コラム

【犬の不調サインを見逃さないで】嘔吐と下痢が同時に起こる理由と対処法

愛犬の健康を守るためには、不調サインを見逃さないことが重要です。特に嘔吐と下痢が同時に現れる場合には、早急に対処しなければ重篤化してしまうケースも多いため、注意しなければなりません。

本記事では、犬が嘔吐と下痢を同時に起こす可能性のある原因と効果的な治療方法について解説していきます。あなたの大切な愛犬の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。

下痢と嘔吐が同時に起こる時に考えられる原因

もし愛犬が下痢と嘔吐を同時に起こしているようであれば、それは病気が関与している可能性があります。詳しく解説します。

パルボウイルス腸炎

パルボウイルス腸炎」とは非常に危険な病気であり、最悪の場合1〜2日で命を失うこともあります。この病気は他の感染犬の便を介して感染するため、外出時やドッグランでは注意が必要です。

パルボウイルスに感染してから発症までの潜伏期間は比較的短く、約5日ほどです。はじめは嘔吐から始まってその後下痢の症状があらわれ、血液が混じったドロドロの便となります。

この感染症が疑われる場合には早急な受診が必要です。ワクチンによって予防することが可能なので成犬で発症するケースは少なく、主に3ヶ月未満の子犬に見られます。

胃腸炎やすい炎

下痢や嘔吐が同時に見られる場合、内臓系の病気である胃腸炎が原因であることも考えられます。特にすい炎の場合、腹部が非常に痛くなるので、犬が頭を下げてお尻を上げる「お祈り」のような姿勢をとることがあります。

大腸炎

大腸炎」とは、大腸の粘膜が炎症を起こす状態です。主な症状は粘液や血液の混じった下痢であり、稀に嘔吐の症状が見られることもあります。

大腸炎の原因は、通常の食事や誤食・誤飲、ストレスや環境の変化による影響、ウイルスや細菌の感染などさまざまです。獣医師は検便などを通じて診断を行い、下痢止めや整腸剤、抗生物質などの治療法を用いて対処します。

大腸炎はパルボウイルスほど深刻な病気ではありませんが、愛犬に負担をかける可能性があるため、できるだけ早く獣医師の診察を受けて適切な処置をしてもらうことが重要です。

自宅でできる対処法

下痢や嘔吐の症状が軽度であれば、自宅での対処も可能です。ここからは自宅でできる対処法について解説します。

下痢の場合

もし一時的な下痢や下痢の後も元気や食欲がある場合には、ご飯を少なくしたり半日程度の絶食を試したりして様子を見ても良いでしょう。ただし、絶食によって胃液が逆流する可能性もあるため、獣医師に相談してから行ってください。

嘔吐の場合

もし嘔吐が空腹からくるものであれば、食事の回数や時間を調整したり、繊維質の豊富なフードに変えて満足感を高めるなどの工夫を試してみましょう。

また、食事によるアレルギーが原因である可能性も考えられるので、食事ごとに原料を制限して原因特定を行ってみてください。ただし、アレルギー診断には病院での検査など正確な対応が必要です。

フードの粒の大きさが消化不良を引き起こしている可能性もあります。自分で原因が特定できない場合は、獣医師に相談することもおすすめです。

下痢や嘔吐の予防法

下痢と嘔吐の予防法として、まずは適切な食事を与えることが重要です。

・適量かどうか
・アレルギー物質の有無
・粒の大きさ


など、愛犬に合った食事を提供しましょう。

感染症や病気による下痢や嘔吐を予防するためには、定期的なワクチン接種や予防薬の投与が必要です。可能な限り予防できる病気に対しては、きちんと予防策を講じることや、病気の早期発見と早期治療のために定期的な健康診断を受けることも大切だと言えるでしょう。

特に子犬の場合は、検便を受けることをおすすめします。寄生虫による感染が関与している可能性もあるからです。症状がなくても感染している場合もあるため、下痢が出ていなくても注意しましょう。

下痢や嘔吐を完全に予防することは難しいですが、日常的に愛犬の様子を注意深く観察することで早期発見が可能です。

動物病院に行くタイミング

下痢や嘔吐の場合、様子を見ていても問題ない場合とすぐに動物病院に連れて行くべき危険な場合があります。詳しく見ていきましょう。

血便が混じっている

固い便が肛門周辺を傷つけて一時的に血が混じることがあります。この場合、1〜2日間様子を見ることもできます。しかし、下痢と血が混ざっている場合や愛犬の元気がない場合には、獣医師の診察を受けるべきです。

また、血便と言っても赤い血だけを指すわけではありません。胃や小腸の出血により便が黒っぽくなる場合もあります。したがって、通常と比べて明らかに黒い便が見られる場合にも、早急な受診が必要です。胃炎や胃潰瘍などが原因で出血が起きている可能性があります。

血便が見られる場合、早めの獣医師の診察をおすすめします。

下痢と嘔吐の症状がある

下痢と嘔吐が同時に現れる場合は脱水症状が生じる可能性があるため、早急な対処が必要です。胃腸炎や膵炎などの疾患では発熱もみられることがあります。

さらに、愛犬が飼い主に気づかれずに異物を誤食したり、中毒物質を摂取した可能性も考慮しなければなりません。緊急を要する状況では、速やかに獣医師の診療を受ける必要があります。

病院へ連れて行く際には、下痢の状態や頻度、嘔吐のタイミングや嘔吐物の特徴などを記録しておくと、獣医師が正確な判断がしやすくなります。夜間に何度も嘔吐が繰り返されたり、愛犬が非常に弱っている場合には、緊急病院への受診も検討しましょう。

下痢を繰り返す

下痢を繰り返す場合でも、通常は一時的なものであれば1〜2日で改善することが一般的です。しかし、元気がありながらも3日以上下痢が続く場合や、一度治った後に再発する場合には、以下の要因が考えられます。

・感染症
・寄生虫
・細菌
・食物アレルギー
・慢性腸炎


これらの病気は適切な検査や治療が必要となるため、早めに獣医師の診断を受けるのがオススメです。

病院での検査によって原因が特定されれば、適切な治療方法が選択されます。早期の治療は愛犬の回復を促し、症状の悪化や長期化を防ぐことができます。

下痢をしたが元気はある

下痢をしている時で元気そうな場合、フードの変更や一時的なストレスの可能性があります。愛犬の生活に特別な変化が見られない場合は、次のような対処を試してみましょう。

まず、与えているフードやおやつに問題がないか確認してください。もし問題のある食べ物が思い当たる場合はそれを避けるようにしましょう。また、愛犬にとって新しいストレス要因があるかもしれませんので、環境や飼い主さんの不在なども考慮してください。

下痢以外に嘔吐の症状が見られたり、下痢が長引く場合には早めに動物病院を受診することをおすすめします。

犬の嘔吐と下痢が同時に起こる原因と対処法【まとめ】

もし心配な症状が見られた場合は、迷わず動物病院を受診することをおすすめします。下痢や嘔吐が同時に現れる疾患の多くは急速に悪化し、最悪の場合は命を落とすこともあります。異変を感じたらできるだけ早くかかりつけの獣医に診てもらうよう心がけましょう。

日常生活で愛犬の様子や便の状態、回数などを注意深く観察することで、早い段階で異変に気が付くことができます。早期診断と治療は愛犬の健康回復につながりますので、安心して任せられるかかりつけの獣医との関係を築いておくことも重要です。