他にも、頭をぶつけたり、薬の副作用で眼振が出たりすることもあります。

さらに、脳や神経の病気や腫瘍が原因になることもあるため、原因がはっきりしない場合は詳しい検査が必要です。特に、急に眼振が出たり、他の症状も一緒に出ている場合は、すぐに獣医師に診てもらうことが大切です。

眼振を発症しやすい品種は?

猫の眼振は、眼球が自分の意思とは無関係に揺れる症状で、一部の猫種において発症しやすいことが知られています。特に、シャム猫のような品種では、遺伝的な要因が原因で眼振が見られることがあります。ここでは、眼振を発症しやすい猫種について、その原因や特性を詳しく解説します。

シャム猫が眼振を発症しやすいのはなぜ?

シャム猫が眼振を発症しやすい理由は、遺伝的な影響が強いと考えられています。シャム猫は、特有のサイアミーズ遺伝子を持っており、これがメラニン色素の生成を抑制する役割を果たしているのです。この遺伝子の影響により、シャム猫の視覚経路に異常が生じることがあり、その結果として眼振が発生しやすくなります。

視覚経路の異常の一つとして、シャム猫では視交叉(視神経が交差する部分)の異常がよく見られます。外側の網膜からの視覚情報は、視交叉を通らずに同じ側の脳に送られるのが一般的

ですが、シャム猫ではこの情報の一部が視交叉を通って反対側の脳に伝達されることがあります。この異常な情報伝達が、脳に混乱を引き起こし、結果的に眼振として現れるのです。

さらに、シャム猫には内斜視(寄り目)の傾向も見られます。これは、視覚情報の混乱を最小限に抑えるための適応反応と考えられていますが、眼振と密接に関連しています。内斜視があることで、脳は異常な視覚情報を処理する際の多少の助けになりますが、それでも眼球が不規則に動くという問題は避けられないでしょう。

シャム猫の眼振は生まれつきであり、生活に大きな影響を与えることは少ないとされています。しかし、眼振が頻繁に起こる場合や他の視覚障害と関連している場合は、獣医師に相談することが重要です。このように、シャム猫の眼振は遺伝的原因が関連しているため、特に心配する必要はないことが多いとされていますが、飼い主としては注意深く観察し、必要に応じて専門家に相談するようにしましょう。

シャム猫以外に眼振を発症しやすい品種は?

シャム猫以外で眼振を発症しやすい品種として、クリーム色の毛柄を持つダイリュートが挙げられます。メラニン色素の生成が抑制され、視覚経路に異常が生じやすく、その結果として眼振や内斜視が発生しやすいとされています。

ダイリュートの猫も、視神経が脳へ伝える情報が通常とは異なる経路を通るため、視覚情報に混乱が生じるでしょう。この視覚経路の異常が、眼球の不規則な動き(眼振)を引き起こす原因となっています。ダイリュートの猫に見られる眼振は通常、生活に大きな影響を与えませんが、他の視覚問題と併発する場合は注意が必要です。

猫の眼振は生まれつき発症する?

猫の生まれつきの眼振は、主に遺伝的な要因や先天的な視覚経路の異常によって引き起こされることが多いとされています。シャム猫やダイリュートのような特定の品種は、遺伝的な影響で眼振が発症しやすい傾向があります。これらの猫は、メラニン色素の生成が抑制され、視覚情報を脳に伝達する経路に異常が生じることも。この異常が眼振の原因となり、子猫の時から症状が見られることも少なくありません。

生まれつきの眼振は、早めに発見することがとても大切です。もし子猫の頃に目の動きがおかしいなと感じたら、すぐに動物病院で診てもらうことをおすすめします。特に、親猫にも同じような症状がある場合は、遺伝的な要因が強く疑われます。そういった場合は、さらに詳しい検査を受けることで、適切なケアや対策を取ることができるでしょう。

生まれつき眼振がある猫でも、日常生活にそれほど支障がないケースもあります。ただし、視覚や健康状態に影響を及ぼす可能性があるので、獣医師と相談しながら、健康管理をしっかり行うことが大切です。

猫が他にかかりやすい病気は?

猫は眼振以外にもいくつかの病気にかかりやすい傾向があります。これらの病気は、適切な予防や早期発見が必要です。ここでは、猫がかかりやすい代表的な病気をいくつか紹介します。

上部気道炎

上部気道炎は、猫がよくかかる感染症の一つで、人間の風邪のような症状が出ます。くしゃみや鼻水、咳などの症状が見られたら、早めに対処することが大切です。特に子猫や体力が落ちている猫の場合は、症状が悪化するリスクがあるので注意が必要です。

猫伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎(FIP)は命に関わる病気で、猫コロナウイルスが原因で起こります。免疫系がウイルスに対して過剰に反応してしまい、体の中に炎症が広がってしまうのです。最初は食欲が落ちたり熱が出たりする程度ですが、進行すると腹水や胸水がたまって命に関わることもあります。猫伝染性腹膜炎は猫コロナウイルスが突然変異して発症するため、感染猫との接触を避けることが重要です。特に多頭飼育の環境では感染リスクが高まるため、注意が必要です。

猫下部尿路疾患

猫下部尿路疾患は、膀胱や尿道に関係する病気の総称で、血尿が出たり、おしっこの回数が増えたり、おしっこが出にくくなったりすることがあります。特に雄猫に多く見られる病気で、尿路結石や膀胱炎が原因になることが多いようです。水分をしっかり取ることと食事管理が大切で、症状が出たらすぐに獣医師に相談することが重要です。

歯肉炎・歯肉口内炎

歯肉炎や歯肉口内炎は、猫がよくかかる口の中の病気です。歯垢や歯石がたまることで起こり、歯茎が腫れたり、口臭がひどくなったり、痛みが出たりします。そのままにしておくと歯が抜けてしまうこともあるので、定期的に歯のチェックやケアをすることが必要です。特に、高齢の猫や持病のある猫に多く見られるので、日頃からの口のケアが大切になります。

猫の眼振でお悩みの方は大阪梅田ペットクリニックにご相談ください!

猫の眼振にはさまざまな原因や疾患が関係しており、先天的なものもあれば、後天的に発症するものもあります。親猫からの遺伝的な問題や神経・耳の問題により発症することもあります。もし眼振の症状に心当たりがある場合、早期の対処が重要です。

眼振がある猫は、見ているものをうまく認識できず、混乱してしまうこともあります。特に生まれつき眼振がある猫は、視覚の発達に問題が出る可能性があり、日常生活で困ることもあるかもしれません。

もし、あなたの猫に眼振が見られるなら、自己判断をせず、まずは大阪梅田ペットクリニックにご相談ください。専門の獣医師が適切な検査とケアを行い、あなたの大切な猫の健康を守ります。