コラム

犬がうんちみたいな嘔吐をした!病院を受診した方がいい?

犬は吐きやすい動物です。しかしエサを食べている犬が突然うんちのようなものを吐いたら、びっくりして慌ててしまうでしょう。

今回の記事では、犬がうんちのようなものを口から吐いてしまう原因や対策について解説していきます。

嘔吐物の確認をする

嘔吐には、動物病院に行かなくても自宅で様子を見ても問題のない嘔吐と、緊急で受診する必要のある嘔吐があります。嘔吐したものはどのような状態か、嘔吐後の元気の有無も含めてよく観察しましょう。

嘔吐物からフードのにおいがする場合

まずはじめに、嘔吐物を確認します。形がドロドロでフードのにおいがする場合は、うまく消化されなかった可能性があります。元気があって何度も嘔吐しないようなら、心配いらないことが多いです。

対策方法

嘔吐した直後は、なにも食べさせないようにしてください。早食いしがちで吐出(食べ物が胃にいく前に嘔吐すること)するようであれば、でこぼこがあって早食いを予防できる食器を使用しましょう。

ドライフードなら前もってふやかしておいたり、手作り食なら細かく刻むことで緩和されるかもしれません。

また、ドライフードの種類を新しくする際には、1週間〜10日くらい時間をかけて少しずつ新しいものに慣れさせるのが良いでしょう。

嘔吐物からうんちのにおいがする場合

においも形もうんちのようなものが出てきた場合は、食糞している可能性があります。

もし、食糞をしていないのにもかかわらず嘔吐物からうんちのにおいがする場合は、腸がつまっている病気(腸閉塞)かもしれません。腸閉塞は非常に危険な病気で、短時間で命を落としてしまう可能性があるため、至急動物病院を受診してください。

※食糞をしていない場合は嘔吐してもうんちのような形では出ません。

対策方法

食糞が疑われる場合は、食後うんちをしたらすぐに片付けるようにしましょう。一方で食糞でない場合には、できるだけ早めに動物病院を受診することが望ましいです。

動物病院を受診する際の注意点

動物病院を受診した際には、嘔吐物や嘔吐したときの様子を尋ねられます。なるべく正確に伝えるためにも、できるだけよく観察してください。

・どんなものをどれくらい嘔吐したか
・何回くらい嘔吐したか
・嘔吐前後の様子はどうか
・食事の内容
・嘔吐の仕方
・誤食の可能性
・嘔吐物はどんなにおいだったか
・嘔吐以外の症状(下痢、熱など)はあるか

緊急の症状があるのに、犬は元気そうに見える時もあります。しかしながら犬は、苦しみや痛みを我慢してしまう動物です。嘔吐が続いたり、嘔吐物に出血がある場合はすぐに病院を受診してください

前もって電話を1本入れておくとスムーズです。もし、急がなくても様子見で大丈夫かな?と思うことでも、検査をしなければわからないこともあります。

少しでも違和感を覚えたら、動物病院に相談してください。嘔吐物の持参(吸収してしまわないよう、ラップやアルミホイルなどでくるむ)、それが難しいようであれば写真や動画を撮影して病院で診てもらうのも良いでしょう。

緊急で受診したほうがよい場合

以下の症状が見られる場合には早めに受診する必要があります。

・何度も嘔吐する
・嘔吐の仕方が激しい
・嘔吐後、元気がなく食欲もない状態が続いている
・嘔吐する動作を何度もしている
・嘔吐物に血が多く混ざっている
・嘔吐のほかに下痢もしている
・嘔吐が続き、げっそりしている
・嘔吐物の中に虫がいた
・1日1回以上の嘔吐が何日も続いている
・脱水状態になり皮膚のハリがなく、目がくぼんできた
・誤飲や誤食の可能性がある

犬の病気は軽く考えてはいけません。必ず獣医師の診断を受けましょう。

主な嘔吐物の種類と受診目安

嘔吐物の種類によって危険度は大きく変わってきます。ここからは嘔吐物の種類と受診目安について解説します。

透明の液体

飲んだ水や胃液などの逆流が考えられます。ストレスによる胃のムカムカや空腹時の胃酸過多が原因となっていることが多いです。

すぐ落ち着くことが多いですが、何度も嘔吐すると脱水症状になる可能性もあるので、念のため受診するのが良いでしょう。

黄色の液体、泡

空腹すぎると胃酸が多く分泌され、胆汁が混じった黄色の液体を嘔吐することがあります。ご飯の量はそのままにし、ご飯をあげる時間や頻度など見直して、できるだけ空腹にさせないよう工夫すると落ち着きやすいです。

しかし、腎臓病や肝炎の初期症状で黄色い液体を嘔吐することもあります。なかなか落ち着かないようであれば受診してください。

緑色の液体・泡

すい臓の炎症だったり胆汁が多く分泌された時に出てくる色です。間違えて異物を飲み込んでしまった時など、その異物を消化しようとして胆汁が多く分泌されることがあります。

異物が腸に詰まり、腸閉塞になった時も緑色の液体を嘔吐することがあります。腸閉塞は危険な病気のため、急いで動物病院に受診しましょう。

ピンク色の液体

口の中の出血や胃・腸からの出血の可能性があります。さらに出血性の胃腸炎や十二指腸炎の可能性も考えられるでしょう。

もし、鼻からも同様のピンク色の出血がある場合は心原性肺水腫の可能性もあるため、早めに受診しましょう。

赤い液体

鮮血を嘔吐した場合、体内から出血した可能性が高く、肺や胃などのトラブルかもしれません。赤黒い場合は、消化器官内にできた腫瘍が破裂、または呼吸困難を引き起こす心原性肺水腫など、重度な場合が多いです。

液体のほか、赤黒い血の塊を嘔吐する場合は胃がんの可能性も考えられます。赤い血を嘔吐したら、急いで動物病院を受診してください。

おもちゃなど食べ物でない異物

誤飲で異物を飲み込んでしまった場合は、体の中から異物を出すまでにくり返し嘔吐を続けたり、なにも出てこないのに嘔吐する動作をくり返すことがあります。

すべて体内から出てくれば回復するかもしれませんが、消化器官に傷がついてしまっている可能性もあります。

異物が体内に残されて、もしかすると腸閉塞になってしまう場合もあります。「あの時もしかして…」と思うようなことがある場合は、早めに検査を受けてください。

消化されていないフード

勢いよくたくさんの量を飲み込むことでほぼ消化ができていない状態のまま吐き出してしまうことがあります。吐き出したフードの状態で、どの器官で異常が起きたのかを予想することが可能です。

半分ほど消化されていれば胃、ほぼ消化されていれば十二指腸や腸が考えられます。ゆっくり食べていても途中で嘔吐する場合は、なんらかの原因によって消化器官の機能が低下している可能性があります。

寄生虫

嘔吐物の中になにか動くものを見つけたら、それは寄生虫かもしれません。嘔吐物に混じっていたら、うんちにも混じっていることが多いため、うんちにもいないか確認してください。

中には人にも感染する虫が多いため、寄生虫を見かけた時は写真や動画を撮り、すぐに受診しましょう。

犬がうんちみたいな嘔吐をした!病院に行くべき?まとめ

・茶色いドロドロがフードのにおいがして元気、嘔吐の回数が増えなければ様子見で大丈夫なことが多い
・においも形もうんちみたいな場合は食糞を疑う
・食糞していないのにうんちのにおいがする場合は、短期間で命を落とす危険性がある腸閉塞の可能性があるため、緊急で受診する必要がある

腸閉塞の場合は、口からうんちのような形では出ません

嘔吐は健康な犬の体に「何らかのトラブル」が起こった時に現れる症状です。日頃から観察を欠かさず、「何かいつもと違う気がする」と思ったらどんな些細なことでも、すぐにかかりつけ医に相談してみてくださいね。