コラム

犬が嘔吐したものに血が混じっていた!考えられる病気のリスクと対処法について

愛犬が嘔吐した際、血が混じっているのを発見した場合には注意が必要です。犬の嘔吐に血が混じることは、いくつかの潜在的な病気の兆候の可能性があります。

この記事では、犬の嘔吐に血が混じる原因とそれに対する適切な対処法について解説します。病気のリスクを正しく評価し、迅速な対応をすることで愛犬の健康を守りましょう。

犬の嘔吐の原因は生理現象or病気?

犬が嘔吐する原因は多岐にわたり、健康な状態でも生理現象により嘔吐してしまう場合があります。急いで大量の食事や水を摂取することで、胃が膨満してしまうため吐いてしまうのです。

このような生理現象による嘔吐の場合は緊急性は低いと考えられますが、症状が毎日続くようであれば病院を受診することをおすすめします。

嘔吐の原因となる消化管の閉塞や中毒、感染症などの病気が疑われる場合は、より緊急性が高いため、自己判断せずに早めに獣医師の診察を受けましょう

犬が吐血した場合に考えられる原因

犬が吐血した場合は炎症や重篤な状態が進行している可能性も考えられるため、様子を見ることなく早めに病院へ連れて行くことが望ましいです。

歯や口腔内の異常

犬が吐血した場合、口腔内の異常が考えられます。例えば歯周病が進行したことで口腔内から出血し、その血液が口から出て「吐血」のように見える場合があります。

歯周病は犬にとって一般的な口腔疾患です。歯周病になると、歯茎の炎症や歯周組織の損傷を引き起こします。普段から定期的に口腔内の健診を受けましょう。

鼻や肺などの呼吸器異常

犬が吐血する原因として、鼻や肺などの呼吸器の異常が考えられます。重度の鼻炎や鼻腔内の腫瘍が存在する場合、血液が喉から逆流して吐血することがあるのです。

呼吸器からの出血は緊急性が非常に高い状況であり、生命にかかわる場合があります。そのため迅速な対応が重要です。時間を置かずに獣医師の診察を受けることが必要です。

消化器の炎症や腫瘍など

消化器の炎症や腫瘍などが原因で吐血する場合があります。胃炎や腸炎などの炎症が起こると消化器の粘膜が傷つきやすくなり、少量の出血が伴うことがあるのです。

吐いた物が少しピンク色だったり少量の血の塊が点在していたりする程度であれば、問題はない場合が多いでしょう。しかし胃潰瘍などの重篤な状態では、出血量が増えて吐物のほとんどが鮮血になるため、飼い主さんはとても驚くかもしれません。

消化器のいずれかに胃がんや食道がんなどの癌や腫瘍が発生した場合も、吐いた物に血が混じることがあります。出血量は腫瘍の種類と大きさによって異なりますが、急激な大量出血や、通常の治療に反応しない持続的な出血が見られることもあるでしょう。

吐血の症状が続く場合や他の異常が見られる場合には、迅速に獣医師の診察を受けるべきです。獣医師は適切な検査や画像診断を行って原因を特定し、適切な治療方法を提案してくれます。

異物誤飲や中毒

犬が吐血する原因として、異物の誤飲や中毒も考えられます。例えば、先の鋭い串やジャーキーなどの異物を誤飲することで、物理的に粘膜に刺激を与えて出血を引き起こすのです。

犬が元気で食欲もあった直後に出血が起こる場合には、異物誤飲による出血の可能性も考えられます。チョコレートや玉ねぎなどの中毒物質の誤飲には、くれぐれも気を付けてください。

異物の誤飲や中毒は緊急性の高い状況であり、迅速な獣医師の診察と処置が必要です。

止血異常

止血に関与する血小板という要素が自己の抗体によって異物と誤認識されることで、消化器だけでなく様々な臓器からの出血が発生することがあります。この状態では症状が非常に激しく、大量の吐血が生じるケースもあるので注意が必要です。

その他

犬がを食べて嘔吐し、その吐物に血が混じっている場合もあります。これは草が内臓を傷つけ、出血が生じたのかもしれません。

犬は気分が悪くて吐きたいときに草を食べる傾向があります。もしかしたら「胃潰瘍」などの病気かもしれませんので、早めにかかりつけ医に連絡してみてください。

嘔吐の原因となる病気に注意しよう

犬はさまざまな病気のサインとして「嘔吐」することがあります。

・頻繁に嘔吐が繰り返されたり
・嘔吐に加えて元気がなくなったり
・腹痛や下痢
・体重の減少
・脱水

などの症状が見られる場合には、緊急の治療が必要となる可能性も考慮するべきです。

消化器系の病気

嘔吐は「食道から胃」にかけての病気だけでなく、他の消化器系臓器の疾患によっても引き起こされることがあります。例えば膵炎や肝臓の様々な疾患、腹膜炎などが挙げられます。異物の誤飲・誤食以外にも、腫瘍や他の原因による腸閉塞が起こることもあるので軽く考えないようにしましょう。

特に大型犬では、胃拡張捻転症候群と呼ばれる危険な病気が存在します。この病気では胃内に大量のガスが溜まり、嘔吐ができずに犬が苦しむ状態になります。この場合は緊急の処置や手術が必要となります。

消化器系の病気では嘔吐だけでなく下痢や脱水、腹痛や流延(りゅうぜん)などの症状が見られることが一般的です。病気が慢性化すると体重減少も起こる場合があります。また、嘔吐物に赤や茶色の液体が混じっていることもあり、これは緊急性の高い病気の兆候です。早急な対応が必要となります。

消化器以外の病気

消化器以外の病気によっても嘔吐が引き起こされる可能性があります。例えば、腎不全や糖尿病などが挙げられます。腎不全は腎臓の機能が正常に働かなくなる病気であり、嘔吐は腎不全の進行を示す症状の一つです。

嘔吐だけでなく、

・多飲多尿
・貧血
・体重の減少


などの症状も見られることがあります。

糖尿病の場合は血液中のケトン体の量が増加し、血液が酸性化するため重度の脱水や嘔吐、意識障害などの症状が現れます。糖尿病は命に関わる病気であり迅速な治療が必要です。

感染症

犬コロナウイルスや犬パルボウイルスなどのウイルス感染により、嘔吐の症状が見られることがあります。ワクチン接種によって発症することは稀ですが、母犬からの初乳を摂取していない未接種の子犬などでは、充分な免疫がないために発症する可能性があります。

これらの感染症が発症すると、嘔吐だけでなく下痢や血便、発熱や食欲低下などの症状が現れ、重症化して死亡する可能性があります。成犬の場合は、軽症または無症状で経過することもあります。これらの感染症はワクチン接種による予防が可能ですので、予防接種を受けることが望ましいです。

中毒

犬が人間の食べ物を摂取すると、中毒症状が現れることがあります。代表的な中毒物質としては、チョコレート、ネギ類、カフェイン、ぶどうなどがあります。また、植物の中にも、ユリ科の植物、アジサイ、アイビー、ポインセチアなどが危険です。

これらの中毒物質を摂取すると、嘔吐だけでなく下痢、痙攣、呼吸困難、血便や血尿などの症状が現れることがあります。もし犬が誤ってこれらの物質を摂取した可能性がある場合は、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。

早めの対応が重要ですので、迅速に病院に連れて行きましょう。

吐血したときの正しい対処法

犬が吐血した場合、以下の適切な対処法があります。

病院へ連れて行く

吐血は重篤な症状の一つであり、早急な診察と治療が必要です。すぐに近くの動物病院へ連れて行きましょう。

口腔内の異物を取り除く

吐血の原因が明確に口内に異物が入っている場合に限りますが、異物を取り除くことで吐血が収まることがあります。ただし無理に取り出そうとせず、口腔内を傷つけないよう注意しましょう。

絶食してみる

出血が軽度である場合、粘膜が傷ついている可能性があります。数時間から一日程度の絶食を行うことで吐血の量が減少することが可能です。ただし、絶食をおこなう際には、獣医師の指示に従い行いましょう。

愛犬の状態を確認する

他にも体に何か普段と違った異常がないかを確認することも重要です。口腔内の状態や皮膚の色、排便や排尿に異常がないかを注意深く観察しましょう。これらの情報は獣医師に提供する際に役立ちます。

犬が吐血した場合は、迅速に動物病院の専門家の診断と治療を受けることが最も重要です。獣医師に症状や経緯を正確に伝え、指示に従って対処するよう心掛けましょう。

犬の吐血の治療法とは?

犬の吐血の治療法は吐血の原因によって異なります。以下では、吐血の一般的な原因とそれに対する対処法について解説します。

胃腸炎

軽度の胃腸炎による吐血の場合には絶食や特定の食事制限を行い、胃薬や整腸剤を処方されることが多いです。体内の水分バランスを保つために点滴などの補液療法が行われます。

消化性潰瘍

消化性潰瘍による吐血の場合、胃酸分泌を抑制する薬や胃粘膜保護薬が処方されることがあります。ストレスを軽減するためには、安静やリラックスできる環境づくりも重要です。

出血性腫瘍

出血性腫瘍による吐血の場合、手術による腫瘍の摘出が必要な場合があります。放射線療法や化学療法などが適用されることもあるので、確認してみましょう。

出血性感染症

出血性感染症による吐血の場合、原因となる病原体に対して適切な抗生物質が使用されます。感染の進行を抑えるためには、対症療法や補液療法が行われることもあります。

重度の吐血の場合、止血剤や輸血が必要となることがあります。治療にかかる費用は、吐血の原因や治療の範囲によって異なりますので、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

犬が吐血した場合は、一刻も早く動物病院を受診し、獣医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。症状や経緯を詳しく伝え、獣医師の指示に従いましょう。

犬が嘔吐したものに血が混じっていた!考えられる病気のリスクと対処法について【まとめ】

犬が嘔吐する場合、食べ過ぎや空腹などの生理的な原因によるものもありますが、嘔吐には潜在的な危険な病気が隠れている可能性もあります。嘔吐が繰り返されたり、嘔吐とともに他の症状が見られる場合は、すぐに動物病院で診察を受けるようにしましょう。

犬の嘔吐物はすぐに片付けず、その色や内容を確認することも重要です。これにより、病気や原因を特定する手がかりを得ることができます。犬が嘔吐した場合には慌てずに落ち着いて対処し、これらの情報を活用して適切に対応しましょう。