コラム

犬が未消化の物を嘔吐してしまう理由と正しい対処法

犬が未消化の物を嘔吐することは、飼い主にとって心配な兆候です。しかし、この現象には様々な理由があります。

本記事では犬が未消化の物を嘔吐する原因や、飼い主さんが行って欲しい対処法について詳しく解説します。犬の健康を守るために、正しい知識を身につけましょう。

犬が未消化の物を嘔吐した時に確認すべきポイント

犬が嘔吐した場合、飼い主はどのような点を確認すべきなのでしょうか?詳しく見てみましょう。

①嘔吐物を確認する

犬が嘔吐した際には、飼い主さんはまず「嘔吐物」を確認してください。その際のポイントは以下の通りです。

吐いた物を確認する

嘔吐物を観察し、消化されているかを確認します。また、吐いた物に血が混ざっていないか、血によって変色していないかも注意深く確認しましょう。

時間経過の確認

犬が最後にごはんを食べた後、どのくらい時間が経過しているかを確認します。吐いた物が未消化でありながら食事から相当な時間が経っている場合は、異常な状況である可能性があります。

異物の有無

嘔吐物に異物(木の枝など)が混ざっていないかを確認します。異物が発見された場合は、獣医師に相談してみましょう。

水気の有無

嘔吐物に水気が含まれているかどうかもチェックします。水気がない場合、それは食道から「吐出」された可能性があります。一方で水気がある場合は、脱水症状の兆候となる可能性が考えられます。

嘔吐物の状態を把握することは、必要な対処を迅速に行うために非常に重要です。

②愛犬の状態を確認する

犬の状態を確認する際、以下のポイントに注意しましょう。

元気な様子かどうか

犬がぐったりしていないか、元気はあるかを確認します。

食欲の状態

嘔吐の後でも食欲があるかどうかを確認します。

普段との行動の違い

嘔吐前後の犬の行動に変化がないかを注意深く観察します。

例えば、

・水をよく飲む
・床を舐める
・通常よりも眠らない

などの変化がないか確認します。

嘔吐以外の症状

嘔吐以外に下痢や血便などの症状が見られないかを確認します。

嘔吐の回数

短時間で連続して嘔吐が続いている場合は注意が必要です。数回の嘔吐が見られる場合は、病院へ早急に連れて行く必要があるかもしれません。

以上の点を確認した結果、愛犬が元気でぐったりしておらず、食欲もあり、普段の行動に変化がなく、嘔吐以外の症状も見られない場合は、緊急の対処は必要ない場合が多いです。

ただし状況が変わったり心配な兆候が現れた場合は、すぐに獣医師に相談することをおすすめします。

犬が未消化の食べ物を嘔吐する原因

犬が未消化の食べ物を吐く原因はいくつか考えられます。以下に一部を挙げますが、これらは一般的な原因であり、症状によっては獣医師への相談が必要です。

食べ過ぎ

犬が過剰な量の食事を摂ると、胃に収まりきらずに一部が吐き出されることがあります。特に急激な食事量の変化や大量の食べ物を一度に摂取した場合に起こる場合が多いです。

食べ物の変化

犬の食事に変化があった場合、胃腸が慣れずに消化不良を引き起こすことがあります。新しいフードやおやつを導入した際には、少しずつ慣らしていきましょう。

食べ物の摂取速度

犬が食事を急いで食べると適切な咀嚼や消化が行われず、未消化の食べ物が吐かれることがあります。フードボウルの形状を変えたり、食事を複数の小分けに分けて与えたりすると、早食いを防ぐことが可能です。

消化器官の問題

犬の消化器官に問題がある場合、胃の機能障害や膵臓の疾患によって正常な消化ができないケースがあります。これらの病状が疑われる場合には、獣医師の診断が必要です。獣医師は適切な診断と治療を行い、愛犬の健康をサポートしてくれます。

犬の消化不良への対処法

犬の消化不良に対処するためのいくつかの対策があります。ここからは飼い主さんができる対処法について解説します。

ただし症状が続く場合や犬の状態が悪化する場合は自己判断せず、必ず獣医師の診察を受けてください。

食事は適量をあげる

適量のフードを与えることが重要です。一度に多く食べさせると胃腸に負担がかかり、消化不良を引き起こす可能性があります。体重やフードパッケージの目安を参考に、適切な量を計算して与えましょう。

また、少量の食事を回数多めに与えることも消化不良を防ぐのに効果的です。食事を複数回に分けて与えることで胃腸への負担を減らし、消化を促進します。過食を防ぐためにも一回の量を減らし、回数を増やしましょう。

フードをふやかすことも有効です。お湯でふやかしたフードは食べやすく、消化しやすくなります。柔らかい食事は胃腸に負担をかけず、消化不良のリスクを減らすことができます。

犬に与えてはいけない食べ物は与えない

基本的には「総合栄養食」の基準を満たしているドッグフードを与えましょう。人間にとって無害なものでも、犬にとっては有害なものも存在します

特に生肉は与えてはいけません。生肉にはサルモネラ菌や大腸菌などの病原菌やトキソプラズマなどの寄生虫が含まれることがあり、消化不良や嘔吐、下痢などの原因になる可能性があります。生肉を与える場合は事前に適切な加熱処理を行いましょう。

食物アレルギーがある犬にとっては、特定の食べ物も消化不良を引き起こすことがあります。アレルギー反応による嘔吐が起こる場合もありますので、犬の食事に関してはその傾向にも注意を払いましょう。

さらに、犬が盗み食いや拾い食いをしないように注意することも重要です。これらの行動によって有害な食べ物を摂取してしまう可能性があります。

定期的に散歩を行う

定期的な運動は消化不良の予防に役立ちます。ストレスや運動不足も消化不良の原因となるからです。ストレスによって自律神経が乱れることで消化機能が低下し、消化不良が起こることがあります。

定期的な運動を通じてストレスを軽減させることは非常におすすめです。犬と一緒に散歩することで気晴らしをしてあげたり、飼い主さんとのスキンシップを深めることでストレスを軽減することができます。

環境を整える

犬が過ごしやすい環境を整えることも重要です。

ストレスは運動不足やコミュニケーションの不足だけでなく、基本的な生活環境の変化からも生じる可能性があります。家族構成の変化や引っ越しなどの急激な変化は犬にとってストレスとなり、消化不良につながることがあります。

犬は安定した生活環境を好みますので、できるだけ安定させるように心掛けましょう。特に子犬や高齢犬は温度変化に敏感です。

体が冷えることで消化機能が低下し、消化不良を引き起こす可能性があります。そのため、適切な温度管理を行い、冷えない環境を提供しましょう。

十分な保温や暖房を用意することで犬の体温を適切に保つことができます。

犬が未消化の物を嘔吐してしまう理由と正しい対処法【まとめ】

食べ物を正しく消化・吸収することは犬の健康にとって極めて重要です。嘔吐は犬の健康状態をチェックする上で重要な要素と言えます。消化不良が長引くと、栄養不足による体重減少や、犬の体力低下などが心配されます。

食べ過ぎや季節の変わり目、環境の変化による一時的な消化不良は一般的ですが、もし1〜2日経っても症状が改善しない場合や、下痢と嘔吐が同時に起こる場合には注意が必要です。

特に脱水症状が見られる場合には、即座に対処しなければ命に関わる可能性もあります。愛犬の様子を日頃からよく観察し、飼い主さんが愛犬の異変に気付いてあげてください